8月21日大阪地検籠池氏夫妻詐欺罪起訴を許すな
盆休みが入り、重大な政治問題に対する意識が希薄になっているが、重大問題をあいまいなまま迷宮に入れてしまってよいわけがない。
森友疑惑では、問題を告発した前理事長の籠池泰典氏夫妻が逮捕、勾留されている。
空調設備も整っていない房に収監されているとも言われる。
かたや、問題の核心である国有地の激安払い下げに関する責任者の佐川宣寿前財務省理財局長は国税庁長官に昇格した。
恒例の就任記者会見から逃亡したまま、国税庁トップの座に座り込んでいる。
また国有地払下げに深く関与した安倍昭恵氏は一度も公の場で説明することもなく、税金を投入しての海外随行や盆踊りなどにうつつを抜かしている。
安倍昭恵氏の指示に従って国有地払下げ問題等に関して財務省と折衝した元秘書役の谷査恵子氏はイタリアの日本大使館に一等書記官として派遣された。
こちらも、まだ一度も説明責任を果たしていない。
籠池氏が逮捕されたのは補助金不正受給の疑いであるが、量刑の重い詐欺罪の嫌疑で逮捕、勾留されている。
この逮捕、勾留について、元検事で弁護士の郷原信郎氏が、その不当性を厳しく糾弾している。
「検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか」
「籠池夫妻を「闇の勢力」呼ばわりした八幡和郎氏の非常識」
「検察は籠池氏を詐欺罪で起訴してはならない」
大阪地検特捜部による籠池氏夫妻の逮捕事実は、森友学園が受給していた国土交通省の「サスティナブル建築物先導事業に対する補助金」の不正受給であるが、郷原氏は国の補助金の不正受給に対して詐欺罪を適用することは、検察実務としてあり得ないと断言している。
籠池夫妻は逮捕事実と同じ事実で勾留され、勾留期間が延長されて、8月21日が勾留満期と報じられている。
郷原氏は
「籠池氏が理事長を務めていた森友学園の事件に関しては、近畿財務局側も森友学園に対する国有地売却をめぐる背任罪で告発されており、その捜査・処分の結果如何では、籠池夫妻逮捕・起訴に対して、重大かつ深刻な検察批判が起こりかねない。」
と指摘している。
郷原氏は、
補助金適正化法は、昭和30年に制定されたもので、国会審議でも、詐欺罪と同法29条1項違反の罪との関係について、
「偽わりの手段によって相手を欺罔するということになると、刑法に規定してございます詐欺の要件と同じ要件を具備する場合があるかと存じます。しかしながら、この補助金に関して偽わりの手段によって相手を欺罔したという場合には、この29条が特別法になりまして、これが適用される結果になります。」
の答弁が存在することを指摘する。
このことを踏まえ、
「立法経緯からは、適正化法違反が詐欺罪の特別規定で、同法違反が成立する場合には、詐欺罪は適用されないという趣旨であることは明らかだ」
と指摘している。
郷原氏は、
「今回の籠池氏の事件が、過去の国の補助金不正受給事案と比較して著しく悪質であり、適化法違反による処罰では軽すぎるというのであれば、検察として、何とかして重く処罰しようとすることも理解できないではない。
ところが、今回の森友学園の事件で不正受給が問題とされた国の補助金は総額でも約5640万円、正当な金額との差額の「不正受給額」は、そのうち3分の2程度と考えられるので2000万円にも達しておらず、しかも、全額返還済みである。
籠池氏の事件は、むしろ、適化法違反としての処罰にすら値しない程度の事案であるとしか考えられない。
そうであれば、むしろ、「適化法違反で、罰金刑ないし起訴猶予」というのが、本来行われるべき適正な処分である。」
と指摘している。
補助金受給に不正が存在したのであれば、その不正についての責任は問う必要があるが、犯罪の認定と処罰の決定に際して、法的な公正、公平が確保されるべきことは言うまでもない。
森友疑惑の核心は、国有財産が不正に低い価格で払い下げられたという問題である。
この事案の首謀者は近畿財務局、財務省理財局であり、大阪地検特捜部はすでに告発状を受理している。
ところが、これまで家宅捜索さえ実施していないのだ。
当然のことながら、安倍昭恵氏からも事情聴取する必要がある。
他方、補助金の不正受給を問題にするなら、その本丸は加計学園である。
獣医学部施設の設計図面が明らかになり、加計学園に補助金不正受給があったのかどうか、早晩召集されることになる臨時国会での最重要追及材料になる。