住宅ローンについて

2015年12月27日 | Weblog

皆様こんにちは、師走の忙しい時期いかがお過ごしでしょうか?

今回は住宅ローンについて書いてみたいと思います。この時期、住宅ローンと聞くと税額控除の「住宅借入金等特別控除」を連想すると思いますが、今回は金利と返済総額について調べてみました。

返済方法には、元利均等返済と元金均等返済があります。

元利均等返済は毎月返済額が一定です。元金均等返済は、毎月返済額のうちの元金部分が均等です。元利均等返済は元金均等返済よりも返済総額が多くなりますが、返済当初は毎月の返済額は元金均等返済より少なくて済みます。元金均等返済はその逆です。

 

では、検証です。

 

条件

借入元本 30,000、000円

利率   1.5%

返済期間 35年

 

元利均等返済 

毎月の返済額                    91,855円

返済総額        38,579,239円

 

元金均等返済

毎月の返済額   およそ100,000円~70,000円の間

返済総額        37,893,750円 

 

返済総額は、685,489円元金均等返済の方が有利です。当たり前ですが返済期間が短ければこの差額は少なくなります。

 

では、毎月返済額は何回目の返済で逆転するのでしょうか?

答えは193回目で元金均等返済の月返済額が91,786円となり元利均等返済の月返済額91,855円を下回ります。16年目以降辺りです。

 

次に、固定金利と変動金利で比べてみました。

 

条件

借入元本 30,000,000円

利率 固定金利1.5% 変動金利0.8%

返済期間 35年

 

固定金利(1,5%)

返済総額  37,893,750円

変動金利 (0,8%)※0,8%は現在の住宅ローンの変動金利のだいたいのパーセンテージを使っています。

返済総額  34,210,000円※金利に変動がない場合。

 

差額は3,683,750円です。

 

変動金利が変動しないのは現実ではありませんので少し変化をつけてみます。

 

変動金利が今後35年をかけて1,5%まで徐々に上昇した場合。

 

返済総額  35,434,993円

まだ、変動金利の方が優位です。

 

では、金利が2%まで上昇した場合は

 

返済総額が36,309,988円です。

まだ、変動金利が優位です。

 

では、金利が2,5%まで上昇した場合は

 

返済総額は、37,184,983円

差がなくなりました。

 

金利が3%まで上昇した場合。

返済総額  38,059,978円

固定金利優位になりました。

 

つまり、今固定金利1,5%でローンを組むかどうか迷った時には将来的に長期金利が2,5%を超えるかどうか考えてみると良いのかもしれません。

 

実際には、金融機関ごとの返済条件等の諸事情がありますのでこんなに簡単な試算では判断できませんが、参考程度の数値としては有効かと思います。

 

                                                監査部1課

                                                小田原 敏宏


生産性向上設備投資促進税制

2015年12月21日 | Weblog

 

 今年も残すところ10日を切りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

 さて、本日は産業競争力強化法施行日(平成28年3月31日)が間近に迫りました生産性向上設備投資促進税制についてお話をさせていただきます。

生産性向上設備投資促進税制とは、A類型とB類型の2つの確認等の方法があり、どちらかの確認等を受けて、取得価額要件等を満たした場合に税制措置を受けられます。

A類型につきましては、青色申告をしている法人・個人が新品の先端設備を導入した場合に適用が検討できます。このA類型は納税者が特別な手続きや書類作成を強いられることはなく、購入先である設備メーカー等に確認し証明書を発行してもらうだけで事が足ります。

ただし、対象資産の範囲が狭いので予め設備メーカー等に本税制の対象資産になるか否かの確認をされることをお勧め致します。

※中小企業等は中小企業投資促進税制の上乗せ措置を適用ください。

 

 問題はB類型ですが、これは公認会計士・税理士が確認した投資計画書を資産取得前に経済産業局へ提出し、確認書を発行してもらわなければなりません。要するに、本税制を適用する為には設備メーカー等から事前に見積書を取得し、見積書ベースで処理をしていくことになります。

B類型は対象資産の範囲が特になく、投資計画における投資利益率が年平均15% 以上(中小企業者等は5%以上)という要件を満たしていれば適用が可能となります。

また、冒頭に記載致しました産業競争力強化法施行日(平成28年3月31日)後は何が変わるかと申しますと、現在は受けられる税制措置が即時償却と税額控除(5%。ただし、建物・構築物は3%)の選択制ですが平成28年4月1日からは特別償却(50%。ただし、建物・構築物は25%)と税額控除(4%。ただし、建物・構築物は2%)へと変更になります。

※税額控除5%とは、対象設備の取得価額の5%相当額を当期に支払う法人税額等から控除する (差し引く)ことを指す。ただし、本税制    による控除額の上限は、当期の法人税額等の20%。

上記のように、産業競争力強化法施行日(平成28年3月31日)までに対象資産を取得した方が受けられる恩恵が多いといえますので、大きな設備投資をお考えの方は産業競争力強化法施行日までの適用を御検討ください。

 

