教育資金の一括贈与について

2019年06月24日 | Weblog

令和になって早くも2か月が過ぎようとしていますね。

 

「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」

について、令和元年度の税制改正が行われますので、改めて制度を振り返ってみましょう。

 

制度の概要は以下の通りです。

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平成25年4月1日から令和3年3月31までの間に、30歳未満の方(以下「受贈者」)が、受贈者の直系尊属(祖父母など)から

①     信託受益権を取得した場合

②     書面による贈与により取得した金銭を銀行等に預入をした場合

③     書面による贈与により取得した金銭等で証券会社等にて有価証券を購入した場合

(②・③を「教育資金口座の開設等」といいます)

上記の場合に、その信託受益権等の価格のうち1,500万円までの金額に相当する部分の価額について、金融機関等の営業所等を経由して教育資金非課税申告書を提出することにより、受贈者の贈与税は非課税となります。

 

なお、契約期間中に贈与者が死亡した場合には、原則としてその死亡日における非課税拠出額から教育資金支出額(学校等以外の者に支払らわれる金銭については、500万円を限度とします)を控除した残額のうち、その死亡前3年以内にその贈与者から取得した信託受益権等の価額でこの非課税制度の適用を受けたものに対応する金額(以下「管理残額」)を、贈与者から相続用に取得したこととされます。

 

また、教育資金口座にかかる契約が終了した場合には、非課税拠出額から教育資金支出額を控除(管理残額がある場合は、管理残額も控除する)した残額があるときは、その残額はその契約終了時に贈与があったこととされます。

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 直系尊属とは、例えば、受贈者の父母、祖父母及び曽祖父母をいいます。

お子さんやお孫さんに教育資金を贈与することを検討されている方は是非活用していただきたい制度です。

 

なお、教育資金の支払に充てた金銭に係る領収書その他の書類又は記録でその支払の事実を証するものを提出する義務があります。

教育資金以外でこっそり……なんていうことは当然できないわけですね。

 

 

 

さて、令和元年度税制改正による主な改正の概要は以下の5つです。

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①     適用期間の延長

②     受贈者の所得要件の追加

③     教育資金の範囲の見直し

④     贈与者が死亡した場合の残高に関する相続税課税

⑤     教育資金口座に係る契約の終了事由の見直し

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①     適用期間の延長

→ 適用期限が令和3年3月31日まで2年延長されました。

 

②     受贈者の所得要件の追加

→ 平成31年4月1日以後に信託等により取得する信託受益権に係る贈与税について適用されます。

 

信託等をする日の属する年の前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、その信託等により取得した信託受益権等については、この非課税制度の適用を受けることができないこととされました。

 

③     教育資金の範囲の見直し

→ 令和元年7月1日以後に支払われる教育資金について適用されます。

 

教育資金の範囲から、学校等以外の者に支払われる金銭で受贈者が23歳に達した日の翌日以後に支払われるもののうち、教育に関する役務提供の対価、スポーツ・文化芸術に関する活動等に係る指導の対価、これらの役務提供又は指導に係る物品の購入費及び施設の利用料が除外されました。ただし、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用は除外しないこととされました。

 

④     贈与者が死亡した場合の残高に対する相続税課税

→ 平成31年4月1日以降に信託等により取得する信託受益権等に係る贈与税について適用されます。

 

 信託等をした日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、受贈者がその贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等についてこの非課税制度の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日における管理残額を、その受贈者がその贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなすこととされました。

 ただし、その死亡の日において、受贈者が次のいずれかに該当する場合を除きます。

イ)23歳未満である場合

ロ)学校等に在学している場合

ハ)教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練をうけている場合

 … ロ・ハの場合、その旨を明らかにする書類を贈与者が死亡した旨の届出と併せて記入機関等の営業所等に提出した場合に限ります。

 

⑤     教育資金口座に係る契約の終了事由の見直し

→ 令和元年7月1日から適用されます。

 

教育資金口座に係る契約の終了事由について、受贈者が30歳に達した場合においても、その達した日において

・学校等に在学している場合

・教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練をうけている場合

のいずれかに該当するときは教育資金口座に係る契約は終了しないものとし、その達した日の翌日以後については、その年において上記のいずれかに該当する期間がなかった場合におけるその年の12月31日又はその受贈者が40歳に達する日のいずれか早い日に教育資金口座に係る契約が終了するものとされました。

 

 

 

以上になります。

税制度は有効に活用していきたいですね。

 

✨弊所HPはこちらから www.fukuda-j.com

 

 

 

出典:国税庁HP

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku-zoyo/201304/01.htm

 

監査部 2課 馬場


福利厚生について

2019年06月17日 | 補助金

こんにちは

今回ブログを担当させていただきます監査部2課の塩塚です。

 

今回は福利厚生費について書きます!

