【雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除】

2018年06月25日 | セミナー

皆様こんにちは、本日は雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除について

中小企業等の取り扱いにフォーカスして記載を致します。

当該税制は2年連続改正があり、お客様よりご質問をいただく機会が多いため、

改正前(~H30.3.31)、改正後(H30.4.1~)に分けて要件や税額控除についてご説明を

させていただきます。

 

【改正前の要件】(1)~(3)すべてを満たすこと
(1)雇用者給与等支給額が基準事業年度(平成24年度)から増加
 (給与総額:当年≧基準年×103%)
(2)雇用者給与等支給額が前事業年度以上
 (給与総額:当年≧前年)
(3)平均給与等支給額が前事業年度から増加
 (平均給与:当年>前年)

【改正後の要件】
(1)平均給与等支給額が前事業年度から1.5%以上増加
 (平均給与:当年≧前年×101.5%)

※継続雇用者の範囲も下記の通り見直しがされております。

 改正前:前期と当期双方で1ヶ月でも給与が支払われている社員は対象。

 改正後:前期と当期の全期間でかつ各月給与が支払われている社員のみが対象。


【改正後の税額控除】
(当年の給与総額-前年の給与総額)×15%が控除され、更に上乗せの要件に該当した場合は(当年の給与総額-前年の給与総額)×25%が控除されます。
※ 上乗せの要件とは
1. 平均給与等支給額が前事業年度から2.5%以上増加
2. 次のいずれかを満たすこと
 ・教育訓練費が対前年度比10%以上増加
 ・経営力向上計画の認定を受け、経営力向上がなされている

※経営力向上計画の申請につきましては経済産業省のHPをご確認ください。

 

【その他の留意事項】

1)青色申告の法人又は個人事業主が対象
2)適用時期
  法人:平成30年4月1日~平成33年3月31日までに開始する各事業年度
  個人:平成31年~平成33年までの各年度
3)設立1期目は適用できない
4)廃業年度は適用できない。

5)税額控除の限度額は法人税額(所得税額)×20%

 

税額控除の要件が3つから1になり、適用を受ける事が出来る会社、個人事業主の間口こそ広がりましたが、改正前の基準事業年度の要件廃止のため、税額控除額は縮減という内容になったといえます。

 HPはこちらから www.fukuda-j.com

 

監査部

梅北聖人


国税の猶予制度

2018年06月18日 | 税務情報(法人関係)
利益は出たが、税金を払う資金がない・・・よくある話だと思います。
そういう場合の救済制度として国税の猶予制度があります。
以下、国税庁抜粋(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/itiji_leaflet.pdf)。
 
【換価の猶予】
差押に係る国税が任意納付されない場合には、差押財産を換価して滞納国税に充当することが原則です。
ただし、次の①から⑤の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が認められる場合があります。
① 国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること
② 納税について誠実な意思を有すると認められること
③ 換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
④ 納付すべき国税の納期限から6か月以内に申請書が提出されていること
⑤ 原則として、担保の提供があること
※上記の「申請による換価の猶予」のほか、「税務署長の職権による換価の猶予」があります。

【納税の猶予】
利益が出たら、当然ながら税金が出て納税義務が発生します。税金は納税期限までに納付しなくてはなりません。
ただし、次の①から④の要件の全てに該当するときは、原則として1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められる場合があります。
① 次のAからFのいずれかに該当する事実があること
 A 納税者がその財産につき、震災、風水害、落雷、火災その他の災害を受け、又は盗難に遭ったこと
 B 納税者又はその者と生計を一にする親族が病気にかかり、又は負傷したこと
 C 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと
 D 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと
 E 納税者に上記AからDに類する事実があったこと
 F 本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定したこと
② 猶予該当事実に基づき、納税者がその納付すべき国税を一時に納付することができないと認められること
③ 申請書が提出されていること(上記「①F」の場合は納期限までの提出)
④ 原則として、担保の提供があること
※国税の納期限前に災害により財産に相当の損失を受けた場合には、別途、被災者のための納税の猶予があります。
 
