寡婦控除

2013年09月30日 | Weblog

秋晴れの心地よい季節となりました。

みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

先日の報道でご存じの方も多いと思いますが、両親が結婚している子どもと結婚していない子どもで、相続できる遺産に差がある民法の規定が、憲法に違反するかどうかが争われていた裁判で、最高裁判所は違憲と判断しました。

 

※結婚していない男女の間に生まれた子供を非嫡出子(婚外子)といいますが、認知をされることによって親子となり、相続権も発生してきます。

   ただ、その法定相続分は結婚している夫婦の子(嫡出子)の半分となっています。

 

今回の最高裁による「違憲」判決を受け、婚外子を事実上差別しているその他の制度にも、見直しに向けた期待を寄せる声があるようで、そのひとつが寡婦控除です。

 寡婦控除は、夫と死別または離婚した女性が受けられる所得税法上の優遇措置で、収入や扶養親族の有無によって、27万円か35万円が所得から控除されるというものです。

寡婦の要件の一部ですが

1)夫と死別し、若しくは離婚した後婚姻をしていない人、又は夫の生死が明らかでない一定の人で、扶養親族がいる人又は生計を一にする子がいる人

2)夫と死別した後婚姻をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人 

※「夫」とは、民法上の婚姻関係をいいます。

 

とされており、いずれも「婚姻」を前提としているため、一度も結婚したことがない非婚の女性はこの控除の対象外となっています。

 寡婦控除の適用がないということは、所得税の負担が増えるだけでなく、所得税をもとに算定される住民税や国民健康保険料、保育料などにも影響が出てくるため、非婚女性はかなりの経済的負担を強いられています。

 この件については賛否あるようですが、

「非婚の母であった女性がその後結婚し、離婚をすることで寡婦控除が認められるのであれば、結婚・離婚をしなかった女性との間に実質的な担税力の差はない。婚姻届提出の有無によって税負担に差を設けることには疑問も覚える」と指摘する声もあるようです。

今後の議論に注目していきたいと思います。

 

阿部笑美子


消費税増税

2013年09月24日 | Weblog

おはようございます。

消費税の増税が日に日に近づく今日この頃、8%になる前に投資を考えられている社長、先生も多いのではないでしょうか?

今日はその消費税増税に伴う給付金のお話です。

下記の2つを紹介いたします。

 

消費税増税に伴うすまい給付金

目的:消費税増税に伴い、住宅を購入した一定の年収以下の人の負担軽減を図るため

支給イメージ :適用消費税率  年収   給付額

        8%時    425万円以下  30万円                                                                          ~475万円以下  20万円

            ~510万円以下  10万円

        10%時   450万円以下 50万円

             ~525万円以下 40万円

             ~600万円以下 30万円

             ~675万円以下 20万円

             ~775万円以下 10万円

要件:自らの持ち分がある住宅に住む かつ 負担している税金が一定額以下

 

低所得者に1万円給付(方針)

目的:低所得者対策として

対象:住民税非課税世帯の約2400万人

金額:1人当たり1万円、うち年金や児童扶養手当の受給者ら1200万人強には5千円を加算し、1万5千円とする方向で調整中

 

ライフプラン担当より、5%から8%へ3%の増税は家計費が増えることに繋がります。総務省の家計調査(平成24年)では子育て世帯の割合が多い40歳代~50歳代の場合、消費支出は平均30万円弱となっています。消費税5%では、毎月1万4千円が消費税で占められている計算になりますが、これが10%になると単純に2倍になってしまいます。1年間で考えると約17万円が追加で必要になります。

ますます家計費に不安を感じる方が多いと思いますが、その為にもライフプランを一度紙に書いて欲しいと思います。今からどんなイベントがあっていくら必要なのか、将来に不安を抱くよりも、まずは将来を見てみて下さい。

皆様が毎日笑顔で過ごせるよう、心より願っております。

津田千春


役員退職金支給時の注意点

2013年09月17日 | Weblog
みなさん、こんにちは。
朝夕は少し涼しくなり過ごしやすくなってきました。

今回は役員に対する退職金についてです。
役員への退職金支給は節税効果が大きくなりますが、それだけ税務署にも目を付けられやすく問題になりやすい点でもあります。
中小零細企業はほとんどが同族会社であるため、退職金支給について恣意的に決められることも問題になりやすい原因でしょう。

税務署に否認されないためには
・役員退職給与規定
・株主総会議事録・取締役会議事録
を整備し、「支給する退職金額」と「支給時期」について明確にしておくことが大事です。

法人の損金に算入する時期としては、原則として決議のあった日の属する事業年度とされますが、実際に支給した日の事業年度に損金に算入する方法も認められます。

分割払いも認められますが、役員退職給与規程等の整備、株主総会等の決議がされていなければなりません。あまり長期でない2~3年以内での支給が実務上、妥当と思われます。

