平成22年税制改正で成立された中小企業倒産防止共済制度(経営セーフティ共済)の法改正があり、平成23年10月から施行されています。 この法改正に伴い、主に次のような制度改正がなされます。
(1)掛金月額の上限額…8万円→20万円へ引き上げ
(2)共済金の貸付限度額…3,200万円→8,000万円へ引き上げ
(3)一時貸付金の貸付限度額…300万円→760万円へ引き上げ
(4)償還期間…一律5年→貸付額に応じて設定(最長7年)
中小企業倒産防止共済制度に係る掛金は、全額必要経費又は損金へ算入することができます。上記改正に伴う掛金の上限引き上げに係る部分は平成22年度税制改正により手当て済みで、全額必要経費又は損金へ算入することができます。
ということは、8万円の掛け金を20万上げれば月に12万円、さらに決算月に年払いを行えば240万円を追加で損金とすることが可能です。1年間で大きな節税をすることができます。
また満期まで積み立てて役員退職時に取り崩せば退職金の財源にもなります。倒産防止共済は40か月支払えば100%で返戻されます。短期間で解約返戻率が100%で戻ってくるわけですから、あと数年で退職を検討している役員がいる場合などは非常に有効です。(掛け金の上限は800万円です。)実質的には役員退職金を前払しているのと同じ効果があると言えます。
どちらも資金が必要ではありますが節税対策になります。ご検討ください。
なお、取引先事業者の倒産事由として次の項目が追加され、共済金の貸付が受けられるようになっています。
・「私的整理」(平成22年7月から)
・「災害による不渡り」(平成23年4月から)
・「特定非常災害による支払不能」(平成23年4月から)
必要な手続きがあれば早急に対応し、取引先の倒産などによる資金難に備えましょう。
川上裕也