連日厳しい暑さが続いておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今回は、国に治める税金(以下「国税」)の納付方法のうち、ご質問の多いクレジットカード納付の話をします。
国税は、銀行の窓口で納める窓口納付や個人事業主の方は振替納税(自動引落)の方法で、納付する方が多いと思います。
他に、コンビニ納付、ダイレクト納付、インターネットバンキングによる納付、クレジットカード納付等も一定の手続きの下、選択できます(詳細は、国税庁ホームページ「[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)」参照)。
ここから本題です。
国税の税目の多くは、クレジットカードでの納付が可能ですが、以下のようなデメリットが考え得るため、実際のところあまり普及していないように思います。
1. 納付のたびにクレジットカード支払サイトへのアクセス・入力が必要等、手続が煩雑
2.決済手数料がかかる
3.法人税や所得税に関連して、地方税の方はクレジットカード納付に対応していない自治体が多く、国税だけクレジット納付する場合、地方税の納付を失念してしまうリスクがある
4.クレジットカード納付の1回の利用可能額(1,000万円未満)があり、くわえてカード会社の決済可能額の制限もあるため、納付額が多額の場合、手続が煩雑または全額納付不可の場合がある
5.個人事業主の確定申告に係るクレジットカード納付の場合、3月15日までに納付手続をしないとならないため、振替納税(4月20日)に比べ慌ただしい
特に、2のデメリットが大きく、決済金額によって1%前後の手数料がかかるため、普及を妨げている感がありますし、個人的にもクレジットカード納付はあまりお勧めしておりません(ここではポイント等の話は割愛します)。
それでも、クレジットカード決済を選好する個人事業主の方から、申告所得税等に関して、振替納税を利用していてもクレジットカード納付が可能かといった問い合わせがありますので、以下に詳記します。
国税庁ホームページのクレジットカード納付のQ&A Q1-9では、以下のように記載があります。
「振替納税を利用されている方は、申告手続等により税額が確定すれば、振替納税の口座引落日(振替日)に自動振替により納付手続が完了します。
そのため、振替納税によらずクレジットカードにより納付を希望される場合は、特に振替納税の口座引落日(振替日)が納期限と同一になる次の税金について、振替納税による引落しがされないよう、あらかじめ所轄の税務署へ連絡した上でクレジットカード納付をご利用ください。
○ 申告所得税及び復興特別所得税
1 予定納税1期分(納期限:7月31日)
2 予定納税2期分(納期限:11月30日)
3 確定申告延納分(納期限:5月31日)
※ 上記納期限が土曜日、日曜日、国民の祝日・休日の場合は、その翌日が納期限となります。」
このように、申告所得税等に関して、振替納税を利用していてもクレジットカード納付は可能とされております。
ただし、予定納税をクレジットカード納付する場合、「振替納税による引落しがされないよう、あらかじめ所轄の税務署へ連絡」の箇所に注意が必要です。
全体的な流れとして、各税務署は、振替納税の届出がなされている方で、入金が確認できていない納税者を抽出して、銀行に口座振替を依頼しているようです。
まず、確定申告に関しては、3月15日までにクレジットカード納付がなされるため、税務署も入金の有無を確認する時間的余裕があり、入金のない方を抽出して4月20日の口座振替を銀行に依頼することができるため、納税者の所轄税務署への連絡は原則不要と思われます。
しかし、予定納税の場合、口座振替のために銀行等に引落依頼をかける時期は、各税務署によって違うとは思いますが、概ね納付月(7月と11月)の初旬から中旬にかけての場合が多いと思います。
その場合、原則として、引落依頼をかける前までにクレジットカード納付および所轄の税務署へ連絡が完了している必要があり、納付月の下旬での手続では口座引落に間に合わない可能性があります。
ですので、予定納税に際して、遅くとも納付月の前月までには、クレジットカード納付手続のタイミングを所轄の税務署に問い合わせた方がよいと思われます。
クレジットカード納付後に、所轄の税務署に連絡したら、口座引落はもうストップできません、とならないようにお気を付け下さい(二重払いになったら後日税務署から還付等がなされるとは思いますが、二度手間で面倒ですので…)。
弊所では、皆様のお悩みや疑問が解決できるように頑張って参りますので、よろしくお願いいたします。
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監査部 波多江