法人成りについて

2017年04月24日 | Weblog

皆様おはようございます。今日の福岡はとても良い天気で過ごしやすい一日となりそうです。さて、本日は法人設立時に必要な届出等について書きたいと思います。

先日、当事務所へ法人成りをしたいのだが、税務署へどのような手続きが必要かとご質問をいただきましたので、要約して記載をさせていただきます。

 

【税務署】

1.法人設立届出書・・・設立登記の日から2か月以内

※登記簿謄本や定款の写しの添付が必要。

2.青色申告の承認申請書・・・設立事業年度終了の日の前日、または設立から3カ月を経過した日の前日のいずれか早い日。

※設立から3か月以内に事業年度が終了する場合は特に注意が必要です。

この申請書により、赤字を翌事業年度以降(9年間)に繰り越す事が出来たり、                                      少額減価償却資産の特例といって取得価額が30万円未満の資産を購入した場合、年間300万円に達するまで費用計上する事が出来ます。また、各種税額控除を受けるためにも必ず期限内の提出をお願いいたします。

3.給与支払い事務所等の開設届出書・・・事務所開設の日から1か月以内。

4.棚卸資産の評価方法や減価償却資産の償却方法を変更したい場合は各種届出書。

5.源泉所得税の納期の特例の承認申請書・・・特例を受けようとする月の前月末まで。

※従業員様からお預かりする源泉所得税や税理士等へお支払いする報酬の源泉所得税の納付期限は原則翌月10日ですが、上記届出書により半年ごと(2)まとめて納付することが出来ます。(常時雇用する従業員数10名以下)

 

 

【各都道府県】

1.法人設立届出書・・・設立登記の日から2か月以内

※登記簿謄本や定款の写しの添付が必要。

 

【各市区町村】

1.法人設立届出書・・・設立登記の日から2か月以内

※登記簿謄本や定款の写しの添付が必要。

 

【社会保険の加入】

法人の事業所は社会保険への加入義務が生じますので年金事務所へ下記書類を提出しなければなりません。

   健康保険、厚生年金保険新規適用届

   健康保険、厚生年金保険被保険者資格取得届

 

【医療法人成り】

一般の法人成りに加え、各都道府県への認可申請、保健所、厚生局への手続きが生じます。

また、リース会社や金融機関への手続きも出てくるケースがございますので、こちらに関しましては税理士、行政書士に依頼をされた方が良いと考えられます。

 

その他、法人成りに関しましては、消費税の特定期間などを考慮した方が無駄な税金を払わなくて済むケースがございます。

当事務所は一般企業はもちろんの事、医療法人のクライアント様も多数いらっしゃいます。

安心して経営をされるためにも、当事務所を是非ご利用ください。

 

監査部

梅北 聖人

 

 

 

 

 


税込経理と税抜経理

2017年04月17日 | 税務情報(法人関係)

皆さん、こんにちは。
桜の時期ですね。福岡市は残念ながら、4月2週目の雨で随分散ってしまいました。
皆さんの地域はどうでしょうか?新しい門出に桜が迎えてくれると良いですね。

さて今回は、消費税の入力の基本である経理処理の話をします。
消費税の経理処理は、税込経理と税抜経理があります。
税務署への届け出はなく、どちらの処理をいつでも選択しても良いことになっています。
どちらの経理処理でも消費税の納付金額は基本的に同じとなります。
 
 <税込経理>            <税抜経理> 
 現預金 108/ 売上 108      現預金 108/ 売上 100
                      / 仮受消費税 8
 租税公課 8/未払消費税 8    仮受消費税  8/ 未払消費税 8

未払消費税8で、どちらも変わりありませんね。   
ただし、税込経理、税抜経理には、それぞれメリット・デメリットがあります。     
     
税込経理から考えると例えば・・・。     
<メリット>     
①売上金額を大きく見せることができる
②経理処理方法が簡便(会計ソフトによります)
③控除対象外消費税が生じないので、その知識が不要     
④特別償却や税額控除の判定では「×××万円以上の資産」という要件が多いので有利になる     
<デメリット>  
①交際費損金不算入額が大きくなるため不利(不算入額が大きくなると、所得金額も増える)
②償却資産税の課税標準20万円以上の要件に該当するので不利 
③中小企業の少額減価償却資産等の30万円未満の判定では不利 
④期中では消費税の納税額がよく分からない
     
