棚卸

2020年12月21日 | セミナー

 棚卸とは?

 

 今年も早くも年末となりました、個人事業の方、12月決算の法人は棚卸の季節です。

 

棚卸とは、決算期の末日の時点で残っている商品・製品・材料・仕掛品などの在庫の数量と品質を確認し、会計上の期末棚卸資産の金額を確定させる作業の事です。

そもそも棚卸とは、「棚から商品をおろして数を調査する」と同時に「品質を評価する」

意味もあります。

 

 すなわち、棚卸の目的は在庫数を確認し、正確な原価や利益を計算することです。

 

企業が自社の利益を確定するためには、売上から仕入れ費用や製造コストを差し引かなくてはなりません。これらの仕入れ費用や製造コストを「売上原価」といい、「売上原価=期首棚卸高+仕入高-期末棚卸高」つまり、事業年度開始日にあった在庫に仕入れを足して、事業年度末の在庫を引けば、その期に使った売上原価を算定できます。利益は 売上高から売上原価を引くことで求められます。在庫をきちんと計算することで、経営状態を把握し、今後の計画に生かす。それが、棚卸で在庫管理する目的です。

 

棚卸の時期

 個人事業者の場合は、年度末(12月31日)、法人は各事業年度終了時です。但し、在庫の数が定まればよいので、その年度の最終の営業日以降ならば、前後しても構いません。

 企業によってはまた物によっては毎日、毎週、月末、四半期ごとなど事業年度末の棚卸以外は、自由です。デパートや洋服店は、在庫が少なく重さやスペースをとらない時期の8月末に決算しているところが多いようです。

 

実地棚卸と帳簿棚卸の違いは?

実地棚卸とは、実際に在庫を数える作業をする棚卸です。日常業務を一時ストップして、半日から1日の時間をかけて実際に在庫を数え、更に品質もチェックします。

作業終了後には、棚卸表を作成します。

帳簿棚卸とは、帳簿や在庫管理システムなどを使い、日々の入庫や出庫を記録して、帳簿上で計算して在庫を確認する棚卸です。

 本来実地棚卸と帳簿棚卸は一致すべきものです。しかし一致しないことも珍しくありません。その理由は、記入漏れ、入力ミス、処理の遅れ、書類の遅れ、返品、商品の破損や紛失などいろいろな原因が考えられます。

 

 在庫の数を把握したら、棚卸の評価を行います。通常仕入れをする場合、同じものを何度も仕入れますが、仕入れの度に値段が違うことがあります。こうした場合は、特に届出をしない限り「最終仕入原価法」と呼ばれる評価方法で資産を評価することになります。

 最終仕入原価法では、同じ種類の在庫については、その年度で最後に仕入れた価格で棚卸の評価をします。

 

 棚卸とその後の評価で、売上が大きくても利益が出ていないとわかることもあります。また在庫が多すぎれば、スペースも取り物によっては維持費がかかり、陳腐化の原因にもなります。企業の経営にとって、棚卸は整理整頓と無駄なものを仕入れない効率的な仕入れにより資金繰りの改善に役立つためにも重要な作業になります。

 

以上   監査部 西島

 


固定資産税等の軽減措置について

2020年12月14日 | Weblog

皆様、おはようございます。

本日は新型コロナウイルス感染症の影響で事業収入が減少している中小企業者・小規模事業者の2021年度の固定資産税・都市計画税、償却資産税の減免について記載を致します。

新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置等の影響により事業収入が減少した中小事業者様がいらっしゃると思います。そのような事業者様は以下の要件等に該当する場合は令和3年度課税の1年分に限り、事業用家屋及び償却資産に係る固定資産税及び都市計画税の負担が軽減又は免除されます。

 

【対象者】

□資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人

□資本または出資を有しない法人の場合、常時使用する従業員数が1,000人以下の法人

□常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業者

 

