日々の恐怖 10月29日 ヘルパー(3)
それで、寝室を覗いた。
だけど、誰もいない。
寝室はそこで終わりじゃなくて、居間から一番近い部屋を寝室にしただけで、押入れ以外にも襖があって、襖の向こうは和室になってて、物置部屋と化してる。
襖はきちんと閉まってたけど、念のために開けて見てみた。
もちろん一声かけた。
「 ○○さん、ヘルパーです、開けますよ?」
返事はなかったけど、開けた。
やっぱり誰もいるはずない。
急に気味が悪くなって、一刻も早く家から出たくなった。
私が家捜ししたみたいに思われるのも嫌だったから、それでも襖はしっかり閉めた。
玄関に行くまでの間に、トイレがある。
トイレの戸もしっかり閉まってたし、覗かなくても人はいないって思った。
私がここを覗いたのは、
“ おばあちゃんの安否確認目的ですよ。”
って、心の中で盛んに説明した。
寝室を出て、居間を出てシ~ンとしてる家のどこかから、また、
“ ガタッ。”
て音がした。
“ どこから?”
って見回しても、どこから音がしたのかわかんない。
もう、心の中では、
“ 勘弁してよ・・・。”
って悲鳴状態だった。
でも、もしかしたら、家の中のどこかにおばあちゃんいるかもしれない。
その家1階と2階あわせて、8部屋あるような結構な広さだった。
なんだか、勝手に上がったのを、この家のご先祖に怪しまれてるような気持ちになって、
「 ○○さん?
へルパーです、いらっしゃるんですか?」
って声をかけて、様子を伺った。
相変らず返事なし。
そのときになって、玄関に靴なりつっかけなりあったかなって気がついた。
自分の靴しかなかったような気がして、玄関まで小走り。
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