NISA 複数口座を容認か!?

2013年07月29日 | Weblog
7月もあと数日となり暑い日が続いておりますが、熱中症等には充分お気をつけくださいませ。

さて、以前弊所のブログでも紹介致しました「少額投資非課税制度」(NISA)について、
金融庁は制度改正の検討に入ったようです。
イギリスの制度と比較するとまだまだ利用しづらい面がある事が指摘されていた同制度ですが、
銀行や証券会社など金融業界からの要望を踏まえ、2014年度税制改正要望に盛り込む方針のようです。

検討内容は以下の通りです。
①一人につき一口座に限定 → 複数の金融機関で開けるようにする
②配当や売却益が非課税となるのは上場株式と上場株式投資信託に限定 → 国債などの公社債、公社債投資信託も加える

金融庁は、2020年までにNISAの投資残高を25兆円とする目標を掲げていることから
今後も改正が行われる可能性があります。

話は変わりますが、
平成25年度の税制改正では
平成28年1月1日以後に受ける「特定公社債等」の利子等、および譲渡した場合の譲渡所得等については、
20%(所得税15%、住民税5%)の税率による申告分離課税の対象となります(利子等は20%源泉徴収)。
さらに、上場株式等の譲渡損失及び配当所得との損益通算が可能となり、
特定口座での取扱いも可能となります。

従来からある制度もどんどん改正されていきますし、
新しく導入された制度も早速改正が検討されるなど、頭が混乱してきますが…。

新しい情報が入りましたら、また紹介していきたいと思います。

前田哲也

小規模宅地等の特例

2013年07月23日 | Weblog
例年より早い梅雨明け後、猛暑が続いておりますが皆さんいかがお過ごしでしょうか。
福岡も山笠が終わり、夏本番となっております。

今回のお題は、小規模宅地等の特例についてお話ししたいと思います。
平成25年度の税制改正により、相続税の課税対象者が平成27年より増えることが予想されます。
これは、相続税の基礎控除額が引き下げられたことに起因します。
この改正とは同時に、小規模宅地等の特例の一部条件が緩和されます。

ちなみに、小規模宅地等の特例とはどのようなものかと言うと、相続開始直前において、被相続人(亡くなられた方)が事業用若しくは居住用として所有していた宅地等を相続により取得した場合に、その宅地等の評価額を最大8割減額できる特例のことです。
条件により減額できる面積や割合は異なりますが、地価の高い都市圏での事例につては、相続税額の計算に大きく影響してきます。

緩和された条件とは、被相続人が老人ホーム等の施設に入所されている場合についてです。
家族での介護が難しくなり老人ホームに入所されたり、サービス付き高齢者住宅に住まわれていた方がなくなった場合、その方が所有していた自宅にかかる敷地についてこの特例の要件の「居住用として利用していた」に該当するかどうかです。

次の場合には、被相続人の居住の用に供されていた宅地として特例の適用を受けることができます。
①被相続人の身体または精神上の理由により介護を受けるために、老人ホームへ入所した場合
②被相続人がいつでも生活できるように維持管理が行われている。
③建物を他の者の居住用にしていない。
④老人ホームは、被相続人が入所するため被相続人またはその親族によって所有権が取得され若しくは終身利用権が所得されたものでない場合。

今回の改正で緩和されたのは、④の条件です。
④の場合でもそのほかの条件が認められるときは、居住用として利用していたと考えられるようになりました。
また、この条件緩和は平成26年1月1日以後の相続から適用されます。
地価が高く、相続人の少ない事例については、嬉しい改正となっております。


                                監査部  平野 誠

雇用促進税制

2013年07月16日 | Weblog
暑い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。
皆様くれぐれもご自愛ください。

雇用を増やす企業を税制上優遇する制度(雇用促進税制)が、平成25年度税制改正により、税額控除限度額「20万円⇒40万円×基準雇用者数」へ引き上げられる拡充がなされました。
これは、事業年度中に雇用者(雇用保険一般被保険者)数を5人以上(中小企業は2人以上)かつ10%以上増加させるなど一定の要件を満たした事業主に対する税制優遇制度です。
これにより雇用者の増加1人当たりの税額控除額が20万円から40万円になりました。(平成25年4月1日以降に事業年度が始まる法人)
【要件①】青色申告書を提出する事業主であること
【要件②】適用年度とその前事業年度に事業主都合による離職者 がいないこと
【要件③】適用年度に雇用者(雇用保険一般被保険者)の数を5人以上(中小企業の場合は2人以上)、かつ 、10%以上増加させていること
【要件④】適用年度における給与等の支給額が、比較給与等支給額以上であること
【要件⑤】風俗営業等を営む事業主ではないこと
厚生労働省のHPもご参照ください。
http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudouseisaku/koyousokushinzei.html


平成25年度税制改正で創設の所得拡大促進税制が始まりました。
従業員の所得を一定以上拡大したときに法人税が減税されるものです。
個人の所得水準を底上げする観点から、従業員への給与などの支給額を、基準事業年度から5%以上増加させる等の条件を満たした場合に、支給増加額の10%を法人税の税額控除として申請できる税制です。
※基準事業年度とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度をいいます。
平成25年4月1日から平成28年3月31日までの期間内に開始する各事業年度(個人事業主の場合は、平成26年1月1日から平成28年12月31日までの各年。以下「適用事業年度」といいます。)において、国内雇用者に対して給与等を支給し、以下の3つの要件を満たした場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除ができる制度です。
ただし、控除できる税額は、その適用事業年度における法人税の額(個人事業主の場合は、所得税の額)の10% (中小企業の場合は、20%) が限度となります。
【要件①】雇用者給与等支給増加額の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であること
雇用者給与等支給増加額≧基準雇用者給与等支給額×5%
【要件②】雇用者給与等支給額が比較雇用者給与等支給額以上であること
雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額
【要件③】平均給与等支給額が比較平均給与等支給額以上であること
平均給与等支給額≧比較平均給与等支給額
経済産業省のHPもご参照ください。
http://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.htm#Q1

所得拡大促進税制は以前にも弊所の藤野よりご紹介しておりました通りです。
雇用促進税制の適用が受けられる状況にある場合は、どちらか一方の有利選択になります。
是非ご検討ください。

阿部 笑美子

消費税UPまであと9ヶ月!

