直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

2018年03月26日 | 税務情報(個人関係)

皆様おはようございます。

本日は、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税について書きたいと

思います。

平成29年度の贈与税の申告では弊所においても当該税制を適用し申告をさせていただいた関与先が数件ございました。

まずは制度概要を国税庁HPより、引用させていただきます。

1.制度のあらまし

平成27年1月1日から平成33年12月31日までの間に、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築、取得又は増改築等(以下「新築等」といいます。)の対価に充てるための金銭(以下「住宅取得等資金」といいます。)を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、次の非課税限度額までの金額について、贈与税が非課税となります。

 

2.非課税限度額

国税庁HPに記載しているものを要約致しますと、現状は省エネ住宅等に該当すると1,200万円、それ以外が700万円です。消費税率が10%になった後はそれぞれ非課税限度額が引き上げとなります。

※詳細は国税庁HPをご確認ください。

 

3.受贈者の要件

次の要件の全てを満たす受贈者が非課税の特例の対象となります。

①日本国内に住所があり、贈与の年の1月1日に20歳以上である。
②親から子への贈与(直系尊属からの贈与)であり、贈与の年の所得金額が2000万円以下である
③贈与の年の翌年の3月15日までに、新築、取得、増改築等をする
④贈与の年の翌年の3月15日か、その後遅滞なく、その家に住む

(注) 贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。

4.居住用の家屋の新築、取得または増改築等の要件

「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等又は住宅の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅の取得又は増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含みます。
また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られます。

さらに当該制度の対象となる家屋は、次の条件に当てはまる必要があります。

①家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で、2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住用

②建て売り住宅の場合は、20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたものである
④中古住宅の場合は、耐震基準適合証明書で証明されている
⑤増改築の場合は、工事費用が100万円以上である

 

その他、税務署への申告に関し添付書類等ございますが、当該税制を適用される場合には

税理士事務所へ依頼をするケースが多いと考えられますので割愛させていただきます。

また、贈与を受けた年に家屋が完成しない場合においてもその年の翌年3月15日までに家屋の屋根が完成している(家屋が完成に準ずる状態にある)場合は追加で資料を添付する事で適用を受けることが出来ます。

なお、当該非課税制度を受ける時には、たとえ贈与税額が0円でも、贈与税の申告をすることが絶対条件です。
申告をしないと、通常の贈与とされてしまい、多額の贈与税の納税が発生します。

さらに、相続時精算課税制度と併用して利用することが可能なため、大きな節税となる可能性があります。相続時精算課税制度については、2,500万円まで、贈与税が、無税となりますが、相続時に加算されて計算されるため、利用する際は注意が必要となります。

その他、住宅ローン控除との兼ね合い等、シミュレーションをした方が良いと考えられますので、当該税制の適用を検討される際は是非弊所までご連絡をいただけると幸いです。

 

 

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                                  監査部

                                  梅北 聖人

 


消費税の一括比例配分方式から個別対応方式への変更

2018年03月19日 | 税務情報(個人関係)

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

さて、今回は消費税の仕入控除方式の変更が修正・更正で可能かという事を取り上げます。

結論は不可である可能性が高いのですが、ここに以下の判例を紹介します。

 

 個別対応方式と一括比例配分方式で納付すべき消費税額に著しい差額が生じることが、減額更正の理由となり得るか否かが争われていた事件で、福岡地裁(西理裁判長)はその選択が納税者の選択に委ねられている以上、納税額の格差が顕著になるとしても税負担の公平に反することにはならないと判示、原告の主張を全面的に斥ける判決を下した。

 この事件は、分譲住宅等の建築・販売を行う原告が、一旦は一括比例配分方式を選択して消費税の申告をしたものの、申告後、個別対応方式による場合と比べ納付税額に著しい差額が生じたことから、個別対応方式で計算し直した額による減額更正の請求をしたのが発端。これに対して、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知処分をしたため、納税者がその一部取り消しを求めて争われていた抗告訴訟である。一括比例配分方式による納付消費税額が個別対応方式に比べて著しく高額になる場合、一括比例配分方式の適用は税負担の公平に反するため許されないと主張していたものだ。

 福岡地裁は両方式の長所・短所を踏まえた上で、両方式の選択が納税者の任意に委ねられている以上、その不利益を甘受するものとして選択したと見るほかないこと。また、仕入控除税額の差額が高額になる場合は、具体的な金額を納税者が認識していればあえて一括比例配分方式を選択することは通常考えられないため、原告の利益を不当に害しているとまでは言えないという判断から、原告の主張を棄却している。

 (1997.5.27福岡地裁判決、(行ウ)第4号)

 

一括比例配分方式を選んだ場合は2年間は変更が出来ない点にも注意が必要です。

 

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監査部3課 寺﨑幸治


確定申告期限間まぢか..

