日々の恐怖 4月6日 青い袖(7)
その時は怖くてそれ以上何も聞けなかったが、どうしても気になって寝る前に、
「 お母さんの方は?」
と尋ねると、
「 さあ?知らないけど、先に帰ったんじゃない?」
と言っていた。
“ 帰った?何処に?”
と思ったが、とにかくその日から私のベッドは二段ベッドの下になった。
弟が先生に、何をどう話したかはわからないが、後日私はまた先生に呼び出されて、今度はお礼を言われた。
それから私と弟は先生ととても仲良くなり、家族ぐるみの付き合いになった。
だが、これは私が中学に入ってから家で先生に聞いた話だが、転んだ子は転んだ二ヶ月後に、慢性硬膜下血腫で亡くなっていた。
それを聞いた時あの憎たらしい顔を思い出して、すぐに可哀想とは思えなかったが、やはり死んでしまうのは悲しいと思った。
弟に、
「 先生に聞いたけど、○○死んじゃったんだってね。」
と言ったら、弟はちゃんとそれを知っていて、沈んだ顔で、
「 ん・・・・。」
と小さく頷いただけだった。
私は言わなきゃよかったと、少し後悔した。
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