2013年07月08日 | Weblog
おはようございます。
H25年度も7月に入り、早くも後半へと突入いたしました。
残りのH25年度での設備投資等をお考えの経営者の方々もいらっしゃることと思います。
特に来年春にやってくる消費税率UP、5%→8%により検討されている方は多いのでは・・・

今日は以前にも紹介されていた増税にまつわる消費税の経過措置につき、
広く浅く紹介したいと思います。

①旅客運賃等の不特定かつ多数の者に対する課税資産の譲渡(旅客運賃、映画等の入場料金、美術館等の施設の入場料金)
 →(現行の税率が適用される場合)H26年4月1日前に対価を領収し、H26年4月1日以後に課税資産の譲渡を行う場合

②継続供給契約に基づく役務提供(電気、ガス、水道、電話に係る料金等)
 →(現行の税率が適用される場合)H26年4月1日前から継続して供給を受けH26年4月1日からH26年4月30日までの間に料金の支払いを受ける権利が確定するもの

③工事・製造等の請負契約に基づく課税資産の譲渡
 →(現行の税率が適用される場合)H25年9月30日までに締結された契約に基づき、H26年4月1日以後に課税資産の譲渡等を行う場合

④長期大規模工事請負契約に基づく課税資産の譲渡
 →(現行の税率が適用される場合)指定日からH26年3月31日までの間に締結した長期大規模請負工事契約に基づき、H26年4月1日以後に目的物の引渡しを行う場合の、H26年3月31日までの期間に対応する部分の対価の額

⑤資産の貸付契約に基づく資産の貸付
 →(現行の税率が適用される場合)H25年9月30日までに締結された契約に基づき、H26年4月1日前から同日以後に引き続き貸付を行っている場合で、一定の要件を満たすとき

⑥長期割賦販売等による課税資産の譲渡等
 →(現行の税率が適用される場合)施行日前に行った長期割賦販売等につき延払基準の方法により経理を行っている場合に、施行日以後にその支払期日が到来する賦課金に係る部分の課税資産の譲渡等

⑦リース延払基準の方法により経理した場合の長期割賦販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例を受ける場合
 →(現行の税率が適用される場合)施行日前に行ったリース延払基準の方法により経理した場合の長期割賦販売等に係る資産の譲渡等について、施行日以後に資産の譲渡等を行ったものとみなされるリース譲渡延払収益額に相当する課税資産の譲渡等に係る消費税

⑧定期購読契約に基づく書籍等の譲渡
 →(現行の税率が適用される場合)契約に定められた当該譲渡に係る対価の全部または一部を施行日前に領収している場合で、物品の譲渡を施行日以後に行う場合

⑨特定新聞等
 →(現行の税率が適用される場合)発売日が施行日前であるもののうち、その譲渡が施行日以後に行われるもの

⑩通信販売による物品の譲渡
 →(現行の税率が適用される場合)指定日前に条件を提示し、または提示する準備を完了した場合において、施行日前に申込みを受けて当該提示した条件に従って施行日以後に商品を販売した場合

H25年4月、国税庁消費税室による「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取り扱いQ&A」には、問59まで掲載されています。
法律が変わるということは大変なことですね。

監査部2課 津田千春

事業承継税制の要件緩和

2013年07月01日 | Weblog
みなさん、こんにちわ!

平成25年の税制改正案では事業承継税制の提供要件が大幅に緩和されています。今回はその改正ポイントを挙げて概要整理してみたいと思います。
事業承継税制とは中小企業の後継者の方が、現経営者から会社の株式を承継する際の相続税・贈与税の軽減制度です。


①事前確認の廃止・・・今までは経済産業大臣の「事前確認」を受ける必要があった。
             ⇒受けなくても手続き可能になる。
②親族外承継の対象化・・・今までは現経営者の親族に限定されていた。
               ⇒親族外にも承継可能になる。
③雇用8割維持要件の緩和・・・今までは雇用の8割以上を「5年間毎年維持」が要件だった。 
                 ⇒「5年間平均」での評価に緩和。
④納税猶予打ち切りリスクの緩和・・・今までは要件を満たせず納税猶予打ち切りの際は、納税猶予額に加えて利子税の支払いが必要だった。
                    ⇒利子税を引き下げ(現行2.1%→0.9%)、さらに承継5年超で5年間の利子税を免除する。
⑤役員退任要件の緩和・・・今までは現経営者は贈与時に役員を退任する必要があった。
               ⇒贈与時に「代表者」を退任していればよい(役員として残留可)
⑥債務控除方式の変更・・・猶予税額の計算で現経営者の個人債務・葬式費用を株式から控除する為、納税猶予額が少なく算出されていた。
              ⇒現経営者の個人債務・葬式費用を株式以外の相続財産から控除することになる。
               納税猶予額がすくなくなることがない。


ずいぶんと使いやすくなった印象を受けます。しかし事業承継は多くの中小企業経営者が抱えている喫緊の課題にもかかわらず、どうして改正前がこんなに使い勝手の悪いものだったのか、もっと早く改正しなかったのか、という印象です。

この改正は平成27年1月以降に適用されます。
事業承継を検討中の経営者の方は改正の概要と適用時期を念頭においておかれると良いと思います。

川上裕也