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2015年11月29日 | Weblog

給与を増やしたい企業に対する減税

アベノミクスの目標はデフレを脱却し、かつ景気を回復させることです。そのためには円安や株高だけでなく、個々人が所得増を実感できることが要です。そのため、従業員の所得を増やせた企業は法人税を減税しますという施策が用意されています。雇用を増やした企業に対する税制の「雇用促進税制」と所得を増やした企業に対する税制の「所得拡大税制」です。景気回復を個人が実感できるような社会の実現を政府は目指しているようです。雇用促進税制についてはすでに説明しましたので、今回は所得拡大税制についてわかりやすく説明をします。

所得を増やした企業とは?

所得拡大税制は、所得を増やした企業に対し、増やした所得の金額の10%に相当する金額を法人税の減税で支援していくという制度です。所得拡大税制の最大のポイントは、所得を増やした企業とはどのような企業かということです。具体的には以下の3つの条件を満たした企業のことをいいます。

  1. 適用年度の雇用者給与等支給増加額÷基準雇用者給与等支給額≧5%
  2. 適用年度の雇用者給与等支給額≧比較雇用者給与等支給額
  3. 適用年度の平均給与等支給額≧比較平均給与等支給額

この3つの条件を満たした企業については、雇用者給与等支給増加額の10%相当額の法人税が減税されることになります。雇用者数が増えていなくても給与が増えていると適用対象となる制度ですので、雇用促進税制よりは使い勝手がいい制度ではないかと思います。

対象となる法人と適用年度は?

所得拡大税制を適用できる法人は青色申告法人となります。青色申告法人の平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度について適用を受けられます。ただし、合併による解散以外の解散の日を含む事業年度および清算中の各事業年度は除かれます。会社設立初年度については、条件を満たせば適用を受けることが可能です。雇用促進税制は、会社設立初年度は適用を受けることができないため、設立初年度は雇用に関する減税は、所得拡大税制のみとなります。

対象となる雇用者とは?

所得拡大税制の適用要件の判定をする際の給与等の金額の集計の対象となるのは、法人の使用人のうちその法人の国内の事業所に勤務する雇用者となります。社員以外にもパート・アルバイトなど日々雇い入れられる人も集計対象です。ただし、法人の役員や役員の親族等は集計対象から除かれます。使用人兼務役員も除かれます。集計対象となるのは給与、賞与になります。退職金は含まれません。

雇用者給与等支給増加額および雇用者給与等支給額とは?

少し細かな説明になりますが、適用要件を判定する際の給与等はどのようなものなのかについて説明します。
 雇用者給与等支給増加額とは、雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額となります。基準雇用者給与等支給額は後述します。

雇用者給与等支給額とは、適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。その給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額がある場合には、その支払を受ける金額を控除した金額とされています。

基準雇用者給与等支給額とは?

基準雇用者給与等支給額とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内雇用者に対する給与等の支給額をいいます。

最初に適用対象となる事業年度の直前の事業年度の給与等支給額のことになります。基準事業年度と適用年度で月数が異なる場合には、基準事業年度を調整して適用年度と同じ月数となるように調整計算をします。

また、設立初年度の場合にはその前の事業年度がないため、設立事業年度の給与等支給額の70%相当額を基準雇用者給与等支給額とすることになります。70%相当額としていることから、設立事業年度で国内の雇用者に対して給与等の支払がある法人については、必ず所得拡大税制の適用要件を満たすことになります。

なお、基準事業年度において国内雇用者に給与等を支給していない場合には、基準雇用者給与等支給額は1円とされます。

比較雇用者給与等支給額とは?

比較雇用者給与等支給額とは、適用年度の前事業年度の雇用者給与等支給額をいいます。基準雇用者給与等支給額と定義が似ていますが、基準雇用者給与等支給額は、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日の前日を含む事業年度で、この事業年度は、適用年度が変わっても変わりません。一方で比較雇用者給与等支給額は、適用年度の前事業年度なので、2年目以降の所得拡大税制の適用からは、基準雇用者給与等支給額と比較雇用者給与等支給額は対象となる事業年度が異なってきます。

平均給与等支給額とは?

平均給与等支給額とは、雇用者給与等支給額から日雇い労働者に支払われる給与を控除した金額を、適用事業年度の給与等の月別支給対象者(日雇い労働者を除く)の数を合計した数で除して計算をした金額となります。
 月の途中で退職や入社した人がいる場合には、その人数も含めて計算をします。

比較平均給与等支給額とは?

