国税のクレジットカード納付

2018年07月30日 | Weblog

連日厳しい暑さが続いておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

今回は、国に治める税金(以下「国税」)の納付方法のうち、ご質問の多いクレジットカード納付の話をします。

国税は、銀行の窓口で納める窓口納付や個人事業主の方は振替納税(自動引落)の方法で、納付する方が多いと思います。

他に、コンビニ納付、ダイレクト納付、インターネットバンキングによる納付、クレジットカード納付等も一定の手続きの下、選択できます(詳細は、国税庁ホームページ「[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)」参照)。

 

ここから本題です。

国税の税目の多くは、クレジットカードでの納付が可能ですが、以下のようなデメリットが考え得るため、実際のところあまり普及していないように思います。

1. 納付のたびにクレジットカード支払サイトへのアクセス・入力が必要等、手続が煩雑

2.決済手数料がかかる

3.法人税や所得税に関連して、地方税の方はクレジットカード納付に対応していない自治体が多く、国税だけクレジット納付する場合、地方税の納付を失念してしまうリスクがある

4.クレジットカード納付の1回の利用可能額(1,000万円未満)があり、くわえてカード会社の決済可能額の制限もあるため、納付額が多額の場合、手続が煩雑または全額納付不可の場合がある

5.個人事業主の確定申告に係るクレジットカード納付の場合、3月15日までに納付手続をしないとならないため、振替納税(4月20日)に比べ慌ただしい

 

特に、2のデメリットが大きく、決済金額によって1%前後の手数料がかかるため、普及を妨げている感がありますし、個人的にもクレジットカード納付はあまりお勧めしておりません(ここではポイント等の話は割愛します)。

 

それでも、クレジットカード決済を選好する個人事業主の方から、申告所得税等に関して、振替納税を利用していてもクレジットカード納付が可能かといった問い合わせがありますので、以下に詳記します。

 

国税庁ホームページのクレジットカード納付のQ&A Q1-9では、以下のように記載があります。

「振替納税を利用されている方は、申告手続等により税額が確定すれば、振替納税の口座引落日(振替日)に自動振替により納付手続が完了します。
そのため、振替納税によらずクレジットカードにより納付を希望される場合は、特に振替納税の口座引落日(振替日)が納期限と同一になる次の税金について、振替納税による引落しがされないよう、あらかじめ所轄の税務署へ連絡した上でクレジットカード納付をご利用ください。

○ 申告所得税及び復興特別所得税
1 予定納税1期分(納期限:7月31日)
2 予定納税2期分(納期限:11月30日)
3 確定申告延納分(納期限:5月31日)

※ 上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となります。」

 

このように、申告所得税等に関して、振替納税を利用していてもクレジットカード納付は可能とされております。

ただし、予定納税をクレジットカード納付する場合、「振替納税による引落しがされないよう、あらかじめ所轄の税務署へ連絡」の箇所に注意が必要です。

 

全体的な流れとして、各税務署は、振替納税の届出がなされている方で、入金が確認できていない納税者を抽出して、銀行に口座振替を依頼しているようです。

 

まず、確定申告に関しては、3月15日までにクレジットカード納付がなされるため、税務署も入金の有無を確認する時間的余裕があり、入金のない方を抽出して4月20日の口座振替を銀行に依頼することができるため、納税者の所轄税務署への連絡は原則不要と思われます。

しかし、予定納税の場合、口座振替のために銀行等に引落依頼をかける時期は、各税務署によって違うとは思いますが、概ね納付月(7月と11月)の初旬から中旬にかけての場合が多いと思います。

その場合、原則として、引落依頼をかける前までにクレジットカード納付および所轄の税務署へ連絡が完了している必要があり、納付月の下旬での手続では口座引落に間に合わない可能性があります。

ですので、予定納税に際して、遅くとも納付月の前月までには、クレジットカード納付手続のタイミングを所轄の税務署に問い合わせた方がよいと思われます。

 

クレジットカード納付後に、所轄の税務署に連絡したら、口座引落はもうストップできません、とならないようにお気を付け下さい(二重払いになったら後日税務署から還付等がなされるとは思いますが、二度手間で面倒ですので…)。

 

弊所では、皆様のお悩みや疑問が解決できるように頑張って参りますので、よろしくお願いいたします。

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監査部 波多江


リバースチャージ方式(消費税法)

2018年07月23日 | 税制改正

 

皆さんこんにちは。

 

平成27年(2015年)4月の消費税法改正では新しく「リバースチャージ方式」という課税方式が一部の取引に適用されることになりました。

 

ここではこのリバースチャージ方式について分かり易く解説していきます。

 

  • リバースチャージ方式の適用対象者(その1)

 

Q 国外事業者から「事業者向け電気通信利用役務の提供」を受けた場合、リバースチャージ方式により消費税の申告をする必要があるのは、どのような者なのでしょうか。

 

A リバースチャージ方式により申告をする必要があるのは、一般課税により申告を行う事業者で、その課税期間の課税売上割合が95%未満の事業者に限られます。

(詳しくは国税庁HP 質疑応答事例‣消費税‣リバースチャージ方式による申告を要する者

 をご確認下さい。)

 

  • リバースチャージ方式の適用対象者(その2)

事業者向け電気通信利用役務の提供」とは、役務の性質又は当該役務の提供に係る取引条件などから、当該役務の提供を受ける者が通常事業者に限られるものとあります。

つまり、これはリバースチャージ方式が適用されるのは事業者間の取引(BtoB)かつ、国境を越えて行われるデジタルコンテンツの配信等に限定される、ということです。

消費者に対する(BtoC)国境を越えて行われる電気通信利用役務の提供については、国外事業者自ら日本の税務署に対し申告納税を行います。

これは、消費者ひとりひとりに消費税の申告納税の手間を負担させるのは無理があるのでまとめて国外事業者が申告納付して下さい、ということでしょう。

 