 私の経験から申しますと、投資計画書の作成については必要書類が揃っておりましたら、

1週間もかからず処理は完了致します。ただし、経済産業局から確認書を発行してもらうのには経済産業局の担当者次第では長引く事がございます。また、関東エリアで事業をされていらっしゃる場合は関東経済産業局の窓口が1、2ヵ月先まで予約が埋まっておりますので特にお急ぎください。

その他、取得価額要件等の詳細は「経済産業省 生産性向上設備投資促進税制」に記載がございますのでご確認いただけると幸いです。

                              

                                    監査部 一課

                                    梅北 聖人            


「ふるさと寄附金」を支出した者が地方公共団体から謝礼を受けた場合の課税関係

2015年12月14日 | Weblog

ふるさと納税で意外な落とし穴になるのが今からお伝えする一時所得についてです。ほとんどの方には関係ないことと思われますが、ふるさと納税の限度額が100万円を超えていて大量の特産品を受け取る方や、特産品を受け取る年と同一年中に他の一時所得がある方等は注意が必要です。以下に国税庁の質疑応答事例を掲載致しますので、本年中に大量の特産品を手にされた方は是非ともチェックしてみてください。

 

国税庁質疑応答事例より原文のまま

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shotoku/02/37.htm

 

■照会要旨

A市では、市外に在住する者から1万円以上の寄附(いわゆるふるさと寄附金)を受けた場合、この寄附に対する謝礼として、市の特産品(5,000円程度)を送ることとしています。この場合の寄附者が受ける経済的利益について、課税関係は生じますか。

 

■回答要旨

寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。なお、その年中に他に一時所得に該当するものがないときには、課税関係は生じません。所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には、金銭以外の物又は権利その他経済的利益の価額も含まれます(所得税法第36条第1項)。ふるさと寄附金の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので(地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。したがって、特産品に係る経済的利益は一時所得に該当します(所得税法第34条、所得税基本通達34-1(5))。なお、一時所得の金額は次のように計算します。

一時所得

(注)

1 その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限られます。

2 AからBを控除した残額が50万円に満たない場合には、その残額となります。

 

■関係法令通達

所得税法第9条、第34条、第36条、所得税基本通達34-1(5)、地方自治法第2条第1項

注記

平成27年7月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。この質疑事例は、照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答であり、必ずしも事案の内容の全部を表現したものではありませんから、納税者の方々が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあることにご注意ください。

 

以上

 

ところで、特産品をどのように評価すればいいのでしょうか。寄付した自治体が「このうなぎは市場価額○○円相当のものです!」なんて開示していればそれですが、開示していない場合は電話で照会するしかなさそうです。いい方法があれば教えてください。該当しそうな方は、「ふるさと納税一覧表」なるものでも作成し、①ふるさと納税をした自治体名②いつ寄付をしたのか④いくら寄付をしたのか③何を特産品として受け取ったのか④受け取った日付、くらいはリスト化しておいた方がいいかもしれませんね。

 

監査部一課

原浩恭


使用人等の資格取得費用などを負担した場合の法人税・所得税の取り扱い

2015年12月07日 | Weblog

皆様、おはようございます。

本日は、会社や事業主の方が、使用人等の資格取得費用を負担した場合の税務上の取扱いについてお話をさせて頂きます。

 

皆様が会社経営をされる中で、使用人等に、仕事に関係のある技術や知識を習得させるための費用などを負担するケースがあるかと思います。

 

このような場合に、その負担した金額が、使用人等に対する給与として取り扱われるのか、それとも、給与以外の研修費等として取り扱われるのか、その区別が税務上とても重要となります。

 

給与として取り扱う場合には、他の給料、賞与と同じように、会社などの費用を負担する側で所得税を源泉徴収し、税務署へ納付する必要があります。

一方、費用を負担してもらった使用人等においては、その負担してもらった金額が所得税や住民税の計算の対象となるのです。

 

では、資格取得費用などを給与として課税しなくてよいのは、どのような場合が挙げられるのでしょうか。

それは、以下の要件などを満たす場合となります。

 

①その費用が、会社などの仕事に”直接必要な”技術や知識の習得のためのものであること。

②その費用の額が、適正な金額であること。

 

まず、①については、会社などの仕事に直接必要なものであることが要件となります。

その資格などを取得することが、仕事と直接関係のないものであれば、それは、会社が使用人等に対して給与を支給したものとして取り扱われます。

また、②については、適正な金額であることが要件となります。

一般的に見て、金額が多い場合には、給与としての要素を含むものと考えられ、給与課税の可能性が出てまいります。

 

以上となります。

 

今回は、資格取得費用について、お話をさせて頂きました。

資格取得費用以外にも、会社や事業主の方がその使用人等のために負担するものについては、それが給与となるのか、給与以外となるのかは、いろいろな要件を考慮して判断することになります。

また、本日は触れませんでしたが、消費税の計算においても、上記の取扱いによって金額が変わってくる場合がありますので、ご留意頂ければと思います。

ご質問などございましたら、いつでも弊所へご相談頂ければと思います。

監査部 木山 浩晃