日々の恐怖 4月27日 行方不明
私(40歳)が小学校の時に起こった話です。
ある遠足の時とその後の出来事です。
とある山で林間学校があったんですが、事前の注意にこういうものがありました。
“ 途中で神社の近くで休憩を取るが、そこの小石、落ち葉一枚持って帰ってはいけない。”
先生が言うには、
“ 大変霊験あらたかな神社なのですが、そこの神様は大変独占欲が強く、自分の敷地から何かを持ち出した人間には必ず祟る。”
というものでした。
黙っていれば良いものを、そんなことを吹き込んだので、当日の宿舎での夜、我がクラスの各部屋では、その神社から持ってきた物の品評会でした。
そんな中、石や葉っぱに混じって“石のこけし”みたいなものを持ってきたヤツがいました。
特に霊感など無い私ですが、それを見た瞬間何かゾクゾクするような悪寒を覚えました。
“境内の小さい祠の脇に立てかけてあった”と言うその“石こけし”を持ってきたヤツは、みんなに、
「 アホ!やりすぎじゃボケ!」
とか罵られ、逆上したのか、
「 お前らも同罪じゃ!」
と言うなり先生の部屋へ駆け込み、みんなが神社から色々持ってきたことをぶちまけやがりました。
信じてたのかどうなのかはわかりませんが、先生はみんなを集め、
「 アホかお前ら、祟られてもしらんぞ!
俺が返しといたるから全部出せ!」
と怒って、持っていたビニール袋に回収した小石や葉っぱを入れました。
もちろん“石こけし”も。
とは言うものの、その神社は宿舎からバスで1時間以上離れており、翌日の日程は全然違う場所への移動です。
私たちは、
“ あれ、いつ返すつもりやろ・・・?”
とか思いましたが、翌日の先生の荷物を何となく確認したところ、それらしい袋はありませんでした。(あるいはカバンの中か・・・?)
そして何事もなく林間は終わりました。
先生があの神社に返しにいく時間はもちろんありませんでした。
次の日曜日明けから、私たちの担任は行方不明になりました。
しばらくは警察がうろちょろしたり、それらしい雰囲気でしたが、結局、臨時でわがクラスの担任になってくれていた先生が、そのまま正担任になりました。
嫉妬の神様か、石のこけしか、北の金さんか・・・。
とにかく、30年近くたった今も全く手がかり無しらしいです。
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