保険について

2014年11月24日 | Weblog
年末に近づくにつれて、私達会計の仕事に携わる人間にとって気がかりなのは、「年末調整」。
そこで、今回こそは年末調整を題材にしてブログを書こうと心に決めておりました。が、もっと気になる事があったので、あっさりそちらにします。

それは、保険です。

保険は、節税対策の一つとして使用されることが多いですが、しっかりその出口を理解していないと節税どころか増税?と呼んでいいかどうかは分かりませんが、余分な税金を払う結果となりかねません。

例えば、

保険の種類      養老保険
保険の契約者     法人
被保険者       役員
死亡保険金受取人   役員の親族
満期保険金受取人   法人           の場合


掛金を払う時は、1/2は損金(一定の場合は給与として課税されます)、1/2は保険積立金として資産計上されます。そして、満期を迎えると、満期保険金が法人に入り、保険積立金として積み立てた部分と相殺して、余った部分を雑収入として計上します。
つまり、結果的に掛金の全額が法人の損金として処理できたわけです。
これで、いわゆる節税対策成立となるわけです。満期を迎える前にもし、役員が亡くなってしまうと、死亡保険金はみなし相続財産として相続税の課税の対象になります。(相続の話はいつか)

では、保険の契約者の名義を法人から役員個人に変更するとどんな課税関係になるでしょうか?実は、退職金として満期保険金を役員に支給する目的で名義を変更することはよくあることです。その場合は、解約返戻金相当と保険積立金を相殺した余りを雑収入として益金に算入し、それと同額以上を退職金として支給すれば、プラズマイナス0で法人に新たな課税は生まれません。
役員も退職所得として貰うため、優遇された課税ですみます。
ではもし、退職を期ではなく契約者を法人から個人に変更したら。
まず、法人にはこれまで同様の考え方で、雑収入が発生します。そして今回の場合は、退職金ではなく賞与が役員に支給されたと考えます。ここで問題が生じます。役員に対する賞与を損金に算入するためには、事前の届出が必要です。もし、届出をしていなければ、定期同額給与に該当しないため損金算入できません。つまり、法人には雑収入だけが残り、一方、たとえ法人の損金に算入されなくても役員に賞与として支給された部分は給与として課税されてします。

なんと、一つの取引なのに、法人にも役員個人にも課税所得が発生するのです。

これって「二重課税じゃないの」とか、私個人的には思えてしまいますが、決まりですから。
節税どころか増税です。余計に税金を払い過ぎてしいます。

今回私が書いたのは保険についての余計な税金を払ってしまったケースですが、保険に限らず、「失敗した!!余計に税金を払ってしまった」というのは沢山あります。

そうならないように、事前に私達に相談して下さい。

最後に一句。

泣いたって  ダメよダメダメ  決まりですから
 

 
  監査部 
  小田原 敏宏


所得拡大税制

2014年11月17日 | Weblog

 さて、今回も今が旬な年末調整ネタではありませんが、経済産業省が個人の所得水準の底上げを推進します!というスローガンで従業員の給与等支給額の増額を実施・検討されている皆様を応援する「所得拡大税制」という税額控除についてご紹介させていただきます。
まず、どのような制度かというと、青色申告書を提出している法人(または個人事業主)が、国内雇用者に対しての給与等支給額を規定の割合上増加させる等の要件を満たした場合に、雇用者給与等支給増加額の10%を法人税額(または所得税額)より税額控除(税額の10%(中小企業者等は20%)が上限)できる制度です。

 この制度は平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度において適用との事でしたが、平成26年度税制改正において、制度の要件緩和・延長(平成30年3月31日まで)が行われ、以前に比べ適用がしやすくなっております。また、制度創設当初の要件等は割愛させていただきますが、現行の要件は以下のようになっております。

要件①:基準事業年度と比べて、従業員への給与の総額( 雇用者給与等支給額)が2%以上増加していること。
※平成27年4月1日より前に開始する事業年度については2%
平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度については3%
平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%以上と段階的に変更。
要件②:前事業年度と比べて、従業員への給与総額(雇用者給与等支給額)が減っていないこと。
要件③:前事業年度と比べて、1人あたりの平均給与(平均給与等支給額)が減っていないこと。
 
