教育資金一括贈与の非課税措置、延長の見込み

2014年08月25日 | Weblog

7月23日の日本経済新聞朝刊に教育資金一括贈与の非課税期間(当初平成25年4月1日~平成27年12月31)を2~3年延長する旨の記事がありました。更には非課税対象のお金の使い道を教育資金以外にも拡充する案も浮上いるようです。

この制度は、祖父母が孫に教育資金を一括で贈与する際、1,500万円まで非課税となる制度であり、平成25年4月1日からスタートしております。また、この制度の狙いは日本の個人金融資産1,500兆円の6割を握るといわれる60歳以上の高齢者から、子育て世代にお金を回し消費を促す事にあるようです。
ここで気になる利用状況ですが、平成26年6月時点で教育資金贈与信託の利用件数は、既に7万6,851件、贈与額は5,193億円に達しており、当初2年間で見込んでいた5万4,000件をすでに上回る好調ぶりです。

また、平成27年1月1日以後の相続税の改正により、基礎控除額の引き下げや最高税率の引き上げにより相続税納付者及び納付額が増えることが、高齢者から子世代孫世代への金融資産の移転をさらに促進させ、この制度を後押ししていると考えられます。

しかし、ご利用の際には子や孫が30歳になるまでに使い切れなかった場合には、贈与税の負担が生じるという事をしっかり覚えていてください。ということは、祖父母が高齢で、孫がまだ小さいというケースが1番利用しやすそうですね。ただし、この制度を使わないと教育資金の贈与が非課税にならないかと言うと、そうではありません。祖父母等(直系尊属)が孫などに教育費に充てるために通常必要と認められる範囲内で金銭を贈与した場合、教育費として必要な都度、教育費の用に直接充てたのならば、贈与税は非課税になります。しかし、贈与を受けた人がすぐに使わず預貯金とした場合は、贈与税は非課税となりません。では、どのような時に一括贈与の非課税措置を利用する価値があるかというと、

①祖父母等(贈与者)が死亡した時に相続税が生ずるケース。

②祖父母等が高齢で孫がまだ小さいというケースで、教育のために一度にまとまった金銭を孫などに贈与したいとき。

③祖父母等が突然の余命宣告をされた場合や、認知症等により、判断力が無くなる前に、ご自身の意思により前払で贈与しておきたい場合。

※贈与者の死亡前3年以内に教育資金の一括贈与が行われた場合であっても、その贈与された金銭等の価額は相続税の課税価格に加算されません(3年内贈与加算の適用除外)。

といったところではないかと考えられます。また、上記以外にも注意する点がございますので、金融商品取扱者や税理士などの専門家にしっかりと説明を受けてご利用をお考えになられてください。それでは、まだまだ暑い日が続きますので、皆様もお身体壊しませんようお気を付けください。


監査部1課
梅北 聖人

わっしょい百万ふるさと納税

2014年08月18日 | Weblog
西日本新聞にこのような記事があった。

「ふるさと納税」よろしく 北九州市、空港で帰省客にPR

8/4にこのブログでふるさと納税について案内していた中タイムリーな記事だったため記事を少し紹介すると、


北九州市は16日、北九州空港で、お盆の帰省客らに「ふるさと納税」をPRした。故郷への思いが強くなるお盆の時期に新しい寄付者を募るため、市のキャラクターや市職員が空港利用者にチラシ千枚を配った。

 ふるさと納税は、出身地や応援する自治体に寄付をすれば、住民税などが軽減される制度。市は2013年度から1万円以上の寄付者に対し「返礼品」として地場特産品を贈り始めたため、13年度の寄付件数は846件と12年度(46件)の約18倍に伸びている。

 この日は、市のキャラクター「ていたん」や市職員数人が参加。関東方面に戻る帰省客に納税の制度や返礼品の内容を紹介したチラシを配り、「よろしくお願いします」と声をかけた。(以下省略)
2014/08/17付 西日本新聞朝刊



とのこと。私自身ふるさと納税をしたことがなかったし今まで特に興味はなかったのだが、返礼品ありというならば、これを機に北九州市出身の者として返礼品期待で市へふるさと納税をしてみようと思う。なお、ふるさと納税の手順や仕組みについては2つ前の8/4の福田二郎の記事をお読みいただければ明快だ。

さて最近、いくつかの経営系のセミナーに出席する機会があったのだが、歯科であっても医科であっても経営系のセミナーに出席すると、マーケティングの4Pを用いて広告戦略を紹介している講師の方に出会うことがある。マーケティングの4Pとは、

① Product 製品
② Price 価格
③ Place 流通
④ Promotion プロモーション

のことをいい、企業側の目線に立ったマーケティングの考え方のことだ。セミナーの講師の方はこれを歯科や医科の経営に応用していく方法を紹介している。ここでは4Pについての詳しい説明はしないが、医院サイドからどのような順路で患者さんへアプローチするのかを考えるにはとても良い方法に違いはない。

今日ご紹介したいのはこれとは別の「マーケティングの4C」という考え方だ。有名な4Pとは対になる顧客側からのアプローチとして存在するものであり、徹底的に顧客側の視点からマーケティングを捉えた考え方になる。4つのCとは、

① Customer Value 顧客にとっての価値
② Cost to the Customer 顧客の負担
③ Convenience 入手の容易性
④ Communication コミュニケーション

のことをいう。競争が激化している歯科経営や医科経営において、医院サイドから患者さんへのアプローチの順路を考える4Pも重要だが、それと同時に患者さんサイドから医院のマーケティングの順路を考える4Cの考え方も必要になってきていると感じる。

