日々の恐怖 10月27日 ヘルパー(1)
ホームヘルパーってあるでしょ?
年寄りの家に行って、ご飯作ったり、掃除したり、オムツ交換したりする仕事。
好きな時間に働けるって聞いて、資格持ってると心強いし、結婚退職して暇持て余して、資格取りに行って、少し働いてみようて思って。
初めは同行って言って、先輩ヘルパーに仕事教えてもらうんだけど、次からは一人で行かなきゃいけない。
一人立ちして3件目のお宅は、広いけど古い家に一人で住んでるおばあちゃんの家。
掃除してご飯作って帰るって仕事だったけど、古いだけに、
“ ここで一人で掃除するの、怖っ・・・・。”
って思ってた。
同行したときも先輩ヘルパーに、
「 ここ、気持ち悪いでしょ、陰気臭いし・・・・。」
って言われたし。
でも、おばあちゃんの居室と寝室はインチキフローリング敷き直して床暖だったし、トイレも数年前に改装したとかで生活空間部分は明るかったから、まぁいいかって。
掃除も、おばあちゃんの生活空間部分だけって話だったし。
それで、初めてその家に一人で訪問したんだけど、いくらチャイム鳴らしても出てこないのよ。
“ あれ・・・?”
って思って、その家の玄関の戸、引き戸っていうの?
横にガラガラ開けるタイプの。
ためしにちょっと横に引いてみたら、鍵はかかってなかった。
「 こんにちわ・・・?」
って呼びかけても返事がない。
ただ、水が流れる音がする。
“ トイレ?台所?”
と耳を済ませると、どうやら蛇口からただ水が出てるだけみたい。
“ 台所で何かしてる音はしないし、水を止め忘れたのかな?”
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