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菅直人氏は国民に最も悪質なウソをついている

2011-05-25 17:48:51 | 植草一秀氏の『知られざる真実』



菅直人氏は国民に最も悪質なウソをついている
震災復興策を論じなければならない衆議院東日本大震災復興特別委員会が設置され、審議も始まったが、復興策の論議が行われる前に、震災発生直後の政府部内の混乱が取り沙汰されている。
 
 過去の問題について、事実関係を突き詰めるよりも、現在から未来の問題について論じることを優先するべきだとの正論も聞こえてくる。
 
 しかし、いま国会で論じられている問題のなかに、政府の姿勢として、本質的に重大な問題が潜んでいることを見落とすことができない。
 
 今回の震災の最大の特徴は、地震と津波の発生に伴い、絶対に起こしてはならない原発事故を引き起こしてしまったことだ。放射能の放出量による事故区分では、人類史上最悪レベルのレベル7に区分された。極めて深刻な放射能汚染が発生し、いまなお進行している。
 
 本質的に重大な問題とは、政府が事実を隠蔽し続けてきたことだ。日本政府は原子力を取り扱うに際して、三つの基本原則を定めた。これがすべての基本に置かれるべきことは当然である。
 
 三つの基本原則とは「民主・自主・公開」である。
 
 放射性物質はこの世に存在する物質のなかで、最悪の物質である。死の灰であり、悪魔の物質である。さらに重大なことは、この放射性物質が人類史上最悪の戦争兵器にいつでも転用され得ることである。
 
 だからこそ、核を取り扱う際には、「民主、自主、公開」の基本原則を徹底して遵守することが絶対に必要である。



震災発生後、スポークスマンの役割を担ったのは枝野幸男氏である。枝野氏はこの基本原則を踏みにじり続けた。
 
 原発では3月11日から16日にかけての6日間に、悪夢の現実が進行した。1号機から3号機のすべての原子炉で原子炉冷却が停止し、燃料棒が溶融し、圧力容器下部に溶け落ちる「炉心溶融=メルトダウン」が発生した。さらに、一部圧力容器では、溶融した核燃料によって圧力容器が破損し、燃料が格納容器底部に溶け落ちたと見られている。
 
 さらに、溶け落ちた核燃料は格納容器にも一部穴を開けた可能性が高いのである。
 
 1号機、3号機では水素爆発が発生し、建屋が吹き飛んだ。2号機、4号機では、圧力抑制室で爆発が生じて、格納容器に損傷が生じたと見られている。
 
 これらの、メルトダウン、圧力容器損傷、格納容器損傷が持つ意味は重大である。すなわち、この事態によって、大量の放射性物質が原発外部に放出されたのである。
 
 3号機はMOX燃料を使用する原子炉である。プルトニウム関連の放射性物質の外部放出は、さらに深刻な事態を招くことが懸念されている。
 
 こうした事情を踏まえれば、福島原発の危険性のレベルをすべての国民、あるいは全世界に開示する意味で、逐次、事実をありのままに公開することが不可欠である。
 
 ところが、枝野幸男氏の振る舞いはまったく逆のものであった。常に「心配はいらない」、「念のための措置」、「ただちに人体に影響を及ぼすレベルではない」などの発言を繰り返し続けた。
 
 3月12日の会見で、原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官は、福島第一原発1号機で、
「炉心溶融が進んでいる可能性がある」
と発表した。
さらに、発電所の周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が検出されたことも開示したのである。
 
 これが、「民主・自主・公開」の原則の沿う正しい報道である。客観的な状況証拠を照らし合わせれば、この時点でメルトダウンの可能性は明確に認識されていたのである。
 
 ところが、あろうことか、この正義の官僚=中村審議官を菅-枝野執行部は更迭するという暴挙に出たのである。



菅直人氏は3月23日に大前研一氏と1時間にわたって会談している。本ブログならびに『金利・為替・株価特報』2011年4月8日号では、大前研一氏が日経BPネット上に掲載した見解が、もっとも真実に近いとの見解を示してきた。
 
 大前研一氏が4月4日付日経BPネット上に掲載した論考は、
 
「炉心溶融してしまった福島原発の現状と今後」
 
と題するもので、いまもその内容を確認することができる。
 
 大前氏はすでに3月27日にこの内容をBBTチャンネルで開示されており、その内容をYOU TUBE映像でも確認することができる。
 
 菅直人氏は大前氏から詳細な説明を受けたはずである。原発外部における高濃度放射線数値の観測は、圧力容器および格納容器の破損なしには説明できない事象であり、このことからメルトダウンによる圧力容器の破損および格納容器の破損は、疑いようのない事象であることを菅直人氏は確認したはずである。
 
 
 
 本ブログは5月22日付記事
 
「SPEEDI情報隠蔽、そして降雨が重大な意味を持った」
 
に、3月15日夕刻以降の降雨が決定的に重要な意味を持ったとの仮説を提示したが、この記事を後追いするかのごとく、
 
5月23日付中日新聞「こちら特報部」が、
高エネルギー加速器研究機構の調査チームによる、
「3月15日午後の放射性物質大量飛散が雨で土に付着した」
との調査結果を報道した。
 
 話を本筋に戻すが、菅直人氏は福島第一原発の重大放射能事故の概要を完全に把握しながら、国民に対して、この最重要情報を隠蔽し抜いたのである。その罪は万死に値する。
 
 つまり、菅直人氏は国民に対して最も悪質なウソをついているのだ。
 
 事実が正確に開示されていれば、周辺住民の行動は著しく警戒感を伴ったものになったはずである。とりわけ3月15-16日に、降雨により大量被曝した住民が多数存在する可能性が高く、とりわけ、原発北西部居住の住民に対しては、徹底的な被曝量調査が求められる。
 
 最大の問題は、菅-枝野体制が、最重大情報を隠蔽し抜いてきたことである。3号機のメルトダウンが明確にされた以上、プルトニウム燃料関連の放射性物質に関する情報が全面公開される必要がある。
 
 国会の震災復興特別委員会で復興の審議が行われるべきことは言うまでもないが、政府最高首脳の重大情報隠蔽行動は、やはりその前に徹底的に糾弾されなければならない。
 
 分かり易く言えば、本格的な復興論議に入る前に、リーダーとしての適格性を欠く人物を政権中枢から排除することが必要で、この意味で、いま何よりも優先されるべきことは内閣不信任案の可決ということになる。





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