子ども手当と非課税所得

2011年10月31日 | Weblog

 10月もいよいよ終わりです。日中はまだ温かいですが、朝晩は冷え込むようになりました。寒暖が激しいと風邪をひきやすくなりますから、皆様お気をつけください。

 さて、本題に入ります。つい先日、我が家に子ども手当申請書が送られてきました。子ども手当については紆余曲折、賛否両論ありますが、今回、それはさておき、税金との関係という観点で見て行きたいと思います。

そこで質問です。子ども手当は課税されるのでしょうか?

 所得税法の非課税規定は第9条に限定列挙されています。非課税の理由としては、他の租税との二重課税の回避(例えば相続税、贈与税)、担税力考慮、必要経費的性格、小額免除・貯蓄奨励、社会政策的配慮などが挙げられます。第9条に目を通してみますと、5項に皆さんお馴染みの非課税通勤手当がありますね。13項にはノーベル基金からノーベル賞として交付される金品なんていうものもあります。さらに14項にはオリンピックメダリストが受ける報奨金も非課税とあります。しかし、子ども手当に関する記載はありません。

 ネットで調べてみたところ、平成23年度における子ども手当の支給等に関する特別措置法の第15条に根拠条文がありました。第15条「租税その他の公課は、子ども手当として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。」と非課税である旨が記されています。

 このように様々な収入があったときは、さて、これは課税されるのか、されないのか、どっちだろうなどと考えながら一手間かけて調べてみるのも楽しいのではないでしょうか。ちなみに1124()から年末ジャンボ宝くじが発売されます。宝くじの当選金については当せん金付証票法第13条で「当せん金付証票の当せん金品については、所得税を課さない。」とあります。

 子ども手当と宝くじ、非課税で頂いた13,000円で1等・前後賞合せて3億の非課税を狙いに行きたいなんてよこしまな気持ちになりがちですが、いやいや、子ども手当は可愛い子どものために、宝くじは私のなけなしの小遣いから買いたいと思います。それでは皆さんお元気で!


個人住民税における非課税規定

2011年10月23日 | Weblog

いつも弊所のブログをご覧頂きましてありがとうございます。 

 

本日は、我々個人にかかる個人住民税について、その中でも均等割、所得割が非課税となるケースをご説明させて頂きたいと思います。 

 

 

さて、個人住民税の非課税につきましては、大きく3つに分けることができます。以下にそれぞれのケースを挙げさせて頂きます。 

 

 

1.均等割及び所得割の両方が非課税となるケース

 

 ・要件

 

  a 生活保護法による生活扶助を受けている者

  b 障害者、未成年者、寡婦、寡夫の方で前年の「合計所得金額」が125万円以下である  者

 

 ・取扱い

 

   a又はbに該当する場合には、均等割、所得割両方が非課税となります。

 

 ・具体例

 

  例えば、給与所得(年収から給与所得控除額を差し引いた金額)が120万円で障害者に該当される方は、上記の要件bに該当し、合計所得金額が125万円以下となりますので、この所得に対する住民税(均等割及び所得割)はかかりません。

 

 

 

2.所得割が非課税となるケース

 

 ・要件

  

   「課税標準の合計額」が以下の算式で計算した金額以下の者

  

 ・算式

   

   35万円 × (控除対象配偶者 + 扶養親族の数 + ) + ()

    ()控除対象配偶者又は扶養親族が有る場合には上記の算式に32万円を加算します。

 

 ・取扱い

 

   所得割が非課税となります。

 

 ・具体例

  

   給与所得が120万円で配偶者と扶養親族である子供を1人有する方

    

    a  35万円 × (1人 + 1人 + ) + 32万円 137万円

    

    b  課税標準の合計額 120万円

    

    c 

    

     従って、所得割が非課税となります。

 

 

3.均等割が非課税となるケース

 

 ・要件

  

   「合計所得金額」が以下の算式で計算した金額以下の者

 

 ・算式

  

     × (控除対象配偶者 + 扶養親族の数 + ) + ()

  

     ()控除対象配偶者又は扶養親族が有る場合には上記の算式にBを加算します。

 