退職金の金額が適正であるかどうかについては、計算手法として、一般的には功績倍率法で検討されます。功績倍率法の算式は以下のとおりです。

■役員退職金の適正額=最終月額報酬×勤続年数×功績倍率(1.5~3.0)

最終月額報酬について退職直前に報酬をアップしたり、逆に退職直前に報酬を低く抑えたりした場合には、適正な月額報酬を算定しなければなりません。功績倍率については、類似法人の多くの資料を集め、その数値がいかにして導かれたのかを明らかにしておく必要があります。(功績倍率については2013年7月18日に東京高等裁判所で納税者が最高功績倍率で算定した退職給与が認められないという判決が出ており今後注意が必要かもしれません。本件は現在上告申立て中。)
過大と判断されない算出基準を明確にするためにも、やはり役員退職給与規程等を制定しておくのが良いでしょう。



★役員の分掌変更による退職金支給にも注意

たとえば代表取締役が退職し、会長職や平取締役になることがあります。
退職金支給後に退職した前代表取締役が今まで通りに仕事をし、役員報酬を支給してしまっていると退職金を否認されてしまいます。
実質退職していない人に支給した退職金は経費として認められない、ということです。

退職金を支給した後も引き続き役員報酬を支給するのであれば、以下の2つの条件を満たす必要があります。
・役員報酬代表取締役の変更登記を行い、非常勤の役員として「経営上主要な地位」から外れていること
・支給する役員報酬は50%以下まで減額していること
(とはいえ200万円を100万円にすれば良い、ということではありません。あくまで勤務実態に即した金額でなければ過大役員報酬と見られて否認される可能性がありますので、非常勤役員に相応の額である必要があります。)

ご注意ください。


監査部 川上裕也

TOKYO 2020

2013年09月08日 | Weblog
2020年夏季五輪の開催都市を決めるIOC総会は開催都市に東京を選んだ。早朝だったが、IOCのロゲ会長が「トーキョー」と発した瞬間に思わずガッツポーズをした人も多いはずだ。夏季は64年以来二度目となり、72年の札幌、98年の長野の冬季と合わせ四度目の開催となる。五輪は2020年7月24日~8月9日まで、パラリンピックは8月25日~9月6日まで行う計画。夏季五輪を二回以上開催する都市は、アテネ、パリ、ロサンゼルス、ロンドンに次いで五都市目となるそうだ。

五輪決定に景気の回復を期待する人も多いのではないだろうか。「景気」とはあの指標がどうだとかこの指標がどうだとかではなく、結局はなんとなく皆が「ああ景気が良いなー」とか「ああ景気が悪いなー」と感じている“その情景”なんだよと、何時ぞや偉い人が言っていた。景気の気は気持ちの「気」、気分の「気」。今回の五輪決定のニュース。まずは私達自身が前向きに捉え、そしてこれを明確なチャンスと位置づけ、意識を“ポジティブにシフトする”ことが大切なのではないかと思う。

祝!2020年東京五輪決定。その開催を今から楽しみに待ちましょう!

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「ジリリリリリリリン!」「火災が発生しました。なんたらかんたら・・・・。」

あなたならどうしますか?

昔、専門学校の自習室で勉強していた時のこと。この時、私は第一に「本当に火事なのか?」ということを考えた。周りを見ても逃げる感じではない。出入口の方を見ても煙がモクモクと見えるわけでもなければ臭いもない。ワーだのキャーだのという声も聞こえない。そこで次にこう考えた。「これは誤報だ」。過去にもあったじゃないか。あの時も結局誤報だった。ここであわてて逃げたらあとで恥ずかしい思いをするなと。

この状態は“正常性バイアス(Normalcy bias)”が強烈にかかっている状態だ。正常性バイアスとは「多少の異常事態が起こってもそれを正常の範囲内として捉え、心を平静に保とうとする働き」のことをいう。この働きは、我々が日常生活を送る中で遭遇する様々な変化や新しい出来事に、心が過剰に反応し疲弊しないために必要な働きである一方、上記のように我々のリスク感知を遅らせ対処を緩慢なものにしてしまう。もともとは適応をうまく行うために行動プログラムに組み込まれたものだが、緊急事態では逃げ遅れなど致命的な結果を招く元凶ともなる。しかも私の例のように過去に同じような経験をしていた場合、正常性バイアスは強化され、「まだ大丈夫」や「今回は違う」と、過去の経験値から都合の良い解釈をしてしまうやっかいな傾向を持つ。

正常性バイアスは個人だけがかかるものではない。企業、病院等、あらゆる組織がこのバイアスにかかる危険を有している。危機に直面している際に「でも今回は大丈夫だよね」と異常を異常と感じ取れないことは組織を壊滅的な状態へと導く引き金となる。組織に長年いる役職者ほどその豊富な経験値によりこのバイアスがかかりやすくなることから、いよいよ事態が切迫した際には手遅れになっていることが多い。大きな顧客の喪失や従業員の連続退職等、「まあ、そんなこともあるだろう」と軽く見ていたら実はそれが重大な事態の兆候であり、適切に対処しておけばこんなことにはならなかったのに・・・と後悔することも、正常性バイアスがかかっていたことを示している。

