皆さん、こんにちは。
新型コロナに追い打ちをかけるように豪雨災害が各地で起きています。
亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに被害を受けられた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被害を受けられた方は税額控除や納税猶予がありますので、最寄りの税務署へご確認されてください。
さて今回は、そもそも青色申告とはなぜ青色なのかという雑学的なことを記述します。
話は戦後の日本にまでさかのぼります。
第二次世界大戦後、連合国が日本占領中に連合国軍の機関として、連合国軍最高司令官総司令部(General HeadQuarters、略してGHQ)を設置しました。
GHQは、政治戦犯逮捕、軍隊解体、大日本帝国憲法の改正、財閥解体、医療制度構築、農地解放、税制構築、沖縄駐留地など連合国統治の下に戦前の日本国を変えて行きました。
そのうち、税制を構築したのがコロンビア大学のシャウプ博士をはじめとするシャウプ使節団です。
日本における長期的・安定的な税制と税務行政の確立を図るため、1949年(昭和24年)にシャウプ使節団が来日しました。
その時にシャウプ使節団が掲げた目標は「世界で最もすぐれた税制を日本に構築する」でした。
シャウプ使節団は日本全国を視察し、シャウプ報告書を提出しました。
このシャウプ報告書は現在の租税法の根幹といえる申告納税制度、青色申告制度をもたらし、1950年(昭和25年)の税制改正に反映され、国税と地方税にわたる税制の合理化と負担の適正化が図られました。
所得税を税制の根幹に据え、基礎控除額を引き上げて負担の軽減を図ると同時に、その減収分は高額所得者へ富裕税として課税されました。
また、申告納税制度の水準の向上を図るための青色申告制度や、容易で確実な納付のための納税貯蓄組合制度も導入されました。
ある逸話があります。※諸説ありますので本当のところは分かりません。
ある日、シャウプ博士が視察のために乗った自動車の日本人運転手が、「シャウプ博士。今日は澄み渡るような青空ですね。」と挨拶しました。
その時にシャウプ博士は、申告納税制度を作るために、申告納税者の区別をしようとしていました。記帳に基づいてまじめに申告する納税者と記帳をしないで申告する納税者を課税庁が区別するために、確定申告書を色分けすることが実務上便利であると考えていました。
日本人運転手のその言葉から、青色申告と白色申告に分けられたそうです。
白色は何でしょうか。シャウプ博士は梅雨から真夏までいたため、日本の梅雨空をみて白色としたのでしょうか・・・。
シャウプ使節団は、1949年5月に来日して同年8月26日までの約4ヶ月で現在の租税法の根幹を作り上げました。
たったの4ヶ月で作成された膨大なシャウプ報告書の中には、租税法案についてだけではなく、当時の課税庁、計理士(税理士)、公認会計士、申告納税をする人たちについても記述されています。一度見られると面白いと思います。
今の租税法は、シャウプ使節団が「世界で最もすぐれた税制を日本に構築する」という理想を掲げたものになっているのでしょうか。
昨今の芸能人の未納話からも思いますが、税の教育が圧倒的に不足していると思いますし、もっと一人ひとりが税に向き合わないといけないと思います。
シャウプ報告書は、下記のアドレスの方が上手にまとめていらっしゃいます。
http://www.rsl.waikei.jp/shoup/shoupr01.html
※ご本人も資料的な価値として利用しないよう言われていますので取り扱いは注意されてください。
監査部一課 吉野伸明