大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 7月9日 居酒屋

2013-07-09 18:40:41 | B,日々の恐怖





     日々の恐怖 7月9日 居酒屋





 自分的に衝撃的な体験をした話をします。
自分が19の時の話ですけど、大阪の有名な繁華街の居酒屋でバイトしてた時の話です。
時給は1200円で深夜は1400円と貧乏だった自分には魅力的な条件で、募集して即面接、採用という流れでした。
自分的には“おぉ、即採用ラッキー”ぐらいの認識でしかなかったです。

 はじめの2~3週間は何事もなく、むしろ優しいバイト仲間や店長、条件のいい時給に“なんだよ超当たりバイトじゃんか!”、と思いながら働いていました。
それで、3週間位で自分もそこそこ動けるようになりました。
 いつもと一緒の時間にバイト行くと、シフトに入ってるバイトさん達がその日4人中自分以外全員休んでました。
まあ平日だったし、店長のフルサポートのおかげで店は回りました。
23時位に一息つけて、飯食ってたら店長が横で飯食い始めました。

「 すまんな~たまにこんなことあるんだわ~。
○○(自分の名前ですw)はへいきか?」

なんて言うんで、

「 楽勝っす。」

なんて返したら店長が、

「 ん、まあそういう事じゃないんだが・・・。
まあ、もうちょっとがんばろうや。」

なんて言って仕事に戻って行きました。
自分はその時「?」でした。
 何がそうゆう事じゃないのか、自分が何を思って返事をしたか知ってて「そうゆう事じゃない」と言ったのか、へんなモヤモヤがあったんですが、店は忙しくなってくる時間だったので飯つめこんで仕事に戻りました。
なんとかその日は店長と二人で店を回し切りました。
 店長が、

「 マジ助かったよ~、後は掃除やって帰るだけだな。もうちょいがんばろうや!」

なんて言ってくれたのを鮮明に覚えています。
 それで、便所掃除やってたときでした。
便所掃除はまず大の方からクレンザーで泡たてて、んで小のの方も泡立てて・・・。
どこの店も一緒だと思うんですが、大の扉って勝手に“ぎ~~~”って閉まります。
それで、自分はバケツに水入れて大の扉を固定してたんです。
そしたら、小の便器を頑張ってこすってたら、後ろでいきなり“バァーーーーーン”って、大の扉がバケツ吹っ飛ばして閉まるんです。

「 まじかよ・・・。」

とか思って、でもまあその時は深く考えずにもう一度バケツに水入れてまた大の扉固定して小の便器洗い始めようとふりかえろうとしたら、

「 バァーーーーーン。」
「 ・・・・・・・。」

てかしまらないよ、普通。
とか考えてたら、店長が来て、

「 お前、もっと静かに掃除しろよ。」

なんて能天気なこといってるんで、事情を説明しました。

「 気のせいだって、確実に・・・。」

 そう店長は言ってたけど、その日の店長の顔はずっと目が笑ってなかったです。
でも、自分は怖い話は好きだったけど、幽霊とかは信じてなかったんで、次の日もまた普通にバイト行ってました。
その後、何回か便所掃除したけど、もうあんな事は起こらず、忘れかけていました。


 しかし、やっぱりその店はおかしいんです。
普段、自分は夕方からしか入らないんだけど、その日は“本職の方々”が光栄にも(笑)自分たちの店で宴会をやるって話で、初めて仕込みを手伝うために昼からバイト入りました。
 野菜切ったり、肉串に刺したり、刺身の用意したり・・・・。
なんてことはない料理の下ごしらえをして、3時過ぎには仕込みも終わりました。
それで、終わって客席のカウンターなんかに座りながら、

「 本職マジカンベン。」やら「 青りんごサワー大量に用意しとけよ。」

と話してたんです。
 そのとき気が付きました。
有線から何か音が聞こえるんです。
はじめは気にしていませんでしたが、小さな声で人の声のようなものが聞こえます。
店長に、