総合的にどちらが良いとは言い難いですが、
デメリットの①~③が多い企業や事業主は税抜経理が有利と思われます。 
税込経理、税抜経理は会計ソフトで簡単にできますが、消費税の知識は必要です。
     
ちなみに印紙税は、次の3点については、税込、税抜関係なく本体価格に対して判断されます。
(1)第1号文書(不動産の譲渡等に関する契約書)
(2)第2号文書(請負に関する契約書)
(3)第17号文書(金銭又は有価証券の受取書)
例えば、5万円と領収証に記載があれば、印紙税200円かかります。
5万円(うち消費税3,704円)と領収証に記載があれば、5万円未満で印紙税はかかりません。 
5万円(税込)と領収証に記載されていると印紙税がかかります。
節税になるなら、しっかり記載することをお勧めします。
     
冒頭で税込経理と税抜経理は、いつでも選択が可能と記述しましたが、一旦採用した会計処理は継続することが大事です。     
なぜなら、前年比較損益を見たときに比較ができなくなり、本当に注力すべき経営課題が見つからなくなるので注意しましょう。

 

監査部2課 吉野伸明


法人の決算月について・・・

2017年04月10日 | 税務情報(法人関係)

個人事業者の方は所得税の確定申告を終え、事業の規模によってはそろそろ法人成りをお考えの方もいらっしゃるかと思います。法人成りするタイミングは、所得税と法人税の税率を比較すれば、法人成りしたほうが良いのかどうか見えてくると思います。今回は、個人事業から法人成りした(事業の開始とともに法人設立した場合も含む)として、決算月をいつにしたら良いか考えてみたいと思います。なんとなく決算月を決めるのとは違い、節税や無理なく法人を経営していく効果が期待できます。

 

 ◆決算日は自由に決められます

たとえば今日、H29年4月10日に法人を設立したとします。すると、今日から第1期の事業年度がスタートです。ゴールの日、つまり決算日は1年を超えて設定することはできません。つまり、最長だと

H29年4月10日 ~ H30年4月9日

が第1期の事業年度となります。実際に多いのは、キリの良い3月31日を決算日として2期目以降は次のような事業年度になるケースです。

 

【A社】

     第1期 平成29年4月10日 ~ 平成30年3月31日

     第2期 平成30年4月1日 ~ 平成31年3月31日

     第3期 平成31年4月1日 ~ 平成32年3月31日

       ・

       ・

       ・

 1年を超える期間を定めることはできませんが、1年を2以上の事業年度に分けることは可能です。3月決算の法人が多いので“法人の決算は3月”、なんとなくそう思われる方もいらっしゃるかと思いますが、法人の決算日はその法人の定款で定められるものなので、ご自身が希望する決算日を株主総会で決議して決めることができます。3月決算が多いのは、国の予算期間が4/1~3/31の期間に設定されているため、国や地方自治体との仕事が多い場合には、時期を合わせた方が事業に関する計画を立てやすいこと等が影響しているでしょう。

 

 ◆決算日は変更できます!

法人設立時に決めた決算日をその後、変更することも可能です。株主総会を開催して定款を変更して決算日を変更します。税務署に届出も必要です。この場合も、1年を超える期間は定められません。また、変更した結果12ヶ月に満たない月数となった変更後の決算日で、決算書を作成し税務署への申告も必要です。

 

【A社】

     第4期 平成32年4月1日 ~ 平成32年8月31日(3/31→8/31に変更)

     第5期 平成32年9月1日 ~ 平成33年8月31日

     第6期 平成33年9月1日 ~ 平成34年8月31日

       ・

       ・

       ・

 

 ◆繁忙期と重ならないか?

 決算時には通常月にはない決算時特有の業務が発生します。これらが繁忙期と重なると通常業務に支障をきたしたり、決算をまとめるのに時間がかかってしまう可能性があります。支障をきたさないまでも、余計な心理的ストレスを抱えてしてしまうことも考えられます。できれば、繁忙期を避けた決算日を定めるほうが良いでしょう。

 

 ◆売上が大きい月はないか、キャッシュフローに余裕はあるか?

 お金の面に着目して決算日を検討する場合に留意することが2点あります。

 ① 売上に波はないか?

 業態によっては、月の売上に明らかな波がある場合があります。その場合は、大きく売上があがる前月を決算日とした方が有利です。決算月に大きな売上があがってしまうと、節税対策の選択肢の幅が狭くなってしまいます。しかし、大きく売上があがる前の月を決算月とすると、12ヶ月の中で最も売上があがる月が1ヶ月目となり、余裕をもって節税対策を検討することができます。

 ②キャッシュフローに余裕はあるか?