 う~ん、何だか難しいですね・・・。まず皆様には要件①についてのみご理解いただけると幸いです。要件①該当するのであれば、適用の可能性は広がります。要件②についての詳細は割愛致しますが、今であれば要件①に該当すると同時に要件②にも該当する事になります。要件③は少し複雑になりますので税理士事務所等の協力が必要となってくると考えられます。特に個人事業主で確定申告をご自分でされている場合で黒字かつ雇用をしており、要件①に該当するのであれば今回は税理士事務所等に申告を依頼しても良いケースもあるかと考えられます。
また、要件①の2%以上というのは何と比べればいいの?とお考えになると思いますが、例えば平成26年12月決算の法人は、平成25年1月から平成25年12月までが基準事業年度=前事業年度となり、それに比して平成26年1月から平成26年12月までに支払った給与総額が2%以上増加していればOKです。※平成26年分の個人事業者の確定申告についても上記と同じ取扱いとなります。
何となく理解が出来ましたでしょうか?所得拡大税制の適用について税理士事務所へ申告依頼をお考えの際は是非当事務所に御連絡ください。

 それでは最後に、所得拡大税制についていくつかキーワードを以下に記載させていただきます。

1.国内雇用者
  使用人のうち、国内の事業所に勤務する雇用者で、雇用保険法の一般保険者に該当する者に支給した給与等(パートや日雇い  労働者、アルバイトを含む)。

2.雇用者給与等支給額
 ①役員の特殊関係者や使用人兼務役員に対して支給する給与は除かれます。
  (医療法人においての分院長=管理責任者=理事=使用人兼務役員も同上)
 ※特殊関係者とは役員の親族を指します。親族の範囲は6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族までが該当します。また、当該  役員と婚姻関係と同様の事情にある者、当該役員から生計の支援を受けている者も特殊関係者に含まれます。
 ②雇用者給与等支給額に含まれるもの・・・賃金、残業手当、通勤手当等。
 ③雇用者給与等支給額に含まれないもの・・・退職手当など給与所得とされないもの。
 ④決算賞与については、損金算入される事業年度の雇用者給与等支給額に含まれます。
 ※上記の通り決算時に未払計上した賞与も含まれますが、損金算入する為の要件が3つほどあるので注意が必要です。

3.中小企業者等
  資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人でその発行済株式又は出資の総数又は総額の一定割合(1つの法人により50%  又は複数の法人合計で3分の2)以上を大規模法人(資本金の額が1億円超の法人、その他一定の法人)に所有されていない法  人、及び資本又は出資を有しない法人又は個人で常時使用する従業員の数が1,000人以下のものをいいます。


 監査部 1課
  梅北 聖人

電子マネーの虎

2014年11月10日 | Weblog
早いものでもう11月も中旬。みなさまの所にも年末調整の足音が聞こえてきているのではないでしょうか。所内でも年末調整に向け着々と準備を進めているところでございます。年末調整や確定申告で使うハガキ等が届いていると思います。これいるのかな?これどうなんだろ?と悩んだらそのまま保管!わからないものも含めて全て捨てずに税理士事務所の担当者へお渡しください。

さて、そんな年末調整についてのマル秘ネタは次以降の人にお任せし、今日は年末調整とは関係のない話をしようと思います。

「現金主義」という言葉、皆さんご存知ですか?(会計用語の発生主義うんぬんのことではありません)。どこへ行っても基本はキャッシュでドン!カードはもたずに家でも車でも札束でドン!そんなワイルドな大人かっこいいなーと思い、私もスーパーでもコンビニでもビシ!バシ!と硬派に現金主義を貫いていました。ところがここ数か月、ちょっとしたきっかけからクレジットカードの素晴らしさにどっぷりとはまってしまいその便利さから抜け出せなくなってしまったのです。