「 有線つけっぱですよっ。」
「 有線?つけてねぇし?」
「 つけてないって、何かきこえません?」

俺が必死に訴えるんで、皆しゃべるのをやめました
そして静かになって聞こえた言葉が、

「 熱い・・・、苦しい・・・。」

正直涙目でした。
 普段なら陽気に笑って何かフォローしてくれてた店長も、今回はマジ顔で、

「 みんな休憩、外でな・・・。」

 自分は何も言えず、飛び出すように私服に着替えて店を出ようとしました。
店長が、走って店から出ようとする自分に、

「 夕方は5時からでいいぞ。」

って叫び気味に言った次の瞬間、

「 ビーーーーーーーー。」

 居酒屋ってボタンあるじゃないですか、客が店員呼ぶ。
あれが鳴ってるんですよ、座敷で。
ビクッ!と体が止まって、皆を眺めると、恐怖って感じより“やれやれ・・・・”みたいな感じがしました。
 店長が、

「 おれとめてくるわ。」

って言ってスイッチ消しに行きました。
それで行った店長が、

「 誰もいねぇ。」

って言う声が聞こえると同時位に、また、

「 ビーーーーーーーー。」

さすがにここはおかしいだろ、と思って、帰って来た店長に、

「 どういうことなんすか?」

って真顔で3回くらい問いただしたら、

「 今日の宴会終わったら教えるわ。
頼むから、宴会だけでも手伝ってくれ。」

そう言われて余計に不気味でした
 正直納得行ってなかったけど、生活かかってたんで逃げるわけにもいかず、夕方には店に戻りました。
宴会は案の定本職のわがまま連発で、昼の出来事も忘れていました。
 宴会は無事終わって後は宴会の残っている客を追い出すだけって時に、不意に焦げくさい臭いがしたので同じバイトの先輩に、

「 なんか焦げくさくないっすか?」

ってきいたら

「 本職畳焦がしてるかもな!みてくるよ!」

と言って座敷を見に行きました。
 そんなときに新規の客が入ってレジ付近の女先輩が、

「 新規三名様入りました!!」

と言うんで慌てて、

「 いらっしゃいませ~!!」

って大声で言いました。
でも、どうみても2人です。
 女先輩に、

「 2人・・・・、ですよね?」

って言うと、

「 ううん、3人。」

って言うし。
実際見てくると、やっぱり2人でした。

「 2人でしたよっ。」

て女先輩に言うと、

「 え~、白い服着た男女と、それにぴったり付いてくる感じで、黒い服きた女で3人だったよ~。」

“ 白い服のカップルはいたけど、黒い女なんていねぇよ。”

そしたら座敷行ってた先輩が、

「 焦げてなかったぜ。」

なんて言って帰ってきたら、女先輩がボソッと、

「 あ・・・・・、あの黒い女・・・・焦げてたのか・・・・。」

それ聞いてぞわ~~~ってしました。
なんで、そんな真顔で意味のわからないこと言えるんだって。

 そんで、その日の終りにやっと店長がいろいろ教えてくれました
まず、うちの店の近くの大型電気量販店、そこで昔火事があって結構な数の人が死んだ話。
 今は(今もなのかな?)ビックピーカン?だっけかな?そんな名前の量販店です。
もう一つは、そこで亡くなった方々の供養の石碑みたいなのが、うちの店のちょうど真裏の寺にあるって。

“ こんな繁華街に寺あるんかよ。”

って思って、その日見に行ったらほんとにありました。
その寺はちょうど店のトイレのすぐ裏でした。
 店長が、

「 おまえ、辞めるなよ・・・。」

って、その日の終りにしきりに言っていました。
 まあ、店のみんな好きだったし店長もいい人だったんで、そこのバイトはその後しばらく続けました。
落ちも何も無い話ですが、ほんとに体験した今でも忘れられない話です。

















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