【対象資産】

□事業用家屋

事業用家屋の事業の用に供している部分が軽減対象となります。居住の用に供している部分は軽減対象になりません。

□償却資産

所有する事業の用に供する償却資産が軽減対象となります。

 

【要件】

令和2年2月~10月までの間における任意の連続する3ヶ月の事業収入が、前年の同期間と比べて30%以上減少していること。

 

【軽減割合】

30%以上50%未満減少している方は税金の対象になる価額が2分の1、50%以上減少している方は0円となります。

 

【申告期間】

令和3年1月4日から令和3年2月1日まで

※申告期限(令和3年2月1日)を過ぎた場合、軽減措置を受けることができなくなりますので、注意が必要です。

 

その他、認定経営革新等支援機関等に提出し、要件を満たしていることの確認を受ける必要がありますが、皆様を顧問されている税理士事務所様や所在地の市区町村にお問い合わせいただく事で解決すると思います。弊社は認定経営革新等支援機関になりますので、現状クライアント様ではない事業者様でも一定のご契約等をいただく事でお役立ちさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。

また、詳細は以下に中小企業庁のリンクを貼付いたしますので、ご確認ください。

先を見通しづらい状況ではありますが、この状況が一日でも早く終息へ向かいますことと、皆様のご健康をお祈り申し上げます。

 

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2020/200501zeisei.html

 

 

監査部

梅北聖人


税務署はなんでも知っている~法定調書について~

2020年12月07日 | 税務情報(個人関係)

今年も法定調書の提出期限である1月31日が迫ってきました。

法定調書とは、お給料や不動産の家賃、税理士への報酬などの“特定の支払”をした場合に、税務署へ提出することが義務付けられている書類です。

その支払った金額はもちろんのこと、支払先の氏名・名称、住所、マイナンバーといった情報を記載して税務署へ提出するのが原則です。

税務署にとっては、調書の提出者がどこどこのだれだれにいくら支払ったのかを把握できる貴重な情報源となるものです。

一般的に知られているものは、年末調整と同時に取りまとめて提出される以下の6種類ではないでしょうか?

 

<年末調整時にとりまとめる法定調書>

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

 

サラリーマンの所得はよく“ガラス張り”と言われたりしますが、それは上の「給与所得の源泉徴収票」や市区町村への「給与支払報告書」によって、すべて情報が課税側に渡されているからです。

 

それらの法定調書は、どこの誰がいくら受け取ったのかを把握するための情報として課税側へ蓄積されます。

 

そして、法定調書は上のものだけに限らず、その種類は、現在60種類あります。

いくつかご紹介します。

 

 

1.200万以上の金売買は調書を提出~金地金等の譲渡の対価の支払調書~  

 

最近高騰していることもあり、安全資産としても人気の高い金ですが、その売買額が200万円を超える場合には、法定調書の提出義務があります。

この200万円基準は、年間の総取引額で見るのではなく、一回の取引金額が200万円以下であれば原則、提出義務はありません。

だからといって、200万円以下の取引であれば調書は出ないので税務署へ知られることはないかという言うと、そうでもないようです。

例えば、貴金属店に税務調査が入った場合などが例として挙げられます。

貴金属店が保管する古物台帳には、金額の多寡に関わらず3年分の取引が記載されています。

その台帳から、200万円以下の取引も把握されてしまうことでしょう。

 

 

2.生命保険の一時金、年金なども調書提出義務あり            

こちらは大変身近なことかと思います。

生命保険にかかる一時金、個人年金などの受取りについても、保険会社から税務署へ調書が提出されており、把握されています。

 

 

3.国外送金等調書                           

銀行を通じて国外へ送金した場合にも、銀行から税務署へ調書を提出します。

原則、100万円超の送金について提出義務があります。

 

 

以上、法定調書の一部をご紹介しました。

今後は、コロナウイルスの影響から新しい形態の金融取引や事業取引が増えてくることでしょう。

お金の動き方が変われば、それを把握するための新しい法定調書が出てくるのかもしれません。

 

 

監査部 福山