日々の恐怖 10月22日 怖いもん(2)
突然のおばさん強い口調に、俺も相方もギョッとした。
相:「 ハイ?」
お:「 イーッパイ、イーッパイ悲しい。
あんたあかんよ。」
・・・・・・・・・。(二人沈黙)
お:「 うちが喋り出したら皆そんな顔しよる。
うちが日本語使えへん思てるんちゃうか?」
相方が俺の方を見て人差し指をコメカミ辺りに当ててグリグリやり出した。
“ このおばはん、やっぱ頭おかしいっすよ!”
そういうジェスチャーだった。
俺は同意する事も咎める事も出来ず、おばさんに目線を移した。
お:「あんた、怖い思いしなあかん。
気ぃつけた方がええよ。
イーッパイ兄弟おるから。」
“ また兄弟の話しだ。
兄弟ってのは一体なんなんだろう。
自分の親戚の事か子供の事か、はたまたヤクザの親分の嫁さんだったりするのだろうか?”
そんな事を考えて、ポカーンとしていると相方がおばさんに向かって、
相:「 怖い事ですか・・・?
良いですねぇ、僕好きですよ、そういう系統。
おばさん、あっちから来たでしょ。」
そういって左の方向に指を指した。
相:「 おばさんの家って、施設でしょ?」
施設というのはいわゆる店の近辺にある大きな介護施設の事で、日曜の昼間は決まって付き添いの人と一緒に老人がお買いものに来る。
俺:「 おい、お前な・・・・。」
さすがに焦った俺が相方を咎めようとすると、
お:「 あんたトンネル連れて行く。」
おばさんが急にそう言いだした。
相:「 ハァ?トンネルっすか?
心霊スポット??
まぁ、いいっすわ、施設に電話入れるから。
おばちゃん、そこおっちん(座っておけの意)しとき。」
相方が電話の子機に向かって歩きはじめると、おばさんは財布から二つ折の紙をレジに置いて出ていってしまった。
俺:「 お前なぁ・・・。
これ、おばさんなんか置いていったぞ。」
相:「 お、ラブレターっすか?
ついに熟女キラーの境地に辿り着いた俺を褒めて下さいよ。」
相方は相変わらず軽口を叩きながらその紙を開いた。
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