 

福利厚生とは、一般的に企業が従業員に対して通常の賃金・給与にプラスして支給する非金銭報酬(現金支給をしない報酬)と考えられます。

 福利厚生を充実させることによって、従業員のモチベーションの向上、人材を確保し、離職率を低下させることが目的であると言えます。

 代表的なものとしては社員旅行、残業食事代、健康診断代、企業年金、財形貯蓄、家族手当、住宅手当、新年会や忘年会といったものにかかるものが福利厚生費にあたるでしょう。

今回は、福利厚生費について税法的な観点から主に従業員に対する飲食代にスポットライトをあてて書かせていただきます。

福利厚生費について税法上は明確な定義がされていません。従って国税庁のタックスアンサーの文言を援用するか社会通念上妥当であるかどうかで判断していくことになるであろうと考えられます。

従業員に飲食をさせた場合に経費になるかどうかの基準として

①    従業員と昼食に行った場合

②    従業員との残業の食事代

③    従業員と忘年会や新年会をした場合

について考えていこうと思います。

 

従業員に食事を提供した場合のタックスアンサーが

国税庁HP(http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2594.htm)にあります。

 

以下引用

 

役員や使用人に支給する食事は、次の二つの要件をどちらも満たしていれば、給与として課税されません。

 

(1) 役員や使用人が食事の価額の半分以上を負担していること。

(2) 次の金額が1か月当たり3,500円(税抜き)以下であること。

 (食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)

 この要件を満たしていなければ、食事の価額から役員や使用人の負担している金額を差し引いた金額が給与として課税されます。

 

(例) 1か月当たりの食事の価額が5千円で、役員や使用人の負担している金額が2千円の場合

この場合には、上記(1)の条件を満たしていません。

したがって、食事の価額の5千円と役員や使用人の負担している金額の2千円との差額の3千円が、給与として課税されます。

なお、ここでいう食事の価額は、次の金額になります。

 

(1) 仕出し弁当などを取り寄せて支給している場合には、業者に支払う金額

(2) 社員食堂などで会社が作った食事を支給している場合には、食事の材料費や調味料など食事を作るために直接かかった費用の合計額

 また、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。

 なお、残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。

(所法36、所基通36-24、36-38、36-38の2、昭59・7直法6-5、平元直法6-1外)

 

引用終わり。

①    従業員と昼食にいった場合について

引用元にあります通り会社が経費にできる金額は(食事の価額)-(役員や使用人が負担している金額)が税抜で3,500円までです。しかも半額以上は従業員から食事代を受け取らなくてはなりません。したがって従業員から受け取った現金は現出納帳などに記帳を残さなければならないと考えられます。

 会社は最大で税抜7,000円まで経費として計上できますが、従業員から3,500円預からなければなりませんから預かった金額は経費のマイナスもしくは雑収入として計上しなければならないでしょう。

②    従業員との残業食事代について

引用元に、「残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています。」とあります。残業食事代であれば経費にできそうです。金額の定めもありません。

ポイントとしては、現金を直接従業員に渡さないことでしょう。「現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。」とある通り300円を超えた場合は従業員に対する給料としなければなりませんから、源泉徴収されてしまいます。従業員に払ってもらって後日レシートを精算する方法が良いと思われます。

では社長あるいは事業主の方自身の残業食事代はどうなるのでしょうか。1人の場合は認められないことが多いようです。理由としては、個人的な食事か会社の業務に関係するものかどうかの区別がつけにくいからだと思われます。これが残業している従業員と一緒に食事したとなると業務に関連するという説得力はますと思われますので、所長もしくは事業主の方の残業食事代も経費になると考えます。

③    新年会や忘年会について

新年会や忘年会というものは従業員に対する飲食代ではありますが、どちらかといえば会社のレクリエーションに近いものがあります。

会社のレクリエーションについては交際費等と福利厚生費との区分のタックスアンサーに以下のように書かれています。

国税庁HP(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261.htm

交際費等とは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。

ただし、専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行などのために通常要する費用については交際費等から除かれ、福利厚生費などとされます。

つまり忘年会や新年会は従業員の慰安のためで有ると思われますので、福利厚生費として経費になると考えられます。

ただしポイントとしては、特定の人だけが参加できるような忘年会等は経費としては認められないでしょう。必ずしも全員が参加するわけではないと思われますが、少なくとも従業員全員に声をかけており、従業員皆が参加できるという条件が必要となります。

 

 今回は、福利厚生費の食事代について書かせていただきました。

 監査部2課 塩塚


数字ではみえないもの

2019年06月10日 | 日々のできごと

みなさまこんにちは。

突然ですが、みなさま試算は得意ですか?

