日々の恐怖 4月21日 夢見
東北在住のKさんの話です。
私の夫の母が数年前に急死した時の話です。
誰も思いもかけなかった死だったから、悲しいと言うよりも大慌てだった。
夫とその兄も、葬儀の準備、呆然としている父の世話、押し寄せて来る親戚の相手と、悲しんでいるヒマもないほど慌ただしかった。
葬儀もなんとか無事済ませ、夫と私は家に帰ってきて、しみじみと亡き母の事を語っていたところ、夫が言い出した。
「 通夜の夜、うとうとしてたら、母ちゃんが夢に出てきてさ、
『 どうして死んじゃったんだよ?』
って言ったら、
『 死んでないよ、ちょっと旅行に出ただけだよ。』
って言ってた。
旅行の好きな母ちゃんだったから、忙しい、忙しいばかり言わないで、もっといろいろどこか連れて行ってあげれば良かった・・・・。」・・・・涙。
四十九日、法要も無事済んで、親戚連中も帰り、夫と私、兄夫婦、父の5人でお茶を飲んでいたところ、ふいに兄が言い出した。
「 通夜の夜、母ちゃんの夢見たよ。
なんか、旅行へ行くって言ってた。」
夫が、
「 俺もその夢見た!
兄貴も見たのか!
えっと・・・、父ちゃん、何か見なかったか?」
と聞くと、父は、
「 俺ぁ、いったん寝付いだら、カミナリ落ちてもわがんねぇし・・・。」
・・・そういう問題、・・・なのかな?
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