梅原猛「歓喜する円空」「明治維新でつくられた新しい神は仏と共に古き神をも滅ぼした」
「円空は護法神を多く作って、日本の神々がすべて護法神となって仏法を護ることを願った(「飛州史」には円空の「我山岳に居て多年仏像を造り、其の地神を供養す」という言葉が残っています)、・・・(しかしその後、)仏法を排斥する神の学、国学というものが起こり、明治維新を迎える思想の原動力の一つとなり、明治新政府をして神仏分離・廃仏毀釈の政策を採らしめた。まさに円空の期待に反して神が仏を滅ぼしたのである。しかしその神は円空の言う、縄文時代の昔から日本にいる神々ではなく、新しく作られた国家という神であった。実はその新しい神は、仏とともに日本のいたるところにいた古き神をも滅ぼしたのである。そしてその新しき国家という神もまた、戦後を境にして死んでしまったのである。こうして日本は世界の国々の中でほとんどただ一つの、少なくとも公的には神も仏も失った国となったのである。
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