電子帳簿保存法

2015年03月30日 | Weblog
皆さんこんにちは

随分寒さも和らぎめっきり春めいて来ましたね。桜も満開でお花見シーズン真っ盛りです。

さて、今回は今年度の税制改正大綱についてです。
今回の税制改正も重要な内容が目白押しですが、その中でも「税務関係書類のスキャナ保存の見直し」について注目していきます。

法人等の納税者に義務づけられている国税関係帳簿書類の保存に関わる負担の軽減が主たる目的で、電子帳簿保存法が、1998年7月に施行されました。正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。

もともと、国税に関係する帳簿や書類については法人税法や所得税法で7年間の保存が義務づけられていますが、これらの法律は紙以外の媒体による保存について想定したものではありませんでした。IT化が進むにつれ、紙以外の媒体による帳簿書類の運用・保存に対する要望が高まり、それに対応するためにこれらの税法の“特例”として作られたのが電子帳簿保存法です。

1998年7月に電子帳簿保存法が施行されたことで、まず、これまで紙に記録してきた国税関係帳簿の情報を、電子データ(またはCOM)で作成・保存することが条件付きで認められました。この際、電子取引によって授受される取引情報の保存に関しても規定が整備されました。

さらに、2005年3月には電子帳簿保存法の一部が改正され、それまで認められていなかった国税関係書類の電子化保存(スキャナによる紙文書のイメージ化保存)が条件付きで容認されました[改正電子帳簿保存法、2005年4月1日施行]。これは、同年4月1日に施行された、原則として法的保存義務のあるすべての文書に対して電子化保存を容認する「e-文書法」に対応するもので、この改正により、紙で7年間保存しなければならなかった国税関係書類(一部を除く)に関して、紙現物の代わりにスキャニングした画像データを原本として保管することが可能になりました。

そして、今回の法改正により、「全ての領収書をスキャンしPDFで保管することで原本が廃棄できる」ようになります。
これまでも3万円未満の領収書に限っては、スキャナーで読み取り原本を廃棄することが認められていましたが、実際のビジネスの現場では3万円未満の領収書と3万円以上の領収書を別々に処理する手間の方が面倒であるため、結局全てを紙のまま保管する企業が大半でした。

事前の届け出や保管条件等、複雑な手続きも一部ありますが、書類の保管場所の悩みから解放される事になります。
ペーパーレス化に取り組んでみてはいかがですか。

寺 幸治


特定期間の課税売上高

2015年03月23日 | Weblog
みなさん、こんにちは。

確定申告も終わり、福岡は、ここ最近、日に日に暖かくなり、春の訪れも間近に迫って来ていることを実感しています。

さて、消費税の納税義務につきましては、個人事業主の場合、前々年の課税売上高が1,000万円を超えている場合は納税義務があり、1,000万円以内である場合は、納税義務がないことになります。

ただし、個人事業者の場合、平成25年より、上記に加え、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えている場合は納税義務があり、1,000万円以内である場合は、納税義務がないことになります。
特定期間とは、その年の前年1月1日から6月30日までの期間をいいます。

また、特定期間における課税売上高による納税義務の判定を行う場合、課税売上高に代えて、給与等支払額を用いることができます。
この給与等支払額とは、特定期間中に支払った所得税の対象となる給与、賞与等の合計額をいいます。

この場合、未払いの給与や賞与等が含まるのかという問題が生じますが、これについては、未払いの給与や賞与等は含まれないことになっております。

また、退職手当や所得税が非課税となる通勤手当、旅費等についても、「所得税の課税対象となる給与、賞与等」には該当しないため、この場合の「給与等支払額」には含まれないこととなります。

平成26年度の確定申告が終わり、課税売上高が1,000万円以内であった方につきましても、平成28年度の納税義務については、平成27年1月1日から6月30日までの課税売上高または給与等支払額次第では、納税義務が生じる場合がございますので、ご注意ください。



吉野直樹

マイナンバー制度が始まります。

2015年03月17日 | Weblog
皆様お元気ですか。

私どもの業界も確定申告が終了し、ホット一息入れることができます。
年末調整から始まった繁忙期もようやく終わりを迎えました。

今回のお題は「マイナンバー制度」についてお話をしたいと思います。
開始されるのは平成28年1月1日からこの制度が始まります。
そもそも、「マイナンバー制度」でしょうか。

目的は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公正な社会実現のために創設されました。
各個人は住民票の登録者一人に一つ12ケタの個人番号が、法人には13ケタの法人番号が
与えられます。
平成27年10月から順次住民票登録住所へ、法人は登記されている本社住所へ通知されます。

