役員の社宅

2015年08月31日 | Weblog

みなさんこんにちは

 いよいよ夏休み最終日となりました。いかがお過ごしでしょうか。幾分暑さも落ち着いて一時期よりか過ごし易くなってきましたね。

 さて、今回は役員の社宅について取り上げたいと思います。

 

 

 

役員に対して社宅を貸与する場合は、役員から1か月当たり一定額の家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)を受け取っていれば、給与として課税されません。

 賃貸料相当額は、貸与する社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。ただし、この社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められないいわゆる豪華社宅である場合は、次の算式の適用はなく、時価(実勢価額)が賃貸料相当額になります。

 

(注1) 小規模な住宅とは、建物の耐用年数が30年以下の場合には床面積が132平方メートル以下である住宅、建物の耐用年数が30年を超える場合には床面積が99平方メートル以下(区分所有の建物は共用部分の床面積をあん分し、専用部分の床面積に加えたところで判定します。)である住宅をいいます。

(注2) いわゆる豪華社宅であるかどうかは、床面積が240平方メートルを超えるもののうち、取得価額、支払賃貸料の額、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定します。なお、床面積が240平方メートル以下のものについては、原則として、プール等や役員個人のし好を著しく反映した設備等を有するものを除き、次の算式によることとなります。

1 役員に貸与する社宅が小規模な住宅である場合

 

 次の(1)から(3)の合計額が賃貸料相当額になります。

 

(1) (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%

(2) 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/(3.3平方メートル))

(3) (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

2 役員に貸与する社宅が小規模な住宅でない場合

 

 役員に貸与する社宅が小規模住宅に該当しない場合には、その社宅が自社所有の社宅か、他から借り受けた住宅等を役員へ貸与しているのかで、賃貸料相当額の算出方法が異なります。

 

(1) 自社所有の社宅の場合

次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。

イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%

 ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合には12%ではなく、10%を乗じます。

ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

(2) 他から借り受けた住宅等を貸与する場合

 会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

3 給与として課税される範囲

 

(1) 役員に無償で貸与する場合には、賃貸料相当額が、給与として課税されます。

(2) 役員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます。

(3) 現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので、給与として課税されます。

(所法36、所基通36-15、36-40~42、平7・4課法8-1外)

 

 税務調査でも論点として挙げられる可能性が高くなる事が予想されます。節税効果は大きいのですが、慎重に検討する必要があります。

 

監査部三課 寺崎 幸治


証憑類の電子データ保存について

2015年08月24日 | Weblog

 

皆さんこんにちは。

八月も下旬となりました。

猛暑、酷暑と言われた夏も、朝晩はめっきり過ごしやすくなりました。

今回は、契約書や領収証など紙媒体の書類の保存について、一定の要件のもと画像データで保存することが出来ることをお知らせしようと思います。

平成27年度税制改正で見直された内容について

1.対象となる書類の拡大

  金額の要件が撤廃され、記載金額3万円以上の契約書、領収証等が対象となりました。

2.適正事務処理要件の追加

  上記1による対象となる書類の拡大で生じる改ざんに対する抑制措置として、定期的なチェック、再発防止策などの体制整備とその体制に基づいた適正な処理を行うことが追加されました。

3.電子署名の廃止

4.入力者等の情報確認要件の追加

  電子署名の廃止により、人物を特定することができなくなるため、入力者等の情報を書面や電子記録により確認できるようにすることが、追加されました。

5.グレースケールでの保存も可能になりました

  見積書や注文書等の書類は、グレースケールでの保存が可能になりました。

スキャナー保存制度の承認申請は、書類の保存を画像データに変更する日の3か月前の前日までに、一定の書類を税務署へ提出します。

この改正は、平成27年9月30日以後の申請分より開始されるため、実質画像データに代える日が平成28年1月1日以後からとなります。

すべての書類でなくても一部を画像データとして保存することも可能です。

大量の書類の保存に悩んでいる方は、一度ご検討なさってはいかがでしょうか。

 

                                                  監査部 平野 誠

 


遺産分割の前に、その相続に係る相続人が死亡した場合

2015年08月17日 | Weblog

みなさん、こんにちは。

福岡は、山笠も終わり、暑さも日に日に厳しくなっておりましたが、最近は、暑さにも慣れたせいか、若干暑さが和らいだような気がしております。

本日は、お盆休み明けということは関係ないですが、遺産分割について、稀にある事例について書いてみたいと思います。

【事例】

父親が亡くなって、その遺産分割が終わらないうちに、母親が亡くなりました。家族構成は、父親と母親の間に2人の子供がいる場合。遺言等は特になし。

【取扱い】

この場合、父親の遺産分割については、通常、その相続人である母親と子供2人が遺産分割協議を行うことによって、父親の財産を分割いたします。

今回の場合、その遺産分割協議が終わらないうちに、父親の相続人の一人である母親が亡くなりました。

その場合、残された相続人である子供2人が、父親の相続財産について、遺産分割の内容を自由に決めることができます。

つまり、母親が亡くなっていても、母親が父親の財産を取得する遺産分割はできますし、母親がまったく父親の財産を取得しない遺産分割とすることもできます。

父親の遺産が分割されましたら、母親の遺産が確定されますので、それをもとに、母親の遺産分割協議を行います。

 