 法人の場合、決算月の2ヶ月後が決算・申告の期限です。つまり、決算から2ヶ月以内に納税する必要があります。決算から2ケ月目にあたる月が他の大きな支出が重なる月だと、キャッシュフローを圧迫します。月によって支払いの波もあるかと思います。一般的な例だと、賞与の支払月などは月変動の大きな支払いでしょう。このような支払いと申告期限月=納税期限月が重なると、納税額が多額となる場合には資金繰りを圧迫しかねません。

 

 ◆消費税の免税期間も忘れずに・・・

 資本金が1,000万以上の法人を設立したのであれば、消費税は設立初年度から納税義務があります。しかし、納税義務が生じるか否かの判定の基礎は、資本金1,000万未満の法人では前々事業年度(2期前)の消費税がかかる売上高=「課税売上高」が1,000万を超えるか否かにあります。超えないと納税義務が発生しない可能性が高くなります。前々事業年度、ということは第2期までは前々事業年度が存在しません。つまり、第3期目までは消費税の免税事業者となる可能性がでてきます。(注1)細かい要件についてはH23年の消費税法の一部改正により変更となっていますが、法人設立後の半年間で課税売上高と給与等の支払い額がともに1,000万を超えなければ、2期目も消費税の免税事業者であることになります。また、第1期が8ケ月未満等の短期事業年度(注2)に該当する場合も、第2期目が免税事業者です。

消費税の免税期間をもっとも長くするためには、どうしたらいいでしょう。法人設立日から最も離れた月を決算月にすれば、消費税の免税期間のメリットを最大限享受する可能性が見込めます。第2期は、第1期の開始の日から6ケ月間の課税売上高と給与等の支払い額がともに1,000万を超えるなら、消費税の課税事業者となります。そうでなければ、第2期目も免税事業者のままです。

 消費税のシュミレーションについては複雑な点も多いため、私ども専門家にひとこと相談いただく方が良いと思います。

これらの点を考慮しつつ、ご自身が設立する法人の決算日は何月が一番望ましいのか検討してみては如何でしょうか。また、設立以後、何年か経っている法人であっても今の決算日が最もふさわしいのかどうか、検討してみる価値はあると思います。

 

~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・

(注1) 消費税の免税事業者の要件については、平成23年度税制改正で見直されました。

具体的には、資本金額1,000万円未満の法人は、前事業年度(新規設立法人だと第1期)の前半6ケ月(これを特定期間といいます)の課税売上高が1,000万円超であるかどうかが、当期に課税事業者になるかどうかの判定基準となります。特定期間の判定には課税売上高の代わりに特定期間中に支払った給与等の金額を用いることもできます。この消費税の免税事業者の要件の改正は、平成25年1月1日以後に開始する事業年度から適用されています。

(注2)短期事業年度・・・次のいずれかに該当する事業年度

① 前事業年度が7ケ月以下である場合

② 前事業年度が7ケ月を超え8ケ月未満の場合であって、前事業年度開始の日以後、6ケ月の期間の末日の翌日から前事業年度終了の日間での期間が2ヶ月未満の場合

 

詳しくはこちら、国税庁HP↓ 

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/h2309kaisei.pdf

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/h2309kaisei.pdf#search=%27%E7%89%B9%E5%AE%9A%E6%9C%9F%E9%96%93+%E7%9F%AD%E6%9C%9F%E4%BA%8B%E6%A5%AD%E5%B9%B4%E5%BA%A6%27

 

 税理士法人 恒輝 福田税務/労務合同事務所HP↓

http://www.fukuda-j.com

 

監査部 波多江正暁


Idecoの金融機関選択

2017年04月03日 | Weblog

みなさんこんにちわ。

 

日照時間も長くなり気が付けばすっかり春の季節です。

何か新しいことにチャレンジしようと私はスポーツジムに入会しました。

三日坊主にならないようにしたいと思います。

 