このマイナンバーの利用分野は、社会保障・税・災害対策の3分野を予定しています。
事業者の方の実務対応は、番号の使用方法やその管理になるにではないでしょうか。

私どもの業務にかかわることについても、事業者本人の確定申告はもちろん従業員の源泉徴収票や
支払調書の作成などの税務関係、社会保険手続きの書類作成など労務関係の書類作成時にマイナンバーを
記載します。
但し、住民票の登録がない非居住者は、マイナンバーを取得する必要はありません。

ちなみに、私どもの税務申告業務については、所得税は28年分の申告から、法人税は28年1月1日以降開始後の事業年度から適用されます。

マイナンバーが不正に利用されることを防止するため、安全管理措置を講じなければなりません。
また、罰則規定も設けられています。
事業主の方は、来年1月に始まる制度に向けて、ガイドライン等をご確認いただき、必要な作業を洗い出すことから始めましょう。



監査部 3課  平野 誠

不動産の売却

2015年03月09日 | Weblog
皆さん、はじめまして。
この度、当事務所に入所しました朴賢大(ぼくよしはる)と申します。

経営を支える立場で仕事がしたいと思い、監査法人から転職してまいりました。
皆さまのお役に立てる情報が提供できるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いいたします。


さて、初めての投稿ですが、個人確定申告の時期という事もあり、関係する不動産にまつわるお話をさせていただきます。
昨年の消費税増税後も不動産市場はますますの活況を呈しており、売買価格も着実に上昇していると聞き及びます。投かんされてくる売買のチラシも増えているような気がいたします。実際に物件を売却して儲けが出た、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

気になるのが税金計算です。所得税は大きく分けて、2つの計算方法があります。
一つは事業所得や不動産所得などの日常的に営む商売の計算方法、もう一つは譲渡所得や退職所得などの、たまに生じる収入に関する計算方法です。それぞれの計算で使う税率は異なります。

投資アパートや事務所などの不動産を持っている場合、「減価償却費」という費用が出てきます。持ち続けている時は事業所得や不動産所得で費用計上します。では、売却した時はどうでしょうか。

売却した年の減価償却費は、事業所得や不動産所得で差引いてもいいですし、譲渡所得で差引いてもよいです。つまり、どちら側で費用にするかは、選べるということです。

例えば、去年買った投資アパートを今年売ったとします。計算すると、家賃から出る不動産所得が100万円、売却で儲けた短期譲渡所得が100万円、他に減価償却費が10万円でした。

不動産所得から引いた場合、所得税は不動産所得(100万円-10万円)×5%=4.5万円、短期譲渡所得100万円×30%=30万円、全部で34.5万円です。
短期譲渡所得から引いた場合、所得税は不動産所得100万円×5%=5万円、短期譲渡所得(100万円-10万円)×30%=27万円、全部で32万円です。

この場合、譲渡所得で引いた方が2.5万円得でした。場合によっては逆になることもあるかもしれません。


お話のポイントは、所得税は儲けのタイプによって税率が変わるので、税率の高い方から引く、ということでした。

当てはまれば、今からでも簡単にできる節税ですので、期限前に是非ご確認下さい。
担当税理士には「所得税基本通達49-54について相談したいのですが…」とおっしゃっていただければ話が早いと思います。


監査部2課
朴賢大

小規模企業共済

2015年03月02日 | Weblog
皆様おはようございます。
いよいよ3月に入りまして、ご卒業や異動 4月からの新生活に向けての準備の時期でしょうか。
税理士事務所は確定申告前で多忙な日々を送っています。

小規模企業共済を御存知でしょうか。
http://www.smrj.go.jp/skyosai/
小規模企業共済法に基づき、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。

小規模企業の個人事業主が、事業を廃止した場合や会社等の役員が役員を退職した場合など第一線を退いたときに、それまで積み立ててこられた掛金に応じた共済金をお受け取りになれる共済制度です。

掛金は全額所得控除となりまして、共済金は一括受取りの場合は退職所得、分割受取りの場合は公的年金等の雑所得となります。

支給される共済金額は、共済事由によって3段階に分かれます。
個人事業の廃止は金額が最も高いランクで、同じ事業の廃止でも配偶者や子への事業の譲渡によるときは最も低いランクになります。

上記について 平成27年度税制改正が予定されています。
配偶者や子への事業の譲渡により個人事業主が廃業する場合であっても、それ以外の事業廃止と同じ共済金の支給額にする小規模企業共済法の改正が予定されています。

事業承継をお考えの経営者の方々へ朗報となりそうです。

監査部2課
阿部笑美子