      ※ A及びBはそれぞれ35万円、21万円の限度額の範囲内で各自治体で定められています。

 

 ・取扱い

 

   均等割が非課税となります。

 

 ・具体例

 

    給与所得が130万円で配偶者と扶養親族である子供を1人有する方

     

      上記算式のA、Bがそれぞれ限度額の35万円、21万円の自治体の場合

 

       35万円 × (1人 + 1人 + ) + 21万円 126万円

   

     b  課税標準の合計額 130万円

   

     c 

    

      従って、均等割が非課税となります。

 

以上、簡単な例を用いてご紹介させて頂きました。

 

難しい用語や算式があり、また、非課税の取扱いにつきましては、細かな規定、注意点等もございますので、

ご不明な点がございましたら、いつでもお気軽に弊所までご連絡ください。

 

 

木山 浩晃


年末調整の時期がやって参ります。

2011年10月16日 | Weblog

給与計算の担当者にとっては、一年で最も忙しい年末調整の時期がやってきました。

年末調整とは、その年の12月31日時点の扶養状況等に応じて税額を決定するものです。

そこで、年の途中で扶養状況や住所等が変更になった場合には、その都度

扶養控除等申告書の提出または修正が必要となります。

さて、平成23年からは次のような見直しが行われましたので、ご注意ください。

1.扶養控除の見直し

 ①年齢16歳未満の扶養親族に対する扶養控除の廃止

  こども手当の創設のため

 ②特定扶養親族に対する扶養控除上乗せ部分の対象者の見直し

  従来は年齢16歳以上23歳未満が対象者でしたが、23年からは19歳以上23歳未満に変更されました。

  原則高校無償化の実施により

2.同居特別障害者加算の特例措置

  16歳未満の扶養親族に対する扶養控除が廃止されたことに伴い、同居特別障害者である場合に配偶者控除または

  扶養控除の額に35万円を加算する措置は、障害者控除の額に加算される制度に変更されました。

3.給与所得者等が住宅資金の貸付け等を受けた場合の課税の特例については平成22年12月31日をもって

  廃止されました。

 

 年末調整は1年刊の給与計算の締めくくりです。担当者の皆さん自身が一つ一つの事項をチェックし正確に行うことが

 重要になっていまります。事前準備をしっかりしましょう。


12月4日のセミナーの御案内

2011年10月11日 | Weblog

  本日は、幣所の124()に開催予定の通称「H会」について、御案内をさせて頂きます。

 

 今回は、「歯科クリニックの“できるスタッフ”はこうして創る!」という標題にて、

医療法人社団 明愛会 理事長の齋藤欣也先生と同医院のスタッフの方にお願いをさせて頂きました。

 

 齋藤先生は、静岡県富士市にて間もなく開業30周年を迎えられ、

同業者からの歯科医院見学希望が絶えない医院としても有名でいらっしゃいます。

 

 その齋藤先生に、「いかにしてスタッフの定着を図っているのか」、

「いかにして活気あるクリニックを創り、いかにして患者様の満足度をアップしていくのか」

など多岐にわたり御講演頂く予定です。

 加えて、今回は、スタッフの方にも御登壇頂き、現場での生の声も聞かせて頂けます。 

 

  開催予定が師走の12月になり、お忙しい季節となりますが、

院長先生だけでなく是非ともスタッフの御参加も心よりお待ちしております。

  御参加御希望の方は、092-833-5181まで「12月のセミナーの件で」とお電話を頂けますと幸いです。

 

 なお、齋藤先生からの御提案により、今回の先生への謝礼、セミナー収益は、

全額東日本大震災の義援金に充てさせて頂きます。

 

 皆様方の御参加をお待ちしております。

 

 

 開催日時 2011124() 午後1時~4

 場  所 ニューオータニイン東京 かえでの間

      東京都品川区大崎1-6-2 03-3779-9111

 定  院 20名限定

 参    1名につき5,000(税込)

                                  文責 清水 智文


少子化・少子化と言いますがお得なこともあります

2011年10月03日 | Weblog

すがすがしい季節になりましたね。

この季節、幼稚園や小学校でも運動会がさかんなようです。

 

 さて今日は子どもにまつわる社会保険の面よりお得なお話です。

税金同様、『「知らなかった…」では損をする!知っていたから得をする!』意外とご存じない方も多い育児に関する給付(もらえるお金)についてお話したいと思います。

 

では早速、社会保険に関するクイズです。

月給30万円で働く(雇用保険・社会保険に加入)女性が、一人こどもを生むと最大いくら社会保険からもらえるでしょうか?

