株式譲渡制限会社

2016年06月30日 | Weblog

6月は一年の中でも株主総会が多く開かれる一ヶ月です。ニュースをみると今年は6月29日に様々な企業の株主総会が集中したようです。

上場企業の約7割が3月を決算月としています。 会社法では決算から3ヶ月以内に株主総会をひらかなければならないと定められています。

上場企業の株主になるには証券会社で株を購入すれば晴れて株主の仲間入りです。しかし中小企業ではそうはいきません。多くの中小企業は株式の譲渡を制限しています。

平成18年5月1日より新会社法が施行され、有限会社が廃止し、株式会社制度に一本化しています。

これまでは大企業は株式会社、中小企業は有限会社という分け方がありましたが、新たに有限会社を作ることはできなくなりました。

そのため、同じ株式会社でも大企業向けの「公開会社」と中小企業向けの「株式譲渡制限会社」に区分けされています。

それぞれの特徴は、

「公開会社」・・・譲渡制限株式がない、もしくはあっも一部である会社

「株式譲渡制限会社」・・・すべての株式に譲渡制限をつけている会社

株式譲渡制限会社になるには、定款に「当会社の株式を譲渡により取得するには、取締役会(株主総会)の承認を受けなければならない」という規定を加えなければなりません。

有限会社から株式会社に組織変更する際には、定款に株式譲渡制限に関する項目を盛り込むことを忘れないようにしてください。

忘れてしまうと公開会社扱いになってしまいます。

 

監査部2課

尾方 鼓

 


税務調査にて・・・

2016年06月20日 | Weblog

先日、弊所の顧問先様のところに税務署から調査したい旨の連絡がありました。

顧問先様の社長や経理を預かっていらっしゃる社長奥様のスケジュールを調整して調査日を設定しました。都合二日間です。

 

税務調査立会は何度経験しても、あまり気持ちの良いものではありません。私たち税理士業界に身をおく者ですらそうですから、当の調査をされる側の企業様のお気持ちを察すると、「早く終わらせてくれ!」というのが率直な思いかと思います。

 

今回の調査はオーソドックスな流れで進みました。2日目の最後の段階で合計10項目程度の確認事項や指摘事項が列挙されたのです。この列挙された約10項目のうち、どの項目について、どのような確認作業をし、さらに各項目の税務的な見解についてどのような議論を闘わせるかが調査結果を左右します。押すべきところは押し、引くべきところは引く、といった部分が、多少なりともあるのは事実です。

 

さて、今回の調査の中で少し気が付いたこと、これは未然に防ぐことができる、ということがありましたのでお話ししたいと思います。

 

いくつか列挙された項目のうち印紙についての指摘事項があったのです。経理担当の方、あるいは経営者の皆さまは、発行する領収書の金額が50,000円以上のもの(H26.3.31以前は30,000円以上でした)については印紙を貼らなければならないことはご存じかと思います。しかし、印紙を貼らなければならないのは何も「領収書」等だけではありません。通常の事業活動のなかで日常的によく出てくる“一定の書類”にも印紙を貼る必要があります。解りやすく表現すれば「〇〇契約書」という書類を取引先との間で取り交わしたなら、少し立ち止まって「印紙を貼る必要があるかもしれない」と思って頂きたいのです。

印紙を貼る必要がある書類のことを“課税文書”といいます。

「印紙を貼る必要がある」=「印紙税が課税される」ということなのですが、国税庁HPでは次のように記載されています。

 

課税文書に該当するかどうかの判断         [平成27年4月1日現在法令等]

 印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。

(1) 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明

されるべき事項(課税事項)が記載されていること。

(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。

(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされて

いる非課税文書でないこと。

 課税文書に該当するかどうかはその文書に記載されている内容に基づいて判断することとなりますが、当事者の約束や慣習により文書の名称や文言は種々の意味に用いられています。そのため、その文書の内容判断に当たっては、その名称、呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号等の実質的な意味を汲み取って行う必要があります。
 例えば、文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量、記号等により、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とし、また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は、売上代金の受領書(第17号の1文書)に該当することになります。