今回は個人型確定拠出年金の金融機関の選び方についてお話したいと思います。

個人型確定拠出年金IDeCoについては2016年12月16日のブログにて解説しています。

IDeCoは60歳まで引き出しができず、月々の手数料が金融機関で異なるため金融機関の選択次第では

合計で支払う手数料は大きく異なってしまうことが予想されます。

では、どんな手数料がかかるか確認してみましょう。

①口座管理手数料

 IDeCoの運用期間中は毎月、国民年金基金連合会と信託銀行に対して手数料をそれぞれ103円と64円

合わせて167円を支払わなければなりません。それに加え、各金融機関に支払う口座管理手数料が必要となります。

口座管理手数料は金融機関によって異なり、残高が多ければ0円となる金融機関や、キャンペーン中は0円となる

金融機関もあります。

②信託報酬

金融機関で購入する投資信託の運用に信託報酬が発生します。信託報酬は所有している投資信託の残高に応じて

年利〇%と一定の割合で経費が発生します。低リスクのもので0.5% 高リスクのもで2.0%前後のものが多いようです。

 

短期間でみれば些細な問題ではないかもしれませんが、60歳まで運用することを考えると少しでも手数料が安い金融機関を

選ぶことが資産形成につながります。

 

HPはこちらから www.fukuda-j.com

監査部 2課 尾方 鼓

 

 

 

 

 

 


教育資金の贈与

2017年04月03日 | Weblog

みなさんおはようございます。

昨日は花見でもと楽しみにしていましたが、まだ三分咲きくらいでしょうか、今年は少し遅いようなので子供たちと公園で自転車の練習などやってきました。

私ごとですが長男が今年小学1年生になります。入学準備でランドセルや机、靴や雨具などいろいろと準備しました。といってもランドセルや机などの少し値が張るものはおばあちゃんに出してもらったのですが…

皆さまの中にも、教育費に関する様々な費用をおじいちゃん、おばあちゃんから出してもらうという方もいらっしゃると思います。

ということで今日は教育資金の贈与を受けた場合、どのような贈与であれば非課税になるのかについてお話したいと思います。

 

贈与税は、原則として贈与を受けたすべての財産が対象になるのですが、これからお話します2つ教育資金の贈与の場合は、贈与税がかからないことになっています。

 

まず1つ目です。

夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から教育に充てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの。

 

「扶養義務者」とは、次の者をいいます。

① 配偶者

② 直系血族及び兄弟姉妹

③ 家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族

④ 三親等内の親族で生計を一にする者

なお、扶養義務者に該当するかどうかは、贈与の時の状況により判断します。

 

また、「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費、通学のための交通費、学級費、修学旅行参加費等をいい、義務教育に係る費用に限りません。

 

必要な都度、必要な額を直接というところがポイントです。したがって、教育費の名目で贈与を受けた場合であっても、それを預金したり株式や不動産などの買入資金に充てている場合には贈与税がかかることになります

また、数年間分の「教育費」を一括して贈与を受けた場合や孫が借りていた奨学資金を一括返済してあげた場合(教育資金を直接出したわけではない)などは贈与税の課税対象となりますので注意が必要です。

なお一括贈与したい場合は次の2つ目の制度を使うという方法があります。

 

2つ目です。

直系尊属(祖父母など)から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税。

平成25年4月1日から平成31年3月31日までの間に、30歳未満の方(贈与を受ける方:受贈者)が、金融機関に教育資金口座を開設して、教育資金として贈与を受けた金額を預入れた場合、1,500万円までは金融機関等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより贈与税が非課税になります。

 

教育資金は、学校等に支払うものと学校等以外に支払うものの2つに区分されます。

①学校等(認定こども園、保育所、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、大学、大学院、専修学校及び各種学校等)に対して直接支払われる場合。

入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費、入学試験の検定料、学用品の購入費、修学旅行費、学校給食費等。

 

②学校等以外に対して直接支払われる場合。学校等以外に支払う金額は500万円が限度となります。

教育(学習塾、そろばんなど)、スポーツ(水泳、野球など)、文化芸術(ピアノ、絵画など)、通学定期券代、留学のための渡航費などの交通費。

 

なお、受贈者が30歳になった時、あるいは亡くなった時にはこの制度は終了しますから、その時に使い切れず残額が有る場合は、その時に贈与があったとして贈与税の対象になります。  

 

1つ目の方法は教育資金を出してあげる人が生存中(あるいは認知症などの症状が無く贈与の意志がある方)でないと出来ないのに対し、2つ目の方法は祖父母が無くなってもその時点で相続税や贈与税がかからないというメリットがありますね。

 

以上、教育資金を贈与してもらった場合でも贈与税がかからない方法を2つ紹介しました。いかがでしたか、贈与してもらうお話がある場合は是非ご検討ください。

 HPはこちらから www.fukuda-j.com

監査部2課 藤野慶一