ふるさと納税

2015年05月25日 | Weblog
ブログをご覧の皆さま、こんにちは。

春があっという間に過ぎ、季節はすっかり初夏の面持ちですね。
中々体が付いて行かず、風邪などひかれないように、どうぞお体ご自愛下さい。

さて、今日は今年から変更のありましたふるさと納税制度についてです。

おさらいですが、ふるさと納税とは自治体への寄附金のことで、寄附した金額から2千円を差引いた金額だけ所得税、住民税が減る制度です。寄附金、とうたっておりますが、実際の効果としては、納税先、納税タイミングの変更です。
本来であれば国や住所地の自治体に払われる税金が、ふるさと納税をすることによって、自身の希望する自治体へ納税される効果があります。また、本来であれば年末調整後や確定申告後に納税しますが、ふるさと納税によって、寄付したタイミングで納税されるという、納税のタイミングが変わる効果もあります。
寄附を受けた自治体によっては、謝礼としていくらかの特産品を贈るケースもあるようです。


さて、今年度変更のあった点ですが、
①ふるさと納税の控除限度額が2倍
②サラリーマンの場合、5件以内なら確定申告不要

になりました。

①ですが、去年の2倍になるということで、去年は5万円だった方は10万円と、さらに積極的な寄附が行えるようになります。
具体的な限度額は、参考サイトで試算いただくか税理士へお問い合わせ頂ければ、すぐにわかると思います。
限度額を超えてしまうと、お金は渡したが控除は無い、まさに本当に寄附したということになりますので、計画的に実施頂ければと思います。
限度額の内でご希望の自治体へふるさと納税していただきましたら、いくらかの謝礼が届くかもしれません。仮に1万円の寄付で3千円相当の謝礼が届くとすれば、10万円の寄付で3万円相当です。限度額の範囲であれば、実質負担は2,000円です。

②は、ふるさと納税ワンストップ特例制度といわれ、寄付を受けた自治体の方で事務手続きを行ってくれるそうです。
初年度ということもあり、事務処理量や処理能力によっては、万が一、ということもあり得ますので、念のため、寄附した際に送られる寄附金の証明書は大事に保管いただくことが良いかと思います。


以上、ふるさと納税制度と改正内容のご紹介でした。

監査2課 朴賢大

新設法人の消費税の納税義務

2015年05月18日 | Weblog
ブログご覧のみなさま、おはようございます。

今日は先日遭遇した事例の中から一つご紹介したいと思います。
私が担当させて頂いている法人が100%出資して子法人を設立しました。この子法人は以前ですと新設法人なので設立1期目は納税義務が無かったのですが、特定新規設立法人に該当することになったため1期目から消費税の課税事業者になりました。

ここで、消費税の納税義務の有無について確認したいと思います。
次の①、②のどちらにも該当しない場合、納税義務は発生しません。

①基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える。

②新設法人の資本金が1,000万円以上である。

以前は①、②に該当しなければ設立事業年度の納税義務は発生しませんでした。新規設立法人の場合は1期目、2期目に基準期間が無いので基準期間における課税売上高もないことになり、資本金が1,000万円未満であれば1期目、2期目は原則として納税義務は発生しませんでした。

ところが、平成26年4月1日以後に新規設立された法人についてはもう一つ要件が追加されました。新設法人が特定新規設立法人に該当すると設立1年目から消費税の納税義務が発生します。

特定新規設立法人とは、設立1期目、2期目の事業年度開始日において、新設法人の親会社が新設法人の発行済株式の総額等の50%超を保有しており、かつ、親会社の新設法人の基準期間に相当する期間の課税売上高が5億円超である場合に該当します。

個人事業者が法人成りした場合、個人事業者と法人は別の事業者と考えるため、その法人の設立1期目、2期目は上記要件に該当しなければ納税義務は生じません。ただし、個人事業者本人が50%超の出資により法人成りした場合、個人事業者の前々年の課税売上高が5億円を超えていれば特定新規設立法人に該当して課税事業者になります。

なお、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者であっても、特定期間(個人事業者は前年の1/1~6/30まで、法人は全事業年度開始の日以後6ヵ月間)の課税売上高が1,000万円を超える場合には課税事業者になりますので、こちらも合わせて注意が必要です。

いかがでしたか。消費税の納税義務判定もかなり複雑になってきました。常に新しい情報を取り入れて間違いの無いように気を付けたいものです。

日中はぽかぽか暖かくなりましたが、明け方は寒かったり、天気が安定しなかったりで体調がすぐれないという方もいらっしゃるようです。体調管理をしっかり行って今週も頑張っていきましょう。

2課 藤野慶一

国民年金基金について

2015年05月11日 | Weblog
みなさまゴールデンウィークはどのように過ごされましたか?
私は九州博物館の九州戦国武将展にいって参りました。
ついでに大宰府天満宮で合格祈願もしてきました。(私は長いこと税理士試験の受験生をやっております。涙)
勉強は全くできていないので神頼みしかありません。(笑)
「奇跡よ、おこれ~」っといった具合です。
しかし、天気が良くてすごく気持ちよかったです。

さて今回は国民年金基金について説明させて頂きたいと思います。

国民年金基金は老齢基礎年金に上乗せする第1号被保険者のための公的な年金制度です。
国民年金基金に加入することで自営業などの方々の公的な年金も会社員と同じく「2階建て」にすることができます。
加入できる方は20歳から60歳未満の自営業者やフリーランスなど、国民年金第1号被保険者および日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の国民年金任意加入者です。