 

印紙税が課税されるのは、印紙税法別表第1(「課税物件表」といいます。)に規定されている20種類の文書で、非課税文書に該当しないものです。

 

課税物件表↓

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/inshi/pdf/zeigaku_ichiran.pdf

 

主な課税文書としては、不動産などの譲渡契約書、土地の賃借権の設定または譲渡契約書、金銭消費貸借契約書、請負に関する契約書、定款、継続的取引の基本となる契約書などがあります。注意すべきことは、課税文書に該当するかどうかの判断は文書に記載されている個々の内容によって判断されることです。単に、文書の名称や形式的文言で判断するのではなく、実質的な意義によって判断します。

 

慣れない方は少し判断に迷うところかと思います。皆さまの事業活動において、これら課税文書らしい文書というのはそれなりの比率で必要となるのではないでしょうか。

日々の取引のなかで、うっかり忘れてしまいそうな印紙税。

もし、お手許にそのような文書がありましたら、専門家である私ども各担当者に一度見せていただきますようお願いいたします。課税文書に該当するかどうか、判断させていただきます。

監査部 2課

波多江正暁

 


個人型確定拠出年金をご存知ですか?

2016年06月13日 | Weblog

みなさんおはようございます。全国的に梅雨に入りが進んでいますね。 雨が続くとじめじめ、憂鬱な気分になったりもしますが、そんな中でも綺麗に咲きほこるアジサイを見ると意外と雨もいいな、なんて思ったりもします。

さて今回は節税商品としてお勧めな「個人型確定拠出年金」についてお話したいと思います。

 

まず概要についてですが、個人型確定拠出年金とは国民年金、厚生年金などの公的年金に上乗せする私的年金のことです。日本版401Kと呼ばれることもあります。

現時点での加入者は約26万人、なんと加入資格のある人の1%しか利用していない状況です。原因は加入できるのが自営業者と企業年金のないサラリーマンだけといった制限があること、途中解約が出来ないこと、金融機関の受取る手数料が安いので積極的なアピールがないことがネックになっていると言われています。

ところが5月24日に確定拠出年金法改正案が成立し来年1月からは公務員、専業主婦も対象になるになりほとんどの人が加入できるようになります。

 

次にメリット、デメリットを纏めてみます。

【メリット】

①掛金の全額が所得控除できます。個人事業者であれば年間816,000円、サラリーマンは年間276,000まで拠出することが出来ます。

具体的に金額を計算してみましょう。個人型確定拠出年金を掛ける前の課税所得1,000万円の個人事業者が816,000円の掛け金を拠出した場合の節税額は、所得税・住民税を合わせて356,500円にもなります。掛金の半分近くが節税できるわけです。これが毎年60歳まで続くのですからその効果は絶大です。

似たような名前に「個人年金保険」とのいうのがあり勘違いしそうですが、これは生命保険料控除の対象になるので、どんなに多額な保険料を掛けても上記と同じ条件の場合、その節税額はわずか17,500円にしかなりません。違いは明らかですね。

 

②運用益は非課税なので複利で運用できます。対して一般の投資信託の場合は運用益に20.315%の税金がかかります。この差が60歳まで続けば運用結果にも大きな違いが出てきます。また金融機関に支払う手数料についても一般の投資信託に比べて安いことが多いです。

 

③受取方法は一時金と年金が選択できます。一時金の場合は退職所得控除が適用でき、年金の場合は公的年金控除が適用できます。掛け金拠出時の節税効果だけでなく受取時も手厚い節税策を享受することが出来ます。

 

【デメリット】

①60歳まで解約できません。余裕資金で行うことが大事です。

②運用結果によっては元本割れすることもあります。運用成績は自己責任です。元本割れを避けたい方は元本確保型の商品を選択すれば毎年の節税だけでも絶大が効果を享受できます。

③手続きが若干面倒と思われるかもしれません。証券会社、銀行などの金融機関に申し込みます。口座がなければ開設します。金融機関によって取扱商品や手数料が異なるので検討も必要です。掛金の額や投資方針・商品選択も自分で決定しなければなりません。

 

いかがでしたか?

