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日々の恐怖 7月30日 写真

2013-07-30 17:07:32 | B,日々の恐怖




    日々の恐怖 7月30日 写真




 小学校のとき担任だった女の教師は性格がとにかく悪かった。
自分の子供と俺たち生徒を比較して、私の子供は君達みたいな子には育てないだとか、とにかくコイツは自分の息子を溺愛し、俺たちと比較するのが好きだった。
 特に俺なんかは出来が悪くバカだったので、いつもいたぶられていた。
こんな問題も出来ないのか、とか、とにかくいろいろ言われて俺は頭に来ていた。
 当時、俺たちの小学校では、教室に教師の簡易机みたいなものがあった。
それで、この教師の机の中身のものを滅茶苦茶にしてやろうと考えた。
当然、誰も人がいないときを狙った。
 休み時間、その日は曇天にもかかわらず、殆どのヤツは運動場に出かけたり別のクラスに行ったりで、教室に残ってるヤツは珍しくいなかった。
ようやくやって来たチャンスに俺は小躍りした。
 教師の机の引出しを開けた俺は、綺麗に整理されたノート、カラーごとにきちんとまとめられたペンなどが目に入り、とにかくこれを滅茶苦茶に荒らそうと思ったが、ふと、一番下のノートに目が行った。
 どうせ俺たちの悪口が書いてあるのだろうと思った俺は、中を見るためノートをめくろうとしたときに、ノートから写真らしきものの角がはみ出しているのを見付けた。
それで角を摘んで引っ張り出すと、写真が裏向きに出て来た。

「 何かな・・・?」

家族の写真だろうと思った俺は、この写真もパクってやるかと写真をひっくり返した。
その写真に写っていたのは、担任と夫らしき人物、そして小学生ぐらいの子供だった。
 俺は、その写真を見て手が震えた。

「 何だ、これは・・・・。」

心臓の音が聞こえるようだった。
 その理由は、写真の子供の顔が火であぶられていたからだ。
写真の表面が軽くあぶられ、黒ずんだ顔の子供がいる。
焦った俺がノートを落とすと、ノートの間から数枚の写真が出てきた。
どれも子供の顔だけが火であぶられていた。
 はっと気配を感じて廊下側を見ると廊下側のガラスの向こう、すりガラスのせいで姿は見えなかったが立っている人影があった。
俺は担任と直感し、慌てて写真をノートに挟んで、それを引き出しに放り込み、窓から庭に飛び降りて逃げた。
その後、俺は猛ダッシュで運動場に行き友達と合流して遊んだ。
 怖いのは、今考えても、何故そんなことをするのか理由がわからない。
夫婦の仲が極端に悪いとかで、写真の中の夫の顔をあぶるならまだ分かる。
それが、なぜ子供なのか。
それも、あんなに自慢していた子供なのに。


















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