    60万   ②約260万  ③約360

 

正解は②です。

いかがですか?

「意外と多くもらえるんだな」と感じられた方もいらっしゃるのではありませんか?

「知らなかったので、請求し損なったー」と言う方の話もたまにお聞きします。

 

もらう支給額には個人差がありますのが、具体的にいじめージしていただくために、

ここではある女性の例をあげてみてみましょう。

例) 月給30万(雇用保険・社会保険に加入している女性)

 

    育児休業給付金(雇用保険より)

    出産手当金(社会保険より)

    出産一時金(社会保険より)

 

以上の3つがもらえる可能性があります。

可能性と書いたのは、以下に説明する要件があり、また休業する日数や働き方によって支給額が計算されるため、金額も全員が一律同じではないためです。

 

では次に具体的に要件と金額の内訳なを、それぞれ見てみましょう。

 

まず①【育児休業給付金】

《要件》

育児休業に入る前の2年間、1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上あり、かつ雇用保険の保険料を支払っていて、産後に育児休業をとる女性であれば給付を受けられます。

(育児休業終了後に仕事をやめる予定の女性は支給の対象外となります。)

 

《いくらもらえる?》 (10ヶ月休業した場合)

30/月×0.5×10ヶ月=150

育児休業給付金の支給額は、月給の5割で、支払いは2ヵ月ごとに行われます。

月給×0.5×育休として休んだ月数=もらえる金額(目安)

 

次に②の【出産手当金】

出産手当金では、働いている女性が出産のために会社を休んだ場合、下記の条件を満たしていれば産休中の生活を支えるために、給料の2/3の給付が受けられます。

《要件》
①健康保険の被保険者が出産すること

 

出産の日(出産の日が出産予定日後であるときは出産の予定日)以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかったこと

(※出産とは、妊娠4ヶ月(85日)以上の分娩をいいます。正常分娩以外に、早産、死産、流産、人口妊娠中絶を含みます。)

《いくらもらえる?》

30/月×2/3)÷30日×98日=65

 

最後に③の【出産育児一時金】

 

《要件&いくらもらえる》

妊娠4カ月以上で出産した人は、子供1人につき42万円(このうち3万円は産科医療補償制度の保険料)が受け取れます。

ちなみに双子なら2倍の84万円です。

 

これは月給の額にかかわらず、つまり月給30万円であろうと15万円であろうと、この出産育児一時金はどの方も同額の42万円です。

 

よって150+65+42万=約260万円

 

いかがでしょうか?

働く女性が一人のこどもを生むと約260万円!

 

「社会保険は手取りが減るだけで、なんとなくイヤだなぁ」

「どうせ使わないし…」なんてイメージが先行しますが、このように

『働く女性が一人のこどもを生むと約260万円』なんです。

しかも!これにはおまけがついていて、なんと全額完全に非課税!

給付金には一切税金が課せられません!これは嬉しいメリットです。

 

何となくしかイメージのない社会保険もこう言う時にこそ大いに利用したいものです!

 

他にも社会保険給付には傷病手当金や高額療養費など、充実したものがありますが

まだまだ一般的な認知度が低いものです。

 

 

※今回は雇用保険・社会保険(けんぽ協会)の場合に限ってのお話でしたが、

 

ちなみに金額や支給条件などの詳細な情報の窓口をご紹介します。

雇用保険 ⇒ 最寄りのハローワーク

健康保険 ⇒ けんぽ協会

詳細は直接ご確認ください。

 

( 企画営業室 福田恒久)