  • 適用開始時期

平成 27 年 10 月1日以後行う課税資産の譲渡等及び課税仕入れから適用されます。

 

 

●「電気通信利用役務の提供」の具体例

電気通信利用役務の提供に該当する取引は、対価を得て行われる以下のようなものが該当します。

・  インターネット等を通じて、対価を得て行われる電子書籍・電子新聞・音楽・映像・ソフトウエア(ゲームなどの様々なアプリケーションを含みます。)の配信

・  顧客に、クラウド上のソフトウエアやデータベースを利用させるサービス

・  顧客に、クラウド上で顧客の電子データの保存を行う場所の提供を行うサービス

・  インターネット等を通じた広告の配信・掲載

・ インターネット上のショッピングサイト・オークションサイトを利用させるサービス(商品の掲載料金等)

・ インターネット上でゲームソフト等を販売する場所を利用させるサービス

・  インターネットを介して行う宿泊予約、飲食店予約サイト(宿泊施設、飲食店等を経営する事業者から掲載料等を徴するもの)

・  インターネットを介して行う英会話教室

 

  • インターネット等を通じた広告の配信・掲載について

 Googleは国外にあるサーバーで運用されているため、「Googleアドワーズ」でリスティング広告サービスを受けている場合はリバースチャージ方式の適用対象になります。

一方、YAHOO!は国内のサーバーで運用されているので「YAHOO!リスティング」は適用対象とはなりません。

 

いかがでしたか?

ネットを使って物を購入する・広告を出すなどの取引はどの事業者でも行っているのではないでしょうか。インターネットを利用し電子書籍・電子新聞・音楽・映像・広告等を利用している場合は税務署から指摘される前に、相手の事業者が国外事業者なのか国内事業者なのか再度確認してみて下さい。

 

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監査部  柴田恭兵

 


譲渡損失【株】の更正の請求は可能か?

2018年07月02日 | 税務情報(個人関係)

皆さん

こちら福岡は台風が迫りつつあります。被害がなく無事通り過ぎる事を願うのみです。

そんな中ですが 本日のブログは...........

 

個人事業主や、株の取引をしている人が、その年に赤字(損失)を出してしまった場合には、その赤字を翌年以降3年間繰り越すことができます。

 

ただし、赤字の繰越をすることができるのは、確定申告の際に一定の書類を添付するなど、所定の手続きを行った場合に限られます。

 

今回は、株取引で譲渡損失(赤字)になったのに、手続きを失念していた場合の取扱いについてご説明します。

 

損失の繰越控除

株式の譲渡損失が生じた場合、確定申告をすることでその損失を翌年以降3年間繰り越すことができます。

 

その繰り越した損失は、翌年以降に株取引で利益が出た場合に損益通算できますので、もし赤字が生じた場合には確定申告した方が有利になります。

 

申告期限内に確定申告書を提出したものの、譲渡損失については申告していなかった場合に、繰越控除が認められるかどうかはその証券口座の種類によって取扱いが異なります。

 

①  特定口座で「源泉徴収あり」の場合

株取引を行っている方で最も多いケースが、「源泉徴収あり」を選択した特定口座内で株取引を行っている場合かと思います。

 

もし「源泉徴収あり」の特定口座で、株式の譲渡損失が生じた場合には、確定申告をしないと譲渡損失の繰越控除を行うことができません。

 

それでは、給与や個人事業などについて確定申告書を提出したのに、株式の譲渡損失については何の記載もしていなかった場合はどうなるでしょうか?

 

特定口座で「源泉徴収あり」を選択している場合は、確定申告書に損失の申告をしないと、申告不要を選択したものとされてしまいますので、後から損失の繰越をしようとしても認めてもらえません。

 

そもそも「源泉徴収あり」の特定口座は、証券会社が源泉徴収することで納税まで完結するため、その特定口座について本人による確定申告を不要とする制度です。

 

そのため、もしこの口座で損失が生じた場合には、期限内に自身で確定申告をして譲渡損失について記載することで、「損失の申告をする」という意思表示をすることになります。

 

なお、そもそも期限内に確定申告書自体を提出していない場合には、期限後申告をすることで譲渡損失を使用することができるものと思われます。

 

②  特定口座で「源泉徴収なし」の場合

期限内に、他の所得(給与や個人事業、不動産所得など)について確定申告をしている場合であっても、次の書類を添付した「更正の請求書」を税務署に提出することで、譲渡損失の繰越を受けることができます。

 

③  一般口座の場合

期限内に、他の所得(給与や個人事業、不動産所得など)について確定申告をしている場合であっても、次の書類を添付した「更正の請求書」を税務署に提出することで、譲渡損失の繰越を受けることができます。

 

そもそも確定申告書を提出していない場合

確定申告書を提出していない場合には、「期限後申告」をすることで、下記いずれのケースでも損失の繰越が認められます。

 

(1) 特定口座で「源泉徴収あり」の場合

(2) 特定口座で「源泉徴収なし」の場合

(3) 一般口座の場合

 

 

 

この場合には、次の書類を添付した確定申告書(期限後申告書)を提出することになります。

 

「株式等に係る譲渡所得等の金額の計算明細書」

「確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」

「特定口座年間取引報告書」

「申告書第三表(分離課税用)」

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                              三課 寺﨑