天下り根絶には抜本的な制度変更が不可欠
①対米隷属政治からの脱却
②官僚天下りの根絶
③企業団体献金の全面禁止
この三つを実現することで、日本政治は根本から一新される。
政権交代実現により、日本政治には新しい次元が開けた。
日本政治の三つの特性は、戦後65年、明治開闢以来140年、55年体制確立以来55年間、日本政治の基本構造をなしてきた。
米国、官僚、大資本が日本政治の実権を握り、主権者である日本国民は政治の脇に置かれ続けてきた。
米国、官僚、大資本による政治の私物化、日本政治の利権化に代理人として動いてきたのが利権政治屋とマスメディアである。米官業に政と電を加えた五者が日本政治の利権化、利権勢力による日本政治私物化を実現してきた主体である。これを悪徳ペンタゴンと称している。
鳩山政権の枝野幸男行政刷新相が陣頭指揮する事業仕分けが公開されている。政府部門内に膨大な無駄が存在することが改めて浮き彫りにされている。
こうした事実が国民の見える場で明らかにされることは意義があるが、これだけの無駄が明らかにされながら、問題への対処には不十分さが残る。
昨年末にも事業仕分け第1弾が実施された。
事業仕分けの会場になった独立行政法人国立印刷局の体育館。国立印刷局も事業仕分けの対象とされたが、「抜本的な見直し」とされただけで、その後の対応が明確でない。
枝野氏は、今回の事業仕分けで対象としなかった機関については、対応の方向がすでに定まっており、次のプロセスに移行していると述べた。
しかし、例えば、国立印刷局の体育館売却などについても、期限は定められていないのではないか。
重要なことは、それぞれの機関の見直しについて、具体案を、期限を定めて明示することである。事業仕分けで論議をしたところで、その場限りで意見を述べるだけなら何の意味もない。単なるショーを演じるだけになる。
個別の問題について、実態を精査したうえで俎上に載せなければ、時間がかかりすぎる。事業仕分け人が訳知り顔に意見を述べているが、仕分け人の大半は財務省の御用側人で占められているのが現状である。財務省主計局が予算査定で行っていた作業を、仕分け人に演じさせているだけの印象が強い。
与党国会議員が事前に個別機関の実情を精査し、その国会議員が結論をあらかじめ持って公開討論の場で結論を得てゆかなければ効果的な無駄削減を実現することはできないだろう。事業仕分けの場には、担当した国会議員が出席して直接交渉するべきだ。
同時に、天下りの根絶についての対応があまりにも手ぬるい。
これまで自民党は、「役所によるあっせんを禁止する」ことをもって天下り禁止だとしてきた。
しかし、現実には裏で話をつけておいて、表面的には役所があっせんしたのではないとの説明による天下りが続いてきた。このことを民主党は、実質的な天下り容認であると強く批判してきた。
ところが、枝野氏は天下り容認について、これまでの自民党とまったく同じ説明を繰り返している。つまり制度的に禁止しても、役所のあっせんでないとのことで言い逃れをされてしまう事案が多く、この意味で天下り根絶の実効性をあげることが難しいのだと言うのだ。
この問題をクリアするには、役所を退職後、5年なり10年なりの一定期間、退職直前10年間に在職した職務に関わりのある企業や団体には再就職できないことを定めるなどの、客観基準に基づく天下り禁止規定を置くしかない。
枝野氏はこのことを認識しながら、直ちに実行に移すことを決断しない。時間をかけて衆議院の任期4年間に抜本的な対応を実施すると発言する。
しかし、このような最重要事項について躊躇する理由はない。民主党が天下り根絶を政権公約として明示した以上、迅速な行動を示すことが必要なのである。
悪徳ペンタゴンはこれまでの日本の利権政治を一掃してしまいかねない鳩山政権を激しく攻撃し続けている。その成果として、マスメディアが実施する世論調査では鳩山内閣の支持率が大幅に低下した。
このまま、手をこまぬいていれば、悪徳ペンタゴンの思うつぼになる。
鳩山政権は具体的行動で日本政治刷新に向けての意思を示す必要がある。
三つの課題があると述べた。
その三つの課題に見合う大きなテーマが目の前に存在している。
①普天間基地返還問題で毅然とした対応を示すこと。
②天下り根絶に向けて実効性のある制度改革を断行すること。
③企業団体献金全面禁止を法制化すること。
の三つである。これを着実に実行することである。この三つを実現すれば、日本政治が劇的に転換することは間違いない。
メディアの悪意ある政権攻撃に対抗して、日本政治刷新を実現するには、論より証拠、着実な実践しかないことを銘記するべきである。