7月23日の日本経済新聞朝刊に教育資金一括贈与の非課税期間(当初平成25年4月1日~平成27年12月31)を2~3年延長する旨の記事がありました。更には非課税対象のお金の使い道を教育資金以外にも拡充する案も浮上いるようです。
この制度は、祖父母が孫に教育資金を一括で贈与する際、1,500万円まで非課税となる制度であり、平成25年4月1日からスタートしております。また、この制度の狙いは日本の個人金融資産1,500兆円の6割を握るといわれる60歳以上の高齢者から、子育て世代にお金を回し消費を促す事にあるようです。
ここで気になる利用状況ですが、平成26年6月時点で教育資金贈与信託の利用件数は、既に7万6,851件、贈与額は5,193億円に達しており、当初2年間で見込んでいた5万4,000件をすでに上回る好調ぶりです。
また、平成27年1月1日以後の相続税の改正により、基礎控除額の引き下げや最高税率の引き上げにより相続税納付者及び納付額が増えることが、高齢者から子世代孫世代への金融資産の移転をさらに促進させ、この制度を後押ししていると考えられます。
しかし、ご利用の際には子や孫が30歳になるまでに使い切れなかった場合には、贈与税の負担が生じるという事をしっかり覚えていてください。ということは、祖父母が高齢で、孫がまだ小さいというケースが1番利用しやすそうですね。ただし、この制度を使わないと教育資金の贈与が非課税にならないかと言うと、そうではありません。祖父母等(直系尊属)が孫などに教育費に充てるために通常必要と認められる範囲内で金銭を贈与した場合、教育費として必要な都度、教育費の用に直接充てたのならば、贈与税は非課税になります。しかし、贈与を受けた人がすぐに使わず預貯金とした場合は、贈与税は非課税となりません。では、どのような時に一括贈与の非課税措置を利用する価値があるかというと、
①祖父母等(贈与者)が死亡した時に相続税が生ずるケース。
②祖父母等が高齢で孫がまだ小さいというケースで、教育のために一度にまとまった金銭を孫などに贈与したいとき。
③祖父母等が突然の余命宣告をされた場合や、認知症等により、判断力が無くなる前に、ご自身の意思により前払で贈与しておきたい場合。
※贈与者の死亡前3年以内に教育資金の一括贈与が行われた場合であっても、その贈与された金銭等の価額は相続税の課税価格に加算されません(3年内贈与加算の適用除外)。
といったところではないかと考えられます。また、上記以外にも注意する点がございますので、金融商品取扱者や税理士などの専門家にしっかりと説明を受けてご利用をお考えになられてください。それでは、まだまだ暑い日が続きますので、皆様もお身体壊しませんようお気を付けください。
監査部1課
梅北 聖人