ちなみに、私も実際やってみないと人には勧められないなと思い始めてみました。毎月掛け金を支払うと同時にこれだけ節税できていると思うと少し嬉しい気分になります。

昨年はふるさと納税が大ブームでした。次は個人型確定拠出年金が来るのではないかと予想しています。

 

監査部2課 藤野慶一


平成28年熊本地震に伴う熊本県における国税の申告期限等の延長について

2016年06月06日 | Weblog

 この度の熊本地震により、被害を受けられた皆様に、心からお見舞い申し上げます。 

 昨日、仕事で熊本へ行く機会があったため、今回は熊本地震に関する記事を取り上げました。私は車で福岡から熊本へ向かったのですが、屋根にブルーシートが掛かった家が多く見られ、半壊になった建物が手つかずの状態になっているのを見てまだまだ復興には時間がかかりそうだと感じました。

 

 国税庁では、この度の平成28年熊本地震の発生に伴い、国税通則法施行令第3条第1項の規定に基づき、地域を指定して国税に関する申告、申請、納付等の期限の延長を次のとおり行いました。
なお、地域指定されていない地域でも、所轄税務署長が、今回の地震災害により、申告、申請、納付等をその期限までに行うことができないと認めるときは、納税者の申請に基づいて、期日を指定して期限の延長を行うこととしています(国税通則法施行令第3条第2項)。

 

熊本県における国税に関する申告期限等を延長する件

 国税庁告示第9号

 国税通則法施行令(昭和37年政令第135号)第3条第1項の規定に基づき、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限のうち、次に掲げる地域に国税の納税地を有する者に係るもの(その者の納付すべき国税に係る期限については、当該国税の納税地が当該地域にあるものに限る。)で、その期限が平成28年4月14日以降に到来するものについては、その期限を別途国税庁告示で定める期日まで延長する。

                            平成28年4月22日  国税庁長官 中原 広               

指定地域 : 熊本県   

     

〇熊本県における国税に関する申告・納付等の期限の延長措置について

平成28年4月22日
国税庁

 1. 平成28年熊本地震による被災状況等に鑑み、国税通則法第11条に基づき、熊本県における国税に関する申告・納付等の期限の延長を行うこととし、本日(4月22日)の官報に掲載し公告しました。
 これにより、熊本県に納税地を有する納税者につきましては、平成28年熊本地震が発生した平成28年4月14日以後に到来する申告・納付等の期限が、全ての税目について、自動的に延長されることとなります。
 なお、申告・納付等の期限をいつまで延長するかについては、今後、被災者の状況に十分配慮して検討してまいります。

 

2. また、熊本県以外の地域に納税地を有する納税者につきましても、災害により被害を受けた場合には、所轄税務署長から承認を受けることにより、申告・納付等の期限を延長することができますので、状況が落ち着きましたら、税務署へご相談いただきますようお願いいたします。

 (注) 熊本県以外の地域については、引き続き、被災の状況等を踏まえて検討してまいります。
 

◆◆ 問合せ先 ◆◆

 熊本県における国税に関する申告・納税等の期限の延長措置について、お知りになりたいことがありましたら、電話相談センターをご利用ください。電話相談センターのご利用は、所轄の税務署にお電話いただき、自動音声にしたがって番号「1」を選択してください。
 なお、個別的なご相談については、番号「2」を選択して、所轄の税務署へご相談ください。

 

 この国税に関する申告・納付等の期限の延長措置に伴い、申告月の前月下旬に各法人の皆様に発送しております申告書等用紙(確定申告書及び予定(中間)申告書)につきましては、当分の間、熊本県に納税地を有する法人の皆様への申告書等用紙の発送を見合わせさせていただきます。

申告書等用紙のご要望がある場合は、最寄りの税務署までご連絡願います。

 

監査部一課

柴田恭兵