ただし、この場合の相続税について注意することと致しましては、以下のようなことが挙げられます。

・「配偶者に対する相続税額の軽減」「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」「特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例」については、相続税の申告期限までに遺産が未分割である場合は、適用することができない。ただし、原則、申告期限から3年以内に分割された場合には、適用することができる。

・「農地等についての相続税の納税猶予」「非上場株式等についての相続税の納税猶予」については、申告期限後に遺産が分割された場合でも、適用することができない。

 

以上のように、遺産の分割の内容によっては、上記特例等が適用できないことにより、納税負担が大きくなることもございますので、よくご検討いただいてから、遺産分割の内容等を決めてください。

 

 

吉野直樹

 

 

 


役員報酬の決め方

2015年08月10日 | Weblog

ブログをご覧の皆様、こんにちは。2課の朴賢大です。

 

最近、とある法人が決算を迎え、申告まで無事に終えました。

この時期は、年に1度の役員報酬改定の時期ということで、いくらにしましょうか、と検討しておりましたが、その過程で感じたことを紹介したいと思います。

 

例えば、来期の役員報酬支払前の利益見込みが3千万円とします。

一般的には、役員報酬3千万円でしょうか。法人に利益を残しても税金を取られるだけ、と考えることが多いようです。慎重な方は、余裕をもって2,700万円とするかもしれません。

3千万円の場合、法人の税金は均等割のみで71千円です。所得控除が2百万円として、個人の税金は1千万円、合わせて1千万円程度です。

 

役員報酬を22百万円にしてみましょう。法人に利益が8百万円残りますので法人の税金が2百万円、個人の税金は6百万円、合わせて8百万円程度です。

法人・個人の違いはありますが、役員報酬を調整することで手元に残るお金は2百万円の違いが出ることになります。

法人減税、個人増税の影響ですね。

 

わかりやすくするために役員1名、法人・個人の税金だけに限ってお話しましたが、配偶者も役員の場合や、社会保険料まで考慮すると、結論は変わります。もっと言えば、上記例のように1年間だけではなく、退職までの期間を見通して計算した場合、退職金も出せますので、結論がまた変わります。

 

もちろん、役員報酬ですので、労働の対価として適正な金額とする必要がありますが、許される範囲でなるべく手元にお金が残るよう、役員報酬を見直してみるのもよいのではないでしょうか。

 

ご興味のある方は、弊所までご一報下さい。

 

 

2課 朴賢大


生産性向上設備投資促進税制

2015年08月03日 | Weblog

みなさん、おはようございます。

毎日暑い日が続きますね。ざるそばばかり食べている藤野です。

九州北部もやっと梅雨明けしました。今年の梅雨は長かったですね。梅雨明け予定日あたりに台風が来たので正確な梅雨明けが分かりませんでした。気象庁のホームページで確認してみると、九州北部の梅雨明けは7月29日、例年より10日も遅かったというこが分かりました。うーん…無理やりプラス思考へ変換…水不足の心配が無いことは良いことです!

 

さて、本日は私が先日対応、確認書を取得しました「生産性向上設備投資促進税制」についてお話したいと思います。

まずは、制度概要の説明を。

平成28年3月末までに一定の要件を満たす最新設備を導入する場合(A類型)や、同じく利益改善のための設備を導入する場合(B類型)、取得価額の5%の税額控除を受けるか、若しくは即時償却(取得費の全額が取得年度の経費になること)をすることが出来るというものです。

A類型はB類型より適用要件が厳しいので、適用可能性の高いB類型に限ってお話を進めていきたいと思います。

 

この制度の良いところは、利用できる業種や企業規模に制限がないということです。

一方、設備投資時に使えるという意味で近い制度として「中小企業等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除」と言うものが有りますが、歯科の場合、ユニットやCTを導入してもこれらは器具備品に該当し、機械等に該当しないので残念ながら使えません。

 

生産性向上設備に戻ります。さて、この制度の注意点としましては、設備の導入前に経営者若しくはそれに近い方と弊所担当者が経済産業局に出向いて面談を受け、経済産業局の確認書の発行を受けておく必要があるということです。経済産業局は九州の場合ですと(沖縄除く)、博多の合同庁舎だけになります。鹿児島などの遠方の方だと時間と旅費をかけるだけの効果があるのかも検討事項に入れる必要がありますね。

 

私どもは基本的に月次監査訪問と言いまして、顧問先を毎月訪問しています。その際に設備投資計画についても確認をしています。事前にお話し頂ければ対応できます。しかし、もう買ってしまっていたなんて場合は、後から遡っては適用できませんので注意が必要です。

 

いかがでしたか。手間はかかりますが魅力的な制度だと思いますよ。適用漏れの無いよう要件の確認、事前準備をしておきたいですね。

 

まだまだ暑い日が続きます。体調管理に気を付けて、どうぞ夏バテなどなさいませんよう元気にお過ごしください。

監査部2課 藤野慶一