秋晴れの心地よい季節となりました。
みなさまいかがお過ごしでしょうか。
先日の報道でご存じの方も多いと思いますが、両親が結婚している子どもと結婚していない子どもで、相続できる遺産に差がある民法の規定が、憲法に違反するかどうかが争われていた裁判で、最高裁判所は違憲と判断しました。
※結婚していない男女の間に生まれた子供を非嫡出子(婚外子)といいますが、認知をされることによって親子となり、相続権も発生してきます。
ただ、その法定相続分は結婚している夫婦の子(嫡出子)の半分となっています。
今回の最高裁による「違憲」判決を受け、婚外子を事実上差別しているその他の制度にも、見直しに向けた期待を寄せる声があるようで、そのひとつが寡婦控除です。
寡婦控除は、夫と死別または離婚した女性が受けられる所得税法上の優遇措置で、収入や扶養親族の有無によって、27万円か35万円が所得から控除されるというものです。
寡婦の要件の一部ですが
1)夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人
2)夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人
※「夫」とは、民法上の婚姻関係をいいます。
とされており、いずれも「婚姻」を前提としているため、一度も結婚したことがない非婚の女性はこの控除の対象外となっています。
寡婦控除の適用がないということは、所得税の負担が増えるだけでなく、所得税をもとに算定される住民税や国民健康保険料、保育料などにも影響が出てくるため、非婚女性はかなりの経済的負担を強いられています。
この件については賛否あるようですが、
「非婚の母であった女性がその後結婚し、離婚をすることで寡婦控除が認められるのであれば、結婚・離婚をしなかった女性との間に実質的な担税力の差はない。婚姻届提出の有無によって税負担に差を設けることには疑問も覚える」と指摘する声もあるようです。
今後の議論に注目していきたいと思います。
阿部笑美子