被災企業の税制特例

2019年11月18日 | 日々のできごと

台風第19号などにより被害を受けられた方々に、心からお見舞いを申し上げます。

 

各地域の河川の堤防が決壊したことなどにより、かなり広範囲の企業において被害が出ているので、今回は「被災企業の税制特例」をテーマにしたいと思います。

 

被災企業に関しては、様々な税制の特例があり、すべてをここに書くことはできませんが、
一部を記載致します。

 

〇 納期限の延長
 災害により、期限までに申告・納税などができない場合は、所轄税務署長に申請し、承認を受けることにより、「その理由のやんだ日から2か月以内」の範囲で申告・納税の期限が延長されます。 
 なお、これは【期限を経過した後でも申請可能】なので、被災の状況が落ち着いた後に申請することも可能です。
〇 資産の評価損
 棚卸資産、固定資産、一定の繰延資産について、災害による著しい損傷が生じ、「時価<帳簿価額」となる場合、「帳簿価額ー時価」を損金経理することができます。
〇 固定資産の復旧費用
 ・ 被災資産の原状回復費用は「金額を問わず」、修繕費になります。
 ・ 被災資産の被災前の効用を維持するための補強工事、排水または土砂崩れの防止等       のための工事は修繕費になります。
 ・これらを除き、修繕費か?固定資産として資産計上か?という判断ができないものは、その支出額の30%を修繕費にすることが可能です。
〇 災害損失欠損金の繰戻しによる還付
 災害による欠損金がある場合、前2年以内に開始した事業年度※の法人税の還付を受けることができます。 
 なお、事業年度が終わっていない場合であっても、仮決算による中間申告による還付を受けることが可能です。
 ※ 白色申告の場合は前1年以内
 〇 納税の猶予
 災害により、全財産額のおおむね20%以上の被害を受けた場合、納期限から1年以内の期間、納税が猶予されます※。
 ただし、災害のやんだ日から2か月以内の申請が必要です。
 納期限から1年以内の期間においても納税が困難となった場合、さらに2年間の延長ができ、「最大3年間」となります。
 上記で「災害のやんだ日」と書きましたが、これはいつか?という問題があります。
これは国税庁の資料※に「災害等のやんだ日」として、次のとおり、書かれています。

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 問
 「災害等のやんだ日」とは、いつをいうのですか。

 答
 「災害等のやんだ日」とは、申請する方に特別な事情がある場合を除いて、客観的に見て、個別指定の期限延長の申請をした方が、税務上の申告・納付等の行為をするのに差し支えないと認められる程度の状態に復した日となりますが、例えば、次のような日をいいます。

 (1)災害により直接被災した場合には、災害が引き続き発生するおそれがなくなり、その復旧に着手できる状態になった日

 (2) 交通の途絶があった場合には、交通機関が運行を始めた日

 

被災された地域の方々、被災された企業におかれましては、大変な状況かと思います・・・。

多少でもご参考になれば幸いです。 

 

HPはこちら  www.fukuda-j.com

                                                                監査部 十塚 彰文

 


扶養内で働くとは?

2019年11月10日 | 税務情報(個人関係)

「扶養内」とは

 

今年もあっという間に11月です。令和になって半年が過ぎました。

年末調整の季節がやってきました。今回はよく聞かれます「扶養内で働きたい」という事について整理していきたいと思います。

 ※「妻(自分)が夫の扶養内で働く場合」を想定しています。

よく言われる「扶養内で働く」とは、「扶養控除が受けられる範囲の中で働く」という意味です。

 

扶養控除には『税制上の扶養』と『社会保険上の扶養』の2種類があります。

 

税制上の扶養控除は、所得税や住民税の控除や、配偶者控除・配偶者特別控除に関するもの。(扶養親族・同一生計配偶者)社会保険上の扶養とは、健康保険や年金に関するものです。(被扶養者)

一般的に「扶養内」と言うとこの2つがまぜこぜで語られることが多いのですが制度は別物です。

 

 よく言われる 「年収の壁」とは?

壁も色々あります。

100万円の壁 (税制上) これを超えると住民税が本人に発生するライン。 注)自治体によって異なります。

103万円の壁 (税制上) これを超えると所得税が発生するライン。

106万円の壁 (社会保険上) 自身の勤務先で保険加入の義務が発生するライン(大会社)

130万円の壁 (社会保険上) これを超えると夫の社会保険の被扶養者から外れるというライン (その他要件あり)

150万円の壁 (税制上)配偶者特別控除の満額(38万円)が受けられる上限のライン

      (夫の年収によって減額されることもあります)

201万円の壁 (税制上) 配偶者特別控除を受けられる上限のライン

 

 

 

交通費や通勤手当は年収に含むのか?

『税制上の扶養』では、交通費や通勤手当を年収に含める必要はありません(非課税部分のみ)。税制上、交通費・通勤手当は所得に当たらないとされています。『社会保険上の扶養』では、金額にかかわらず交通費も年収に含まれます。これは厚生年金法でいう「報酬」が、被保険者が事業主から労務の対償として受けるすべてのものを指すためです。交通費以外にも、家族手当・住宅手当などの手当も年収に含まれますので注意が必要です。

 

会社によって異なる家族手当

配偶者の年収や扶養親族(家族)の年収・年齢によって家族手当が変わる会社もあります。

 

以上 扶養内で働く上での税金・社会保険関係についてまとめてみました。

働き方も色々ありますが、なるべくご自分に合った職場を探したいものですね。

 

 

 

                            以上 監査部 西島 健志