日々の恐怖 6月1日 花
よく通る道に花が手向けられている電信柱があり、通る度に供えられた花の種類が変わっていたので、よほど大切な人を亡くしたんだろうなと気になって見ていた。
ある時、その電信柱の前を通ったらその花が荒らされていた。
次の日通ると花は綺麗に新しくなっている。
その日の夕方に通るとまた花が荒らされていた。
その後荒らされる→新しい花→また荒らされるというのが暫く続いた。
猫や鳥にやられたのかな・・・?、と思いつつ通り過ぎていたが、ある日偶然にもその花を荒らしている最中の人を発見。
俺はとっさに車を降り、
「 何してるんですか!」
と咎めた。
すると、こちらを向いた40~50代位の女性に女性が、
「 ○○ちゃんを返して~。」
と号泣。
虚をつかれ、うろたえながら彼女を宥めつつ話を聞くと、彼女は娘さんをここで亡くしたと。
娘さんは歩いていて、車に突っ込まれた。
運転していた男性も、この電信柱にぶつかった衝撃で亡くなった。
この花は加害者の男性の家族が供えている。
その花を見る度に娘を思い出してしまい、いたたまれなくなって花を荒らすようになってしまった。
と、言った感じでした。
「 もうこんな事はしませんから・・・。」
と泣きながらふらふら帰っていく彼女を見て、やるせない気持ちになり暫くそこに立ち尽くしてしまいました。
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