日々の恐怖 4月22日 徳のある子
従姉の息子がお寺の敷地内にある保育園に通ってたんだけど、本堂とかも保育園スペースの一部みたいになってて、園児が上がることが多かった。
そしたら、
「 あのね、まんまんさん(仏壇とかご本尊の方言幼児語)のところに白い女の人がおってんよ。
園長先生(住職)がお線香あげちゃったらね、ぐるぐる辺りをまわってるの。
お経上げてる間ずっとなんよ。」
って怖がって登園拒否始めた。
従姉一家もなんじゃそらと思いつつ、環境も変わったしストレスかしらねって、保育園通いをしばらく休ませてた。
実はそこの家は商売をしてて、近くのSAの食堂に食材を卸してたんだけど、家の中にずっといるのもアレだしと、ある日その子を配達に連れてったら、
「 いやあああああっ!!」
道の途中で、とある木を指差していきなり泣き出した。
「 何もおらんじゃろうが?」
って従姉ダンナが言っても、泣き喚くばかりでどうしようもない。
仕方がないので、配達もそこそこに別の道を通って帰ったそうだ。
後日、その木で首吊りがあったのが判明したんだけど、田舎だったのでなかなかわからなかったみたい。
そんなことが続いたので、とあるお寺の管長さんに見て頂いたら、
「 ああ、その白い女の人はお経やお線香にすがりにきたんでしょう。
そんなに悪いものじゃないけど、見えてるこの子がすがられるとよくないから・・・。」
と言われ、お守りを渡された。
「 15歳になるまで気をつけてあげて下さい。
大きな事故があったところや幽霊が出ると言われるような所には行かない、行かせない。
その気になれば、この子は徳があり宗教をひらけるくらいの力はあるんですが、普通の人生を送る方がよっぽど幸せですからね。」
とも言われたらしいその子も、この前15歳になった。
もうヘンなものは見えてない。
しかし、どう見ても徳があるとも思えない。
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