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日々の恐怖 7月31日 霊感

2013-07-31 18:20:20 | B,日々の恐怖




   日々の恐怖 7月31日 霊感




 これは12年近く前の話です。
記憶に、“誰もいないのに階段が鳴り響く体験”をした覚えがあったので母に聞いてみたところ、母からそのときの状況を説明され、ああ、そうだったのかと思った話です。
 ある日の夕方、父を除く家族がい間に集まっている状態で、急に階段を誰かが登っていくような音がしました。
普通に“トントントン”という音ではなく、“ドンドンドン”と踏み鳴らす感じです。
 始めは父親かと思いましたが、会社に行っており不在との事を母親が言っており、祖父と祖母、俺も居間にいました。
好奇心旺盛な当時6歳の俺は、音が鳴り止んだ直後に、一人で二階へ確認に行ってしまったそうです。
 記憶は定かではないですが電話の呼び鈴が鳴り響く音を背中に聞きながら、階段を上がっていった覚えがあります。
全ての部屋を見回りましたが、二階には誰もいませんでした。
 二階から降りてくると、電話を受けた母が、

「 祖母の友人が30分ほど前に亡くなったから、通夜に出かける。」

と俺に告げました。
 母と祖母は階段が鳴り響く前に、廊下を何かが通る気配を感じていたそうです。
元々母は実家の方で心霊体験のような事を何度も体験していたようで、慣れていたようです。
それで母と祖母は通った気配がこの世のものではないと分かっていたために、泥棒じゃないからいいだろうと言うことで、一人で二階に行く俺を止めなかったそうです。
祖母は、最後に友人が、お別れを言いに来たのだろう、と家族に告げていました。
 母親からこの話を聞いて、ふと疑問が浮かびました。
なぜ祖母にお別れを言いに来たのに、居間には来ず階段を上って二階へ行ったのかです。
母にこれを聞くと、

「 どうやら私と貴方が邪魔だったみたいだよ。」

母の言葉の意味が解らないでいると、

「 貴方は二階から降りてきたときに、連れて降りてきたの気付いてないでしょ?」

と、また意味不明なことを言います。

「 あれ(祖母の友人)はね、お別れを言いに来たんじゃなくて、一緒に連れて行こうとしてたんだよ。」

と言われて、やっと俺は理解しました。
 祖母は俺が連れてきた祖母の友人に、話しかけられていたそうです。

「 独りは寂しい、一緒に来てくれ。」

それを祖母は丁寧に断ったそうで、祖母の友人も諦めかけていたとき、馬鹿な俺はこんな事を口走ったそうです。

「 婆ちゃん連れて行くのなら、俺も一緒に連れて行けよ。」

この時は、何をとんでもないことを俺が言うのかと、母も祖母も驚いたそうです。
 うちの家系は、父や祖父には霊感がまったくなく、母と祖母だけにあったので男の俺にはないものだと思っていたそうです。
しかし、俺は二人のように感覚が強いわけではなく、その後すぐにその影響を受けて高熱を出したそうです。
 原因が分かっていたため、すぐに神社で御祓いしてもらい熱も下がりましたが、その一件以来、母は心霊現象などが起こると噂される所に俺が行こうとすると過剰に反応するようになりました。
その母の反応ぶりからして、俺自身は口走った記憶はありませんが、作り話ではないなぁ、と実感しています。
 そして、疑問である“何故、俺と母が邪魔だったか”というのを母に聞いてみると、霊感のある人間に祖母が助けを求めるのを嫌ったため階段で物音を立て、足腰の弱い祖母以外を二階に誘導するつもりだったようです。
厳密に考えると、俺が二階から連れてきたわけではなく、母が電話に出てしまい二階に来なかったので仕方なく降りてきたようです。
 子供の頃には霊が見えやすいなどという事が言われていますが、何もない方向に話しかけている子供を楽しそうだから放っておくというのも危ない気がします。
まあ、このケースは俺が単純に馬鹿なだけだったと言うことでした。






















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