日々の恐怖 7月19日 ボケ
うちのばあちゃんがボケはじめたころ、言っていることが怖かった。
もっとも、痴呆症の初期ってこういう症状はよくあるのかもしれないけど・・・。
まず、一人で喋る事が多くなった。
「 誰と喋ってるの?」
と聞くと、
「 ○○おじさんが今まで来てたのよ。
あ、あら・・・?
どこに行ったのかしら、今までそこにいたのに・・・。」
お約束だが、○○おじさんは数年前に死んでいる。
それはまだいい。
夜中に絶叫する。
もう、家中の人間が飛び起きるぐらいの大声で絶叫する。
駆けつけて訳を聞くと、
「 瞼を縫い付けられた男が、押入れの隙間から顔を出していた。」
と泣いている。
ちょっとやめて欲しい。
でも一番怖かったのが、私が真夜中(午前3時前後)にふと目が覚めて玄関横のトイレに行こうとしたときだ。
真っ暗な玄関に、ばあちゃんが正座していた。
失神しそうなぐらいびっくりした。
「 何してんの!?ばあちゃん?」
と聞いたら、
「 誰かがね、『開けてくれ、開けてくれ』って言ってるんだよ。
だから鍵開けたんだけどね、待ってても入ってこないんだよ。」
開けるなぁぁぁぁ!!!
それ、メチャ、怖い。
私の家は有名な某霊園の近所です。
今のばあちゃんは完全にボケてしまって、ほとんど言葉を発することもないです。
そんで、家族みんなで世話をしてます。
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