大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 7月24日 遊園地

2013-07-24 18:18:45 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 7月24日 遊園地




 有名な遊園地の話。
売り物は絶叫マシーンだが、その絶叫マシーンが危ない。
 その日、友人たちは6人で遊園地に遊びに行った。
目的は世界最速を誇る絶叫マシーン。
6人のうちの一人Mはコースター物が大の苦手で絶対乗らないと言い張ったが、周囲は面白がって無理矢理そのアトラクションの列に並んだ。
 30~40分待ったあと、ようやく自分たちの番が来た彼等は前から順番に席についた。
絶叫マシーンが大嫌いなMが座ったのは前から3列目。
発進する前からMは顔面蒼白になっていた。
 その様子を見た友人たちは、悪ふざけのつもりでコースターが動いている間のMをケータイのカメラで撮影する事にした。
 コースターがお客で満席になると、安全バーが乗客の体を固定する。
異変はその時から始まった。
Mの安全バーが中途半端な位置で止まってしまったのだ。
 係員が乗客の安全バーが全て固定されているかチェックしに来たが、なぜかMのことだけは見落としたらしい。
Mの隣りに座っていた友人の証言では、安全バーとMの間は確実に20センチ以上の隙間があいていたと言うのに。
 Mはパニック状態になって係員を呼んだが、ちょうどその時、派手な音楽と共にコースターが動き出した。
普通のコースターは発進時ゆっくりと坂を登っていくが、このコースターは発進直後に時速100㎞以上になるという優れモノ。
Mも、その隣りに座った友人も、振り落とされまいと安全バーにしがみついた。
 絶叫マシーンはあっという間にコースを走り抜け、やがてホームに戻ってきた。
Mを笑っていた友人たちも、あまりのスピードに腰がガクガクしてしまい、やっと席から立ち上がった。
 自分たちがこれほどなら、Mは腰が抜けて立てないだろうと思っていた予想を裏切って、Mは誰よりも早く絶叫マシーンから降りていた。
そして、友人たちが全員降りるのも待たないで、さっさとアトラクションから離れてしまった。
 友人たちはMの後を追って行き、その中の一人が、

「 嫌がっていたわりには、全然大丈夫そうじゃん!」

と言うと、Mは震えるような声で怒鳴り返した。

「 ヘンな女が、俺の安全バーを外そうとしたんだっ!!」

 みんなは顔を見合わせ同時に笑ったが、Mの隣りで撮影していた友人が自分のケータイを見ながら弁護した、Mの言っていることは本当だと。
 コースターが動いている間中、Mに向けられていたケータイのカメラには、Mの足元からニュッと伸びているニ本の白い腕が映っていた。
ブレていて鮮明でもないが、やけに長いその腕は確かにMの安全バーを握り締め外そうとしているように見えた。
 あまりに気持ち悪かったので映像はその場で消去されたが、以来、誰もMに絶叫マシーンを無理強いしない。
あの遊園地に行くときは気をつけろ、それが、仲間内で密かな噂になっている。
















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