みなさんがお持ちのクレジットカードやスマホにも付いている(アプリがある)かもしれません。「iD」ってご存知でしょうか?これがとにかく便利なのです。

思えば消費税が8%になってから辛い毎日でした。108円、216円、324円、使えど使えど増殖する1円玉。これはどうしたものかと試しに支払いをクレジットカードでするようにしたのが始まりです。コンビニでクレジットカードってなんだか恥ずかしくありません?何百円やせいぜい千何百円くらいなのにドヤ顔でビシッとクレジットカード差し出されても・・・なんて店員さんに思われてそうで。しかしこれ、コンビニでバイトをしていた後輩に聞くと「そんなこと全くなし!むしろ釣り銭の手間が省けて歓迎すべきもの」なんだそうです。

じゃあクレジットカード払いでいいじゃんとお思いのあなた。iDはさらにもうひとつ手間を省いてくれます。クレジットカードの場合カウンター越しに店員さんへカードを渡す必要がありますが、iDをはじめとした電子マネーの場合、レジまたはレジ周辺に専用端末がありそこへカードやスマホをかざすだけで決済が完了します。つまり、釣りなし手間なしスピーディーなのが電子マネーというわけです。そんな電子マネーの中でもiDはクレジット精算になるのでチャージの必要がありません。ここがスイカや楽天Edyといったチャージ式の電子マネーよりも便利に感じるところです。

さて、そんな便利なiDなのですがひとつだけ欠点があります。それは非常にメジャーな楽天Edyと聞き間違えられるということです。エディーとアイディー。私も何度となくエディーと間違えられエラーになり「あ、すいませんiDですね。もう一度かざしてください」と言われました。これでは釣りなし手間なしスピーディーのiDの良さが半減してしまいます。そこで、一体どこからがエディーとアイディーの境目なのだろうと調べることにしたのです。まずは手始めにエディーとアイディーの中間から。

近所のセブンイレブン。対、女の店員さん。
店員「○△□円でーす」
俺 「エイディーで」
店員「エディーですか?」
俺 「いや、エイディーです」
店員「あ、iDですね」
そつなくこなしてくれたが一発は無理だった。

気を取り直して会社帰りにあるセブンイレブン。対、深夜バイト兄ちゃん。
店員「○△□円しゃす」
俺 「エイディーで」
店員「iDっすか」
俺 「あ、はい」
なんか怒ってる。

翌日昼休み。ファミリーマートへ突撃。対、ベテラン兄ちゃん。
今日は逆にハッキリ言うことで確実に伝わることを目標とする。
店員「○△□円です」
俺 「はいッ!私はアイディーで払いますッ!」
店員「あ、はい、かざしてください」
テンションに差がある(’・ω・`)

驚いたのがローソン。なんとカードをかざしてiDなのか楽天Edyなのかそれ以外のクイックペイだったりなのかを自分で選ぶ仕組みなのだ。どうですiD。小銭じゃらじゃらに困っていたら便利ですよ。お試しください。

伝える時はハッキリと「アイディーで!」と言いましょうね!

※スイカ等のチャージ式交通系電子マネーの場合、1万円や2万円をチャージした時にその金額を交通費として経費にしてもOKでした。なぜならスイカであればJRの決済のみにしか使用できなかったように当初はその用途が限定されていたからです。しかし現在、スイカをはじめとした交通系電子マネーもコンビニやスーパー等で通常の買い物時に使用できることになったことから、チャージ時点での経費計上は案内できる方法ではなくなりました。電子マネーを使用する場合は、事業の用途で使ったその時にその使用の目的に応じてその都度経費計上するようにしましょう。


監査部 原浩恭

通勤手当の非課税限度額の引上げ

2014年11月04日 | Weblog
皆さま、おはようございます。

今回、所得税において、「自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当の非課税限度額の引上げ」の改正が行われ、先月、10月20日に施行されました。

そこで、本日は、この改正内容についてご説明をさせて頂ければと思います。

改正後の1ヶ月当たりの非課税限度額は以下のとおりとなります。






                            ※ 国税庁HPより抜粋

上記の表のとおり、「②自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当」の各距離における非課税限度額が変更になっております。

この改正の適用については、平成26年4月1日以後に受けるべき通勤手当に遡及適用されるため、施行日前に支給した通勤手当については、年末調整で精算することになります。なお、年の中途で退職した人など、年末調整を受けることができない場合には、確定申告で精算することになります。

これから年末調整の時期に入りますので、今回の内容をご参考にして頂ければ幸いです。

木山 浩晃