 

企業において、設備投資や不動産投資、または人への支出をするときは、試算をすることが多いです。

 

これらの試算は実際にやってみると、計算通りにいかないことも多々ありますが、

ある程度は数値化することが可能です。

 

ただし、「人」に関することについては試算できません。

 

人を雇う際に、給与や福利厚生費、教育費等のコストを見積もることは簡単です。

その人が会社にもたらす収益も、営業マンのように数値が明確にでるような職種であれば

ある程度は数値化することができます。

 

しかし、その人が会社や周りの社員に与える影響や貢献度は数値で測れるものではありません。

 

例えば、釣りバカ日誌の主役「ハマちゃん」について考えてみましょう。

建設大手の営業マンとして働くハマちゃんは、勤務時間中はほとんど居眠りか釣り具のメンテナンスをして、遅刻や早退は当たり前、有給休暇は全部消化、架空の忌引き休暇まで申請し、行く先々でトラブルを起こす、表面だけ見ると典型的なダメ社員です。

 

もしハマちゃんへの投資を数値だけで表すと、大赤字となるでしょう。

(ハマちゃんは釣りの人脈でときどき、とんでもない大口契約をとってくるので、実は黒字かもしれませんが・・・)

 

それでも社長のスーさんがハマちゃんをクビにしないのは、ハマちゃんが数値では測れない何かを持っているからです。

持ち前の明るさで職場の空気を和ませたり、釣りの人脈で取引先との関係性を構築したりと、数値化できない貢献をしています。

 

この逆も然りです。

 

例えば、経費削減をすることで、様々な経費の節減について、数値化することは簡単ですが、経費削減のやりすぎや強要によって低下する社員のモチベーションは数値化できません。

 

また、人員を減らして、人件費を削減できているように見えても、それ以上に周りの社員が疲弊していることもあります。

 

以上のように、「モノ」に関することと比べて、「人」に関することは数値で試算することは難しいです。

 

私たちは仕事柄、数値を使って様々な試算をし、提案をさせていただきますが、それだけで判断してしまうと、後々思いがけない結果を招くことになりかねません。

 

数値だけでなく、お客様ひとりひとりに寄り添って、真剣に考えて一緒に悩みを共有することが大切だと感じています。

                                                 

                                                  監査部 K・N


キャッシュレス補助金

2019年06月03日 | 補助金

皆さま、こんにちは。

 

皆さまはコンビニエンスストア(通称コンビニ)にはよく行く方でしょうか?

また支払方法は現金?クレジットカード?電子マネー?

 

私はコンビニは平日はほぼ毎日行きますが、支払方法もバラバラです。

現金>クレジットカード>電子マネー の順番です。

 

なぜこのような話をしたかというと経済産業省の新しい補助金の《キャッシュレス・消費者還元事業》を紹介しようと考えたからです。

 

概要は、平成31年度政府予算案に盛り込まれた「キャッシュレス・消費者還元事業」(ポイント還元事業)は、平成31年10月1日の消費税率引上げに伴い、需要平準化対策として、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上の観点も含め、消費税率引上げ後の一定期間に限り、中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元等を支援するものです。

(参照:経済産業省 2019年3月12日「キャッシュレス・消費者還元事業」についてキャッシュレス決済事業者の仮登録の受付を開始しました)


中小・小規模事業者へのメリットを4つ紹介されています。

①読み取り端末の導入負担は実質無料

②期間中の決済手数料の1/3を国が補助

③消費者還元で集客力UP

④レジ締め・現金取り扱いコストを省いて業務効率化

 

事業への登録申請期限そのものは決済事業者によって違いがあるようです。

 

 

〇ちなみに私が気になる消費者向けの広報は7月下旬から本格化するそうです。

消費者のメリットとしては、事業へ登録申請した店舗・企業でキャッシュレス決済したら5%還元されるそうです。

大手フランチャイズチェーンなどの場合は2%の還元になるそうです。

 

キャッシュレス決済されれば還元されるのであれば、積極的にキャッシュレス決済を使ってみたいと思います。

 

キャッシュレス・消費査還元事業のHPはこちら

 

補助金などのご相談については、是非福田事務所までご相談下さい!

HPはこちらから www.fukuda-j.com

 

監査部 松村和弥