掛金の選び方や給付の受け方は複数の種類に分かれているためここでは詳しい説明は割愛させて頂きますが、例を1つだけ。

例えば、30歳男性が国民年金基金の終身タイプに加入したとします。掛け金を毎月66,105円、年間で793,260円を掛けました。基金の掛金を払い込めるのは60歳までです。よって、60歳まで30年間の掛金は23,797,800円となります。そしてこの男性が85歳まで生存したとします。60歳以後毎月もらえる年金は130,000円、年間1,560,000円です。85歳までに25年間でもらえる年金は39,000,000円となります。
結構貰えます。生存期間が長ければもっと貰えます。勿論、逆のパターンもあります。

そして、国民年金基金にはもう一つメリットがあります。所得税の所得控除である社会保険料控除の対象となる事です。税率によって異なりますが最高で掛金の45%まで税額を減らす事が出来ます。例えば、上記の例でいえば毎年356,900円の税負担軽減になります。

さらにもう一つお伝えしたいことがあります。
国民年金基金は、受け取れる年金が固定されていることです。国民年金や確定拠出年金の様に物価スライドや運用状況に応じた増減がありません。受取額は約束されていますのでライフプランが立てやすいのです。

以上のことから、私が自営業者なら必ず加入します。(笑)

詳しいことは国民年金基金のホームページをご覧下さい。

                                                      監査部一課 小田原 敏宏











馬券の払戻金の所得区分について

2015年05月07日 | Weblog

 皆様こんにちは、GWは楽しい思い出ができましたでしょうか、ほんと過ぎてしまえばあっという間ですよね。私もまだまだダラダラしたい気持ちを必死に抑えつつ、迫りくる3月決算法人の申告に、今一度気を引き締める所存でございます。
 さて、本日のテーマは馬券の利益(所得区分)についてです。
テーマの概要をご説明する前に、皆様に質問です。馬券を購入し利益が1億4,000万円出たとして、それに対し所得税を5億7,000万円納付してください、と言われたらどうしますか?
もちろん、「えっ!?」ってなりますよね?本日はその「えっ!?」という事案について平成27年3月10日最高裁にて判決が出ましたのでご紹介させていただきます。
あっ、話はそれますが先日の天皇賞春ゴールドシップの走りかっこよかったですねー。あれだけゲートを嫌がって暴れていたのに、最後方からの一着なんて、感動しました!さすが怪物です。
それでは事案の概要をご説明します。
平成19年からの3年間でインターネットを通じて28億7,000万円の馬券を購入し、払戻金30億1,000万円を得た男性が確定申告をしていなかった。そこで検察は国税当局の見解に基づき「払戻金は一時所得に当たり、経費といえるのは当たり馬券代だけだ」と主張していた。
要約すると以下の通りとなります。
(この男性の場合)
平成19年~21年の3年間に 約30億1,000万円の払戻金
約28億7,000万円分が馬券の購入費用 
∴利益は約1億4,000万円
(男性の主張)
平成19年~21年の3年間に 約30億1,000万円の払戻金・・・「収入」
約28億7,000万円分が馬券の購入費用・・・「必要経費」
∴利益は約1億4,000万円・・・「課税対象」→納付税額:約5,000万円
(大阪国税局の主張)
平成19年~21年の3年間に 約30億1,000万円の払戻金・・・「収入」
当たり馬券の購入額(約1億1,000万円)・・・「必要経費」
∴収入-必要経費=約29億円・・・「課税対象」→納付税額:約5億7,000万円

裁判所の判断を申しますと、大阪地裁、大阪高裁、最高裁いずれも男性の主張を支持しました。
それでは何故このような判断になったのか見ていきましょう。

個人の所得は10種類に区分がされ、所得計算上それぞれ違った取り扱いがされます。
今回、問題となった当たり馬券の払戻金は、通常は一時所得(所得税基本通達34-1)とされており、一時所得の「収入を得るために支出した金額」(必要経費)は収入金額を得るために直接必要となったものに限定されることから当たり馬券の場合、その当たり馬券を購入するために要した馬券代だけであり、ハズレ馬券の購入代金は含まれないとし、大阪国税局は上記の主張をしております。
また、一時所得とは「営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得」とされています。

今回の裁判所の判断は、「個々のレースに着目せず網羅的に馬券を大量購入し、利益を上げ続けており、一連の行為は経済活動といえる」と指摘。この事案での払戻金は経費をより多く算入できる「雑所得」に当たると判断し結局、検察が主張した約5億7,000万円の脱税は5,000万円余りとしか認めず、男性には懲役2月、執行猶予2年(求刑懲役1年)の刑が確定しました。
要するに、それだけたくさん網羅的に買った事で何度も当たったのであれば、もはや馬券が当たることはその人にとって単発で偶発的なものではないということです。
この雑所得は他の9種類にどれもなじまない所得であり、その所得金額は
総収入金額-必要経費とされます。
この場合の必要経費は
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
とされるのですが、今回はハズレ馬券が上記に該当するものとして必要経費と認められたわけです。

皆様、いかがでしたでしょうか。過去の通達等ではなく裁判所の法の解釈にほっとされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、今回の事案ではどれくらいの馬券を購入し、どのような購入方法をすれば雑所得と認めるなど、明確な基準は示されていない事には注意が必要です。
個人的には、インターネットでの取引は全て雑所得とするべきだと思います。それはハズレ馬券を拾うなどしての経費の水増しは不可能であることや、収支が明白だからです。
もっと言えば、インターネットでの取引に関しては、株取引のように3年間損失を繰り越せるようになるといいな、と感じました。
最後に、この男性のように雑所得と認定されるようなケースで損失がでるような方は、他の雑所得との損益通算が可能となります。例えば、年金受給者が馬券を購入し損をした場合、公的年金の所得と競馬の損失が相殺されることから、その所得を確定申告することで年金の源泉所得税が還付されることになります。


                                                     監査部 一課
                                                     梅北 聖人