 
この制度ができる前の話しですが、
今から10数年前、世間では日本のモノづくり、製造業は大ピンチでした(今でも苦しい製造業は数多くありますが・・・)。
当時私が経理で勤めていた会社の資金繰りも御多分に漏れず、大ピンチで、絞りっ切っても法人税、消費税が払えません。
法人税、消費税合わせて、たしか3,000万円くらいだったと思います。
返済はとっくに止めています。追加融資も望みはありません。
仕方なく、上司が税務署へ事情を説明に行き、一年サイトの手形を振り出して、税務署の金庫へ保管してもらいました。
税務署長が対応してくれたそうです。
半年ほどで何とか融資が確保でき、無事に法人税、消費税も払う事ができました。
そのときは延滞税も利子税もありませんでした。
粋な話です。
 
「税務署長の職権による換価の猶予」にあたると思いますが、いまはそんなに簡単な話ではないと思います。
会社にとっては、あの時、あれからの数年間が勝負でした。それから起死回生の出来事がいくつも起こり、資金繰りは見事V字回復しました。
 
あの当時の私も若かったので、
数年間給与も上がらず、賞与もなく、膨大な残業の中でも少しずつ会社が良くなるという楽しみがあったのですが、家庭がある現在ならとてもできません。
それでも、20代後半から30代前半のあの苦しい会社の状況で経理として残ることができた・・・私にとって大きな経験と自信になっています。
 
自分の意見を若い方達に押し付けるのではないのですが、
今の若い方達は、情報処理能力も高く、コミュニケーションも上手です。ただ失敗を恐れず、困難にぶつかっていく精神力が足りないのかなと思います。
国税の猶予制度はありますが、若い時代の経験は猶予できません。
若い方達は、もっと自ら困難にぶつかって欲しいと思う今日この頃です。
もちろん背後からではなく、真正面から正々堂々とです。
 
 
監査部二課 吉野伸明(そうは言っても自分もまだまだ若いはず・・・)
 
 

住民税の特別徴収

2018年06月11日 | セミナー

梅雨に入り雨が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

6月の給与の支払いが近づいていますね、給与を支払う側も受け取る側も注意が必要です。

6月の給与は住民税の特別徴収の第一回目の徴収となります。給与を支払う側は5月中に各自治体から届いた特別徴収税額決定通知書をもとに従業員の給与から住民税を預かり、翌

月の10日までに納付する必要があります。

また、給与を頂いている側はしっかり給与明細を確認してください。なかには明細も確認せず振り込まれた金額で管理しているかたもいらっしゃるかと思いますが、

ご自身がどの程度、税金、社会保険料などを支払っているかしるためにも給与明細をしっかり確認してください。

住民税の金額は前年の所得で決定します。前年に昇給があったかたは増税になることが多いかと思います。しかし住宅取得等借入金控除が所得税で控除しきれなかったり、

ふるさと納税をワンストップ納税で申告した方は住民税が少なくなります。

住民税の特別徴収は平成29年6月より義務化され、今まで普通徴収だった方もどんどん特別徴収になっています。

特別徴収ですと雇用主が代わりに納付してくれるので簡単ですが、まかせっきりにせずご自身の状況を確認するためにもしっかり明細等を確認してください。

 

HP www.fukuda-j.com

 

監査部/尾方 鼓


九州デンタルショー

2018年06月04日 | セミナー

九州も梅雨入りし、紫陽花の花が似合う季節になりました。皆さまいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、6月2日(土)、3日(日)とマリンメッセで九州デンタルショーが開催されました。㈱コムネット様のセミナーにて、熊本市で開業されている山崎芳徳先生と弊所所長が「スタッフを逃がさず、患者さんをとりこにする!」というテーマで講演を行いましたので応援に行ってまいりました。

 

私も月次訪問で歯科医院を訪問していますが、人手不足は深刻です。人手不足で経営に支障をきたしている医院が幾つもあります。そういう意味でまさに待ち望んでいたテーマでした。

 

私が講演の中で素晴らしいと感じたものは、コールセンターを設置して、スタッフさんの「心の声」を聴けているということでした。退職を決意する前に、不満や悩みに早期に気付けることで対策が打てますし、回避することができます。

採用が難しい昨今、今いるスタッフに長く続けてもらうことは大事です。コールセンターにはこういった問題に精通した外部講師の力も借りていますので非常に心強いです。

 

歯科医院を運営していくには技術以外に、経営、労務の力も必要で、日々診療を行いながら、経営や人の問題に対処していくのは簡単なことではありません。多くの先生方は試行錯誤しながら、実際に幾つもの試練を乗り越えて医院経営をされています。

コールセンターという外部の力をかりることで人の問題を軽減できるのであれば是非検討して頂きたいと思います。

私も顧問先の先生に紹介してみようと思います。

 

監査部2課  藤野