2018年03月12日 | 日々のできごと

皆さん、こんにちは。
確定申告期限まで待ったなしですね。
この時期に職場の人とカレンダーを見ると、2/29があればとか、3/15が土曜ならとか、そんな叶うわけがない妄想の話になっています。

さて、先日私の顧問先様の社長のご子息(専務取締役)の確定申告を初めて承りました。
役員報酬の他に資産の賃貸借契約があるのですが、収入と経費を差し引くと所得はほんのわずかです。
一番先に思い浮かぶのが給与所得以外の他の所得が20万円以下であれば、確定申告不要と思いますが、その中に「確定申告を提出する人」の条件があります。

以下、国税庁より抜粋(http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2010/b/01/1_06.htm)。
◆確定申告が必要な方
次の①から④のいずれかに当てはまる方は、所得税の確定申告が必要です。
①給与所得がある方
大部分の方は、年末調整により所得税が精算されるため、申告は不要です。
次の計算において残額があり、さらに(1)から(6)のいずれかに該当する
(計算)
1 各種の所得の合計額(譲渡所得や山林所得を含む)から、所得控除を差し引いて、課税される所得金額を求めます。
2 課税される所得金額に税率を乗じて、所得税額を求めます。
3 所得税額から、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を差し引きます。
(1) 給与の収入金額が2,000万円を超える
(2) 給与を1か所から受けていて、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える
(3) 給与を2か所以上から受けていて、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える
※ 給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要です。
(4) 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社からの給与のほかに、貸付金の利子、店舗・ 工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けた
(5) 給与について、災害減免法により源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた
(6) 在日の外国公館に勤務する方や家事使用人の方などで、給与の支払を受ける際に所得税を源泉徴収されないこととなっている
②公的年金等に係る雑所得のみの方
公的年金等に係る雑所得の金額から所得控除を差し引くと、残額がある
③退職所得がある方
外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがある
※ 退職所得は、一般的に、退職金の支払の際に支払者が所得税を徴収する源泉徴収だけで所得税の課税は済まされます。なお、退職所得以外の所得がある方は、①又は④を参照してください。
④①~③以外の方
次の計算において残額がある
(計算)
1 各種の所得の合計額(譲渡所得や山林所得を含む)から、所得控除を差し引いて、課税される所得金額を求めます。
2 課税される所得金額に税率を乗じて、所得税額を求めます。
3 所得税額から、配当控除額を差し引きます。

上述した顧問先様の社長のご子息は、①3(4)の同族会社の役員でその同族会社からの収入があると確定申告が必要となります。


私は、20年以上給与所得者ですが、その昔一度だけ該当者になり、確定申告を行いました。
趣味の延長ですが、ボクシングで得た報酬があり確定申告を行いました。
給与所得と雑所得で、①3(3)に該当します(雑所得は20万円超えていませんが確定申告すると還付となりました)。
サラリーマンボクサーの方は、確定申告で還付される場合があります(納付の可能性もあります)。
フリーターボクサーの方で、もしバイト先とジムの両方から源泉徴収されている場合は上記の①を参考にしてください。
ボクシングで生計を立てている方は事業所得でしょうから、収入から必要経費などを差し引いて総所得を計算する必要があります。
私の時は税務署も親切に教えてくれましたよ。

先日ボクサーを引退した山中慎介チャンピオン、素晴らしいボクサーでしたね。
最後の試合は国内での反響が大きかったので、ニュースなどでご覧になられた方も多かったのではないでしょうか。
私も確定申告作業の最中でも携帯電話のTVで試合観戦しました。
ボクシングは、リングに上がると一対一のスポーツですが、一人の選手をリングに上げるのに、ものすごく多くの人が陰で支えるチームスポーツです。
最後となった先日の試合は非常に残念でしたが、いろんな人の思いが詰まった試合になりました。