比較平均給与等支給額とは、比較雇用者給与等支給額から日雇い労働者に支払われる給与を控除した金額を、前事業年度における給与等の月別支給対象者(日雇い労働者を除く)の数を合計した数で除して計算した金額となります。設立法人のように前事業年度がない場合には、月別支給対象者数は1となります。

事業主都合による離職者がいる場合

雇用促進税制と違い、適用年度と適用年度の前事業年度に事業主都合による離職者がいる場合でも適用を受けることが可能です。雇用促進税制と所得拡大税制は選択制になりますので、事業主都合による離職者がいる場合には、所得拡大税制を選択することになります。

減税される金額と手続き

所得拡大税制の3つの要件を満たしている企業については、雇用者給与等支給増加額の10%が適用年度の法人税額から控除されます。控除税額は、その適用年度の法人税額の10%(中小企業等は20%)が上限となります。
 適用を受ける場合には、適用年度の法人税の申告書に雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書(別表六(二十))を添付する必要があります。

適用する際の留意点

所得拡大税制の適用を受ける際の留意点は、雇用促進税制との選択制であるということです。雇用促進税制は、増えた雇用者×40万円が税額控除されます。最低でも2人以上増えなければ適用がないので、控除される減税枠は最低でも2人×40万=80万になります。
 一方で所得拡大税制は、雇用者給与等支給増加額の10%が対象です。増えた給与の10%ですから、雇用促進税制の最低控除額80万と同じだけの減税枠を確保するには、80万÷10%=800万円の給与支給増加がないといけません。
 雇用促進税制の適用を受けられる場合には、雇用促進税制の適用を受けた方が有利になるケースが多いのではないかと予想されます。
 所得拡大税制については、設立事業年度でも適用を受けることが可能なこと、雇用を増やさないでも適用が可能なことから、雇用促進税制より適用対象法人の幅は広いと思います。

また、平成26年の税制改正大綱において、所得拡大税制の適用要件の緩和措置(給与等支給増加率が5%から2%~5%等)が取られることが予定されております。遡って平成25年4月1日以後の事業年度について適用される予定となっておりますので、適用を受ける際には、最新の情報を入手の上適用を受けて下さい。


こどもを生むといくらもらえるの?

2015年11月26日 | Weblog

今回は社会保険のお得なお話です。

税金同様、『「知らなかった…」では損をする!知っていたから得をする!』意外とご存じない方も多い育児に関する給付(もらえるお金)についてお話したいと思います。

 

では早速、社会保険に関するクイズです。

月給30万円で働く(雇用保険・社会保険に加入)女性が、一人こどもを生むと最大いくら社会保険からもらえるでしょうか?

①    約60万   ②約260万  ③約360万

 

正解は②です。

いかがですか?

「意外と多くもらえるんだな」と感じられた方もいらっしゃるのではありませんか?

「知らなかったので、請求し損なったー」と言う方の話もたまにお聞きします。

 

もらう支給額には個人差がありますのが、具体的にイメージしていただくために、

ここではある女性の例をあげてみてみましょう。

例) 月給30万(雇用保険・社会保険に加入している女性)

 

①    育児休業給付金(雇用保険より)

②    出産手当金(社会保険より)

③    出産一時金(社会保険より)

 

以上の3つがもらえる可能性があります。

可能性と書いたのは、以下に説明する要件があり、また休業する日数や働き方によって支給額が計算されるため、金額も全員が一律同じではないためです。

 

では次に具体的に要件と金額の内訳なを、それぞれ見てみましょう。

 

まず①【育児休業給付金】

《要件》

育児休業に入る前の2年間、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あり、かつ雇用保険の保険料を支払っていて、産後に育児休業をとる女性であれば給付を受けられます。

(育児休業終了後に仕事をやめる予定の女性は支給の対象外となります。)

 

《いくらもらえる?》 (10ヶ月休業した場合)

30万/月×0.5×10ヶ月=150万

育児休業給付金の支給額は、月給の5割で、支払いは2ヵ月ごとに行われます。

月給×0.5×育休として休んだ月数=もらえる金額(目安)

 

次に②の【出産手当金】

出産手当金では、働いている女性が出産のために会社を休んだ場合、下記の条件を満たしていれば産休中の生活を支えるために、給料の2/3の給付が受けられます。

《要件》
①健康保険の被保険者が出産すること

 

②出産の日(出産の日が出産予定日後であるときは出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかったこと

(※出産とは、妊娠4ヶ月(85日)以上の分娩をいいます。正常分娩以外に、早産、死産、流産、人口妊娠中絶を含みます。)

《いくらもらえる?》

(30万/月×2/3)÷30日×98日=約65万

 

最後に③の【出産育児一時金】

 

《要件&いくらもらえる》

妊娠4カ月以上で出産した人は、子供1人につき42万円(このうち3万円は産科医療補償制度の保険料)が受け取れます。

ちなみに双子なら2倍の84万円です。

 

これは月給の額にかかわらず、つまり月給30万円であろうと15万円であろうと、この出産育児一時金はどの方も同額の42万円です。

 

よって①150万+②65万+③42万=約260万円

 

いかがでしょうか?

働く女性が一人のこどもを生むと約260万円!

 

「社会保険は手取りが減るだけで、なんとなくイヤだなぁ」

「どうせ使わないし…」なんてイメージが先行しますが、このように

『働く女性が一人のこどもを生むと約260万円』なんです。

しかも!これにはおまけがついていて、なんと全額完全に非課税!

