日々の恐怖 6月17日 おっさん
俺の住んでるマンションは比較的新しいマンションで、防犯も結構気を使っている。
エレベーターは外扉と箱の内扉にガラス窓が付いていて外からも中が見えるようになってる。
だから部屋から出て下からエレベーターの箱が上がってくると上部の機械が見える。
見えるといっても、ここのエレベーターは比較的速いタイプなので見えるのはほんの一瞬。
多分、1秒も無いくらい。
ある日(半年以上前)、エレベーターに乗ろうと下から箱が上がってくるのを待っていた。
そして箱の上部が見えた時、そこに身長40cmくらいの小さな人のようなものが座っていた。
頭が大きくて4頭身くらいに見えた。
ちょうど0歳児くらいの大きさ。
見えたのは1秒弱くらいの一瞬だったので詳細は分からなかったが、確かに見えた。
自分から見て正面に正対する形で座ってなくて向かって左を向いていた。
でも直感的に「おっさん」だとおもったのでそんな感じの横顔だったように思う。
その時は目の錯覚かと思って乗り込んだ。
特に何事も無く1階へ降りれた。
その日以降、意識的に箱が上がってくる時に箱の上部の部分を見ているが、小さなおっさんが座っていたあたりには何かの機械の箱があるだけで特に何も無し。(この機械の箱の上に座っていたと記憶している。)
箱の向かって右側にはワイヤーが通った滑車があるが、位置的に小さなおっさんを見た場所とは明らかに異なるので、滑車の円形を人の頭に見間違えたという可能性も考えられない。
あれはなんだったのか?
未だに謎だ。
後日談と言うほどではないが、ちょっと気になる現象もあった。
前述したが、マンションの防犯対策は結構しっかりしており、その一環として各エレベーターの1階には外側にモニターが設置されており、箱の中の様子(奥から扉側を映す角度)が見れるようになっている。
小さなおっさんを見てから1ヶ月くらい経ったある日、帰宅しエレベーターに乗ろうとした。
ボタンを押そうとしたした時、エレベーターが上へ動いているのに気が付いた。
ちょうど6階に止まるところだった。
何気なく箱の中の様子を映したモニターを見ていたが、6階に止まったのに扉が開かない。
動いている時は箱の中に誰も居なかったので、6階の住人が乗り込むものと思っていた。
ところがエレベーターは止まったのに扉が開かない。
少しの間様子を見たが誰も乗り込んでこない。
このマンションのエレベーターは止まった階に停止したままになるタイプなので、誰かが操作しない限り階を移動することは無いはず。
その時にエレベーターが動いていたのは間違いない。
モニターと押しボタンの間に箱の動きを矢印で表す表示と階数を示すパネルが付いている。
エレベーターが上昇しているときは上へ向かって矢印が動き、停止すると矢印が消える。
俺がエレベーターの前に来たときは間違いなく矢印が上へ流れていたし、モニターでも扉の窓の様子から上へ動いているのも見てとれた。
なのに箱が停止しても扉も開かず、誰も乗り込んでこない。
なんだろう?と思いつつ、もう1度押しボタンを押してエレベーターを1階へ呼ぶ。
その時も何事もなく、自分のフロアへ着いた。
よく分からないエレベーターだ。
そして、先日のことだった。
ちょっとコンビニに行こうと思ってエレベーターの前へ行った。
エレベーターの前には誰も居ないし、居た様子も全く無い。
押しボタンを押そうと思ったら、ちょうどエレベーターの箱が上がってきたのが見えた。
このマンションは10階建てで、俺は10階に住んでいる。
だからエレベーターが上がってくるという事はこの10階に停止する以外は無い。
誰か同じ階の住人が上がってきたのだろうと思ったので特に押しボタンも押さずに到着を待った。
が、直ぐに違和感に気付いた。
前述しているがここのエレベーターは比較的動きが速い。
ところが明らかに動きがいつもより遅いかった。
いつもの半分もスピードが出ていないように思った。
そして箱が自分のフロアである10階に到着した。
箱の中は無人 誰も乗っていなかった。
そして扉も開かない。
俺はナイスタイミングで箱が上がってきたと思っていたので押しボタンは押していない。
10階のエレベーター付近、廊下にはどこにも人が出入りした気配は無かった。
俺も含めて、誰もエレベーターの操作はしていなかった。
誰かが階下で降りて無人になった箱が上がってきたのかとも思ったが、もし10階のボタンが押されていたなら人の出入りの為に扉は開くはず。
なーんか、変なエレベーターだなーと思いつつも乗り込んだ。
今回も何事もなく使えた。
んー なんだろ、これ?
ちょっとこのマンションのエレベーターが気になってきた。
童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