ではこの正常性バイアス。どう対処すればよいのだろうか。

ひとつは、いち早く科学的に危機をキャッチする仕組みを構築しておくことだ。これは、営業部門や経理部門、外部のコンサルタント等、外部環境と接する境界点で働く者や、組織の数字と接し定量的な分析が可能な地位にいる者がキーマンになる。我々税理士事務所が月次巡回監査を推奨している理由のひとつもここにある。毎月毎月を決算だと思い、常に最新の数字を把握しておくということの重要性。第三者である銀行等に適時対応するためだけでなく、経営者として組織の数字をリアルタイムで把握することが、科学的に「危機」をキャッチし素早く対処するための要となる。

もうひとつは、その組織に対して豊富な経験値を“有していない”若手メンバーの素直な気持ちをいち早くキャッチする環境を整えておくことだ。若手のメンバーはその組織内での経験値の少なさから正常性バイアスがかかりにくい状態にある。その彼ら彼女らが抱く「不安」というのは組織の弱点を見抜いている場合が多々ある。異常を異常と判断できているその意見に、経営者としてアンテナをめぐらしておくというのは有用なことなのである。

いずれにせよ、経営者はこれらのメッセージを“キャッチしなければならない”という点は同じである。キャッチできなくなるのが正常性バイアスなのにキャッチしろとはおかしな話だと思われるかもしれないが、誰しもが正常性バイアスにかかる危険を秘めており、一度かかるとこのようになるということを知っておくことは、いざかかった際にそこから素早く抜け出し、危機を危機と認識する手助けになるはずだ。先にも述べたように、正常性バイアスは心の平静を得るためのメカニズムでもあるため一概に否定されるべきものではない。しかし、経営者や管理職等より多くの人に影響を与える立場の人は、頭ごなしに「異常なんてそうは起きない」と考えるのではなく、上記「危機」と「不安」を結び付け、様々なシナリオを想定した上でその都度冷静に物事を判断することが求められるのである。

我々税理士事務所は数字を根拠とした分析から異常が発生していないか常に御社・御医院の経過を観察しています。月に一度訪問させていただく際にはお話をさせていただき、その不安や想いに耳を傾けています。そこから見えてくる“まだ見ぬ事態”を、組織外部の立場から進言させていただく“最後のキーパーソン”としてご活用いただければと考えています。

■参考リンク
㈱安全・安心研究センター
広瀬弘忠 東京女子大学名誉教授
http://www12.plala.or.jp/anzen_anshin/home.html
http://ameblo.jp/hirotadahirose/

監査部一課 原浩恭

ふるさと納税

2013年09月02日 | 税務情報(個人関係)
皆様、おはようございます!
夏の暑さも少し落ち着きましたが、その代わりに週末の福岡は台風の影響で雨続きでした。その台風も通り過ぎてほっとしたところで、また次の台風が今週末に九州に近づく可能性があるようです。まだまだこの先の進路はわかりませんが、皆様お気を付け下さい。

さて、今回のブログはふるさと納税についてお話しいたします。

2008年の税制改正から始まっている制度ですので、既に耳にしたことのある方も多いことと思いますが、このところお客様からのご質問をいくつか頂きましたのでお話しをさせて頂きます。

ふるさと納税とは、自分が選ぶ都道府県・市区町村へ寄付をすることで、その寄付金とほぼ同額の所得税・住民税が減額されるという制度です。自分が今住んでいる場所に限らずに、自分の税金の納付先・使い道を指定できる制度です。

一点注意が必要なのが、上で「寄付金とほぼ同額の」と書いた通り、寄付金の金額がそのまま所得税・住民税から減額されるわけではなく、減額の金額は少し寄付金額より少なくなります。

http://www.furusato-nouzei.jp/guide/deduction.html

上記のリンクの計算のとおり、年収700万円、所得税率・住民税率 各10%、4万円寄付の場合には、4万円のうち4700円は控除されず自己負担をすることになります。なお同HPで控除税額のシミュレーションもできますのでご確認ください。

いくつかの自治体ではこのふるさと納税をしてくれた方に地域の特産品を送っている場合があり、ふるさと納税をする方のなかにはそれを楽しみにして寄付をする方もいらっしゃるようです。特典はお米や海産物、果物などさまざまです。ちなみに私の出身地の下関市は「下関ブランドお楽しみセット」「しものせき水族館(海響館)年間フリーパス」でした。各自治体がどういったものを提供しているかは下記のサイトでも調べることができますので、皆様もぜひご自分の出身地がどいうったものを提供しているかを調べてみてはいかがでしょうか。

http://www.furusato-tax.jp/

監査部一課 川端正人