山中慎介チャンプ、長い間ありがとうございました!!心から敬意を表します。
ビックダルチニャン、トマスロハス、ツニャカオ、モレノ・・・防衛の中身を考えると具志堅は超えていますね。
山中慎介チャンプの代名詞『神の左』、最後の試合は不発でした。きっと神様は次のボクサーのところに行ったのでしょう。
日本のボクシング界も次の時代が来ています。非常に楽しみです。

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監査部二課(元ボクサー)
吉野伸明


立場が違えば・・・

2018年03月05日 | 日々のできごと

おはようございます。今日は3月5日です。あと10日後が所得税確定申告の期限です。

会計事務所の業界ではよく、「この時期は猫の手も借りたい・・・」という言葉をよく耳にします。確かに今、この瞬間にも私自身の中にそう思う自分がいることを否定できません。

 

先日、とあるお客様とお会いしました。その方はお会いすると必ず、こちらの様子をお気遣いいただく方です。その日も「この時期、お忙しいんでしょう?」との言葉を頂戴いたしました。

 

その言葉を聞いて一瞬、「ハッ!」としました。その時の私の頭の中には次のようなことが浮かんでいました。

 

・忙しいオーラが顔に出ていたのか?

・そんなに切羽詰まった様子だったのか?

・余裕がなさそうな人に仕事を依頼して不安になっていないか?

・もし、上記のようなことを感じさせてしまっていたら、まだまだ青いな自分!

 などなど・・・

 

例えば、自分が体調を崩して病院に行ったとします。そしてその病院のスタッフがとてもバタついていたら・・・自分だったら不安になってしまいます。もし、その方がそのようなことを少しでも感じて、先ほどの言葉をかけて下さったのであれば、これは問題です。

 

ただ、その方は会えば必ずこちらのことをお気遣いいただく言葉をかけてくださる方なので、私の頭に浮かんだ様々なことは杞憂だっただろうと思っています。

 

学生時代にとあるサービス業でアルバイトをしていました。そのサービス業は繁忙期・閑散期が非常にはっきりしていて、私たちアルバイトスタッフは繁忙期を中心に雇われていました。当然、私も繁忙期にアルバイトをしていた訳ですが、その時、そのアルバイト先の社長が話してくれた言葉を思い出しました。

 

「この業界は、忙しい時期が集中していてホント大変なんだよね。お客さんが集中して、スタッフのみんなに大変な思いをさせていると思っているよ。忙しいとさ、私も含め仕事をさばくことに意識が向いてしまうけど、少し考えてほしいんだ。お客さんがウチに来てくれたのはウチのサービスを受けに来てくれているんだよ。お客さんもこの時期は混雑していることを理解して来てくれている方がほとんどだし、お客さんにとっては、ウチに来ることをずっと前からとても楽しみにしていたんだと思うんだ。だから、そのことをよく考えてひとりひとりのお客さんに接してほしい。みんなはアルバイトだけどお客さんから見たら全員がウチのスタッフだからさ。よろしく頼むよ・・・」

 

確か、こんな内容だったと思います。自分も歳を重ねたらこんなふうになりたい、当時そう思ったことを記憶しています。

 

このような話は、時期により繁忙期と閑散期がはっきりしている業種ではどこにでもあることだと思います。サービスを提供する側と受ける側。異なる立場の視点では物事は全く違った様子に見えるのはよくあることです。言わずもがなですが、私たち税理士事務所におけるこの時期の中心的な仕事は、クライアントの皆様が1年間お仕事を頑張ってこられた結果を数字にまとめ、ご本人様へ報告し、税務署にも申告するというものです。

 

制度の都合上、業務が集中することにはなりますが、おひとりおひとりにとっての1年間の集大成です。頭の中は書類と向き合い、胸の中では皆様のお顔を思い浮かべながら丁寧に仕事を進めていこう、改めてそう思った出来事でした。

当たり前すぎるほど当たり前なことですが、あの社長が言わんとしていたことを忘れずに業務に邁進していく所存です。

 

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監査部2課

波多江正暁