まず①だが、製造した製品や、行うサービスを如何に売り込むかを考える4Pとは違い、あくまでも患者さんにとっての価値が何かを見つけ出すことから始まる。医療系であれば患者さんの一番中心にある最大の価値とは「健康であること」かもしれない。しかしそれを10代なのか60代なのか、男性なのか女性なのか等、医院がターゲットにしている患者層にあわせて考えていくと健康から派生した新たな価値にたどり着くはずだ。それを①とする。

次に②では、患者さんが①の価値を得るためのコストを考えそれを最小化していく。これは何も金銭面だけの話ではない。待ち時間だってコストだし、待合室で顔見知りと会うストレスも②に含まれる。こういった患者さんにとって負荷となるものを最小化していく。

そして③で、医院のサービスを患者さんが手軽に享受できているかを考える。歯科であれば次回予約が早くて三週間後しかとれないという状況であればそれは③に反しているし、医科であれば朝の診療受付前に入口玄関の所でおじいちゃんおばあちゃんが並んで待っている状況もこの③に反している。

そして最後に④で、これら①から③までを含む医院の姿や取り組みがしっかりと患者さんに案内できているか、発信できているか、もっと言うとメッセージがちゃんと届き患者さんに受け入れられているかを逐次確認し見直していかなければならない。

私たちはこんな医院です!こんな診療をやっています!設備は最新です!このような情報をProductとしてターゲットにプロモーションしていくことも大切だが、競争が激化していく中では、まず徹底的に4Cを固めることが必要になる。このような事というのは、言われてみると「なんだそんなことか」と誰もが思うようなことがほとんどだ。しかし大学の教科書に載り、もう何十年も何百年も学ばれ続けていることでもある。言われれば「なんだ」と思うようなことにしっかり取り組めているのか、頭で考えるだけではなくて、①から④までのことをすぐさま紙の上で戦略と交え論理的に語れるのかが、競争が激化していくこれからの医院経営の中ではとても大切なことになってくる。4Pと4Cはどちらが良い悪いではなく、両輪として採用できる考え方なので是非ともこれを機に4Cについても考えてもらえればと思う。

監査部一課 原浩恭

不動産を売却した場合の税金

2014年08月11日 | Weblog
皆さん、おはようございます。

本日は、土地や建物などの不動産を売却した場合の、基本的な税金の考え方についてお話をさせて頂きます。

不動産については、購入した時には不動産取得税などが課税され、また、保有している時には固定資産税などが課税され、様々な税金が関係してまいります。

そして、不動産を売却した場合にも、利益が出た場合には税金が課税されます。

では、どのような税金が課税されるのでしょうか。


不動産を売却する者が法人である場合には、売却益に対して法人税が課税されます。

一方、個人が不動産を売却する場合には、譲渡所得に対して所得税及び住民税が課税されることになります。

譲渡所得とは、所得税や住民税を計算する際の所得の一つで、その計算方法と税率は以下のとおりとなります。

① 計算方法

譲渡所得 = 譲渡対価 - (取得費 + 譲渡費用)

  ・譲渡対価

    不動産の売却価額

  ・取得費

    不動産の購入価額に、原則として購入時に支払った仲介手数料等を加算した金額(建物などの場合は、購入時から売却時までの価値減少分である減価償却費相当額又は減価の額を控除した金額)

  ・譲渡費用
  
    不動産の売却時に要した費用等

② 税率

不動産を売却した場合の所得税と住民税の税率については、その不動産の所有期間が5年以下か5年超かで区分することになります。
なお、土地と建物の所有期間は、売却した年の1月1日時点で行うことになります。

    所有期間      5年以下      5年超

    所得税率       30%      15%
    住民税率        9%       5%

     ※ 上記とは別に、平成25年から所得税に対して2.1%の復興所得税が課税        されます。

以上となります。


今回は、不動産を売却した場合について、法人及び個人の税金の基本的な考え方についてお話をさせて頂きました。

不動産の売却には、様々なケースがあると思いますので、ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

木山 浩晃

ふるさと納税「寄付」で住民税と所得税の控除

2014年08月05日 | Weblog
毎日暑い日が続きます。
本日のブログは趣向を変えて、ふるさと納税【寄付】についてご案内します。ふるさと納税をした地方自治体から特典が受け、さらに確定申告時に住民税と所得税の控除が受けられるというものです。



「ふるさと納税」とは、ふるさと(自分が貢献したいと思う都道府県・市区町 村)への寄付金のことで、個人が2,000円を超える寄付を行ったときに、住民税(5,000円を超える部分)と所得税(2,000円を超える部分)から 一定の控除を受けることができる制度です。
寄付先の“ふるさと”には定義はなく、出身地以外でも「お世話になったふるさと」や「これから応援したいふるさと」など、各自が想う“ふるさと”を自由に選ぶことができます。
つまり、納税者が税金の納付先や使い道を指定できる制度です。
※ 税を新たに納めるものではなく、地方公共団体(都道府県及び市区町村)に寄付をした場合、所得税・住民税から一定の寄付金控除が行われるものです。



例えば、A市に住む人が地方公共団体のB市に「ふるさと納税」として寄付すると、A市への住民税は、税額控除により減額され、地方公共団体のB市に税金を納めたのと同じようなことになります。
但し、寄付金控除を受けるには、寄付をした方が地方公共団体(都道府県・市区町村)が発行する領収書を添付して、確定申告する必要がありますのでお忘れなく。


ここでいう“ふるさと”。つまり寄付先の地方公共団体(都道府県・市区町村)では、各地の特性を活かした様々な活動メニューを用意しています。
ネット検索でふるさと納税と検索してみてください。いろんな地方自治体が楽しいメニューを考えていますよ。
これを機に、「ふるさと納税」という手段を使って、あなた自身が税の使い道を選んで、貢献してみてはいかがでしょうか。

                                                    2014.8.4 福田二郎