給付金には一切税金が課せられません!これは嬉しいメリットです。

 

何となくしかイメージのない社会保険もこう言う時にこそ大いに利用したいものです!

 

他にも社会保険給付には傷病手当金や高額療養費など、充実したものがありますが

まだまだ一般的な認知度が低いものです。

 

 

※今回は雇用保険・社会保険(けんぽ協会)の場合に限ってのお話でしたが、

 

ちなみに金額や支給条件などの詳細な情報の窓口をご紹介します。

雇用保険 ⇒ 最寄りのハローワーク

健康保険 ⇒ けんぽ協会

詳細は直接ご確認ください。

 

労務部門責任者 福田恒久


記念品について

2015年11月16日 | Weblog

 紅葉の美しい季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて、今回は見落とされがち、且つ、あまり一般的に行われていない節税方法をご紹介したいと思います。

 それは、創業記念品や永年勤続表彰記念品を従業員に対して支給についてです。

創業記念品や永年勤続表彰記念品の支給をしたとき

[平成27年4月1日現在法令等]

 創業記念で支給する記念品や永年にわたって勤務している人の表彰に当たって支給する記念品などは、次に掲げる要件をすべて満たしていれば、給与として課税しなくてもよいことになっています。
 なお、記念品の支給や旅行や観劇への招待費用の負担に代えて現金、商品券などを支給する場合には、その全額(商品券の場合は券面額)が給与として課税されます。
 また、本人が自由に記念品を選択できる場合にも、その記念品の価額が給与として課税されます。

1 創業記念などの記念品

  1. (1) 支給する記念品が社会一般的にみて記念品としてふさわしいものであること。
  2. (2) 記念品の処分見込価額による評価額が1万円(税抜き)以下であること。
  3. (3) 創業記念のように一定期間ごとに行う行事で支給をするものは、おおむね5年以上の間隔で支給するものであること。

2 永年勤続者に支給する記念品や旅行や観劇への招待費用

  1. (1) その人の勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること。
  2. (2) 勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること。
  3. (3) 同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること。

(所基通36-15、36-21~22、平元直法6-1外)

節税という観点だけでなく、従業員のモチベーションアップ、日ごろの感謝の気持ちを伝える手段として、検討なされてみては如何でしょうか。

 

                                                                                                                                                                                    監査部 三課 寺崎幸治


年末調整について

2015年11月09日 | Weblog

今年も残すところあと50日となりました。

総務経理担当の方は、年末に向けてお忙しくなることでしょう。

給与所得者の所得税の清算、「年末調整」の時期になります。

給与の支払いの際に源泉徴収表によって、所得税及び復興税が徴収されています。

ただ、源泉徴収額の合計額と年間給与総額について納めなければならない年税額は、一致しないのが

通常です。

そこで、年末調整という作業を行い所得税及び復興税の清算を行います。

<保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書>

毎月の源泉徴収に反映されない、生命保険料の支払い、地震保険料の支払い、個人で支払っている

社会保険料などを記載していただき所得控除の適用を受けます。

<扶養控除等(異動)申告書>

源泉徴収を行うに当たり、控除対象配偶者や控除対象扶養親族を記入していただきます。

人的控除の適用を正しく行うための確認をいたします。

年末調整の作業については、事前の準備が大変影響してまいります。

チェックリスト等を活用していただき、作業が順調に進めてください。

 

監査部  平野 誠

 


ファイナンシャルプランニングの基礎のつもりが・・・

2015年11月04日 | Weblog

みなさん、こんにちは。

先日は、ラグビーのW杯の決勝が行われ、ニュージーランドがオーストラリアを下し、2大会連続3度目のW杯を手にしました。

日本でも、日本代表が南アフリカを世紀の番狂わせで下して以降、ラグビー熱が急加速していますね。

今回のW杯前の5月・8月に、福岡でも日本代表の強化試合があり、私も観戦に行きました。その当時は、子供たちが観客席を走り回れるほど余裕がありましたが、今後は、もう無理でしょう。

ただ、ややマイナーであったラグビーというスポーツが、こんなに注目されることは、本当にいいことだと思います。

先日、私の恩師でオーストラリアに住まわれている方と連絡を取った際、南アフリカ戦の後に買い物にいくと、レジのおばちゃんなどから、「Japan perform a great miracle.」と声をかけられ、本当に嬉しかったとおっしゃっておりました。

今回のW杯は、海外に住まわれている方にも、非常に元気を与えていると同時に、日本人としての誇りを再認識する機会になったようです。

その方は、レジのおばちゃんに、こう返事をしたそうです。

「もう、ミラクルではないよ」

次回の日本でのW杯。それまでの日本ラグビー界の躍進に、ぜひ注目していきたいと思います。

で、ファイナンシャルプランニングの話をしようと思ったのですが、ここまでで、結構長くなってしまったので、今回は以上で!

 

吉野直樹