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被災地復興・被災者救援が遅々として進まぬわけ

2013-03-12 03:28:51 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

被災地復興・被災者救援が遅々として進まぬわけ




東日本大震災ならびに東電福島第一原発の放射能事故から2年の時間が経過した。


死者1万6000人、行方不明者2700人、関連死を含めれば2万人以上の尊い命が犠牲になった。


いまなお31万人の人々が避難生活を強いられている。


避難生活を強いられる人の数は、1年前が34万人。震災から2年経過した現段階で31万人。その減少はあまりにも少ない。


被災された方に心からのお見舞いを申し上げるとともに、犠牲になられた方々のご冥福をお祈り申し上げる。


2年の時間が経過したが、傷はまだ癒えていない。


被災地、被災者に対する政府の救援、政治の支援が十分であるとは言えない。


そして何より、人災である放射能事故に対する対応が正しくない。


福島原発周辺地域の放射線線量は依然として極めて高い。


放射能汚染水の処理すら進んでいない。


放射能事故は収束されておらず、事故が拡大するリスクは残存したままである。


震災から2年が経過して、このひとときだけは、メディアが震災特集を編成してこの問題を取り上げるが、2年の時間経過に伴う、ひとつの行事としてしか捉えていないように感じられる。




地震・津波の被害と、原発事故との間には、大きな違いがある。

地震や津波は避けることができない。


自然の大きな力の前に人間は無力である。歴史上、人類は自然のもたらす災害に繰り返し痛めつけられてきた。


本来は、その教訓を次に生かさねばならないのだが、「天災は忘れたころにやってくる」の言葉に示されるように、過去に発生した巨大な自然災害の教訓も、時間の経過に従って風化し、大切な教訓が忘れられてしまう面がある。


過去に発生した津波の教訓から、「これよりも低地に住居を置いてはならない」との言い伝えが残されてきた。しかし、時間が経過するに連れて、このような言い伝えさえ無視されるようになる。


大地震、大津波の教訓を生かすには、こうした経験則を生かした教訓を風化させることなく、将来に確実に遺してゆくことが必要だ。


しかし、こうした、明日への教訓を遺す前に、いま目の前に広がる惨事に対する対応がおろそかになっている。


他方、原発事故は完全にそのリスクを排除することができる。自然災害とは異なるのだ。リスクを排除することができるのだから、その道を選択するべきだが、現実にはその方針がまったく示されていない。



安倍政権は2012年度に13.3兆円もの規模の補正予算を編成した。


震災・津波・原発事故で、いまだに31万人もの人々が避難生活を余儀なく迫られている。


原発周辺地域では放射線量が高い箇所に多くの子どもたちが生活を続けている。


放射能による健康被害に対する心配はまったく解消されていない。


遠隔地に移住したいが経済的にその希望を実現することができないとする人々も多い。


避難生活者の帰還が計画されているが、本来、生活可能でない地域への帰還が計画されているのだと思われる。


政府は適正な避難、移住を実現することが大きな財政負担、あるいは、東電の損害賠償金額の増大を生み出すために、住民の健康や生命を犠牲にする方針を設定しているのだと思われる。


その一方で、全国の土木建設事業者に対する巨大な予算が計上され、役所の建物の改築費用など、官僚の利権につながる分野への予算が多額計上されている。


極めつけは、消費税増税法を成立させることに貢献した財務事務次官の天下り関係先に、500億円もの巨大予算が計上されたことだ。




つまり、いまの政府の行動に、国民の生活を重視する姿勢が感じられない。


地震や津波から1周年、あるいは2周年の数日間だけ、テレビが大きく恒例行事のように特集番組を編成したところで、何も意味はない。


政府は、主権者である国民の生活を確実に支える、国民生活の最低保障ラインを確実に守ることに全精力を注ぐべきである。


ところが現実の政治においては、利権と票につながる分野には積極的に対応するが、利権と票につながらない分野には極めて冷酷である。




2011年3月11日、福島第一原発は全所停電=ステーション・ブラックアウトの状況に陥った。


3月11日夕刻の段階で、その後に発生し得るリスクが認識された。


政府が取るべき対応は、起こり得る最悪の事態に対処する措置であった。


つまり、原発周辺20キロ、あるいは50キロ住民に対する避難命令を示す必要があった。


ところが、政府が採った措置は、わずか3キロ圏内住民の避難措置であった。


その後の現実が、想定されていた可能性のなかで望ましくない推移をたどったことから、必要に迫られて、3月12日午前5時44分に避難区域を10キロに拡大、原発が爆発を起こしてから避難区域を20キロに拡大した。


政府は周辺住民の人命よりも財政支出の抑制を優先したのである。


避難区域を大きく取れば取るほど、財政支出負担は増大する。


政府は周辺住民の命よりも、財政支出の抑制を優先したわけだ。




この基本姿勢が、いまなお維持されている。


被災地復興、被災者救援が遅々として進まない一方で、利権と票につながる分野には大判振る舞いで政府予算が投入されている。


国民がこのような政府を選択している間は、被災地の復興、被災者の救援は遅々として進まない。







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