日々の恐怖 4月25日 髪を燃やす女
東京在住のSさんから話を聞く機会がありました。
『 今は京王線、禁煙になってるじゃないですか。
まだ禁煙になってなかった頃の話なんですけれど、府中駅の近くに当時働いていて、残業やらなんやらで終電に乗ることになったんですよ。
喫煙場所でタバコを吸おうとライターを取り出したら、25歳ぐらいの女の人がスタスタ歩いてきて、俺のことをじっと見つめてくるんです。
“ なんだよ!”
って思ってたら、
「 ライターを貸していただけますか?」
って聞かれました。
“ ああ、なんだ・・・。”
って思ってライターを手渡したら、その女はニッコリ笑って、俺のことを見つめたまんま突然自分の髪の毛を燃やしはじめて、びっくりした俺は、
「 やめなさい!」
って、大声でライターを取り上げようとしました。
そしたら、その女はライターを線路にぶんなげて、ケラケラ笑いながらライターの後を追って線路の中へ!
何がなんだかわからず、あっけにとられ、そこで終電のアナウンス。
われに返った俺は、
「 おい!あがってこい!」
って大声で叫んで、線路をのぞきました。
そしたら、その女がホームの下のくぼみ(避難所?)からにょきっと頭だけ出して、仰向けみたいな感じでこっちを見て笑ってる。
すんげーびっくりして、俺はシリモチついた。
電車が入ってくる。
“ やべぇ、あの女死んじゃうよ!”
って焦ってまわりをみたら、他の人はそしらぬ顔で携帯をいじってる。
で、はっとした。
ホームの下のくぼみって、人が一人入って仰向けになって頭だけだせるぐらいのスペースは無い。
夢でも見たかと思ったんだけど、俺のポケットからはライターが無くなってたんだよなぁ・・・・。』
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