日々の恐怖 4月4日 青い袖(6)
弟は私の話を黙って聞いていたが、女の子の話でやっと少し驚いて、
「 そっか、先生見えたんだ・・・・。」
と言ったが、あまり興味なさ気だったので、私が先生に嫌われたらダメだと食い下がると、弟は笑いながら、
「 大丈夫、俺が明日先生に言うから。」
と言った。
しかしそれでは先生との約束をやぶってしまうので、
「 ダメだよ、言わないでって言われたんだから・・・。」
と、いま考えればとても自己中な事を私は言ってしまった。
だが弟は、先生がそこまで怖がっているなら、全部話した方がいいと言った。
私が恐る恐る、
「 何を?」
と尋ねると、弟は、
「 みんなのことはホントに知らないこと、あの子のこと。
あの子遊んでるだけで、全然関係ない。
声は俺も聞こえたけど、先生が怖がりだからからかったんだと思う。」
と、二段ベッドの上の私の方を見て言った。
私は、
“ そこに誰かいるの?”
と思って少し怯えたが、それよりもあの子が誰か気になって、
「 あの子って?」
と尋ねた。
弟がすぐに、
「 神社の子。」
と言ったので、思わず弟の腕を掴んでいた。
弟は、
「 大丈夫だよ、沢山遊んだらそのうち帰るから。」
と笑っていた。
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