日々の恐怖 4月28日 ヤバかった話
私が12歳のときの話です。
イトコ(男、当時18歳で、どうしようもない不良だった)がケンカして帰ってきたらしく、深夜か明け方に玄関先でものすごく叫んでた。
“ また暴れてるのかな・・・?”
と思ったけど、いつもとセリフが違うし、家族の声が聞こえないから不思議に思って(いつもは悲鳴とか静止の声がする)、部屋からでて階段おりてみると、下の廊下でお腹おさえて動かなくなって呻いてるイトコを、囲むようにして叔父さん叔母さんと祖父母がじーーーっと見ていた。
けど、誰も声もかけないし、看病もしてなかった。
“ 見ちゃいけないものを見た。”
という気が一杯ではあったが、子供心に、
“ 声かけなきゃヤバそう・・・。”
とも思い、嘘臭かったと思うけど、
「 おにーちゃん、おにーちゃん病気なの?」
と馬鹿みたいに泣きながら駆け寄った。
叔父さんとお爺ちゃんはぼーっとしてたまま、おばあちゃんが、
「 救急車呼んであるから心配しないで寝なさい。」
と言い、叔母さんも、
「 お父さん、保険証用意して。」
とか言い出して、叔父さんが、
「 もう一度、救急に電話する。」
とか言って電話に行きました。
でもって私が結婚するとき、イトコに、
「 お兄ちゃんあの時ヤバかったよね。」
と言ったら、
「 うん、結婚祝い何でも買ってやる、何ほしい?」
と言ったので、
「 全自動洗濯機。」
と言ったら、イトコは乾燥機もつけて凄く高い全自動洗濯機を買ってくれました。
いま思うと、やっぱ、見殺しにしようと思ってたんじゃないかと・・・。
イトコは内臓が一部破けていて、ものすごい手術したそうです。
1ヶ月以上入院して留年してました。
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