日々の恐怖 10月18日 小さい祠(1)
これは、俺が学生の頃の話です。
俺の故郷って糞が付くほど田舎なんだ。
冗談抜きで今の時代にコンビニも無い様な所でな。
で、実家は糞が付くほど田舎の、更に廃れたきったねー神社なんだよ。
俺、学校に行くのにバス使ってたんだ。
田舎だからバス停の目印になるような物がうちくらいしか無くてな。
俺にとっては結構便利なんだが、何せ田舎の山奥でバス使う人間も限られててな。
乗る時も降りる時も俺一人だし、バスに乗ってる人も知ってる人ばっかりなんだよ。
だけどその日は少し違った。
学校の帰りにバスに乗るとさ、いつもは俺の貸切なんだ。
だけど珍しく人がいる。
いつも乗り降りに便利な先頭にさっさと座るから、あんまり良くは見てなかったんだが女の人みたいでな。
“ 珍しいなぁ・・・・。”
なんて思ったけど、部活の疲れもあってそれ程気にしないでイヤホンの音に意識を預けた。
車窓に流れる景色を眺めながら、もうすぐ家だって所まで来たから降車ボタンを押した。
うちの前のバス停に停まって、俺は定期を見せてバスを降りる。
いつもなら俺が降りたらすぐ発車するんだけど、発進する音がしない。
“ 何だ・・・?”
って思って後ろ振り返ると、女が降りてくるのが見えた。
うちの周りってさ、人家が無いんだよ。
ホント村落の外れも外れにポツンとある神社だからさ。
いよいよもっておかしくないか?
この先に在るのなんて、せいぜい小さい滝か池くらいだ。
田舎なんて日が落ちるのも早いし、外灯もある訳じゃ無し。
俺が部活終わった時間なんて19時過ぎてる。
そんな時間に女が一人で行って良いようなトコじゃない。
一旦家に帰って玄関に鞄とかダーッと置いて、心配だったからすぐ様子を見に行ったんだよ。
そしたらその女、神社の裏山に入っていく。
獣道しか無い、舗装されてない山道だ。
俺も少し不安になってきてさ。
慣れてる道ではあったんだけど、怖さもあってこっそりついてった。
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