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日々の恐怖 10月2日 青蛙(1)

2016-10-02 19:23:11 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 10月2日 青蛙(1)




 もうだいぶ前のことになりますが、当時私は金属加工の小さな工場を経営していて、折からの不況もあってその経営に行き詰まっていました。
そしてお恥ずかしい話ですが、自殺を考えたのです。
もう子供たちは成人しておりましたし、負債は生命保険で何とかできると思われる額でした。
 今にして思えば何とでも道はあったのですが、精神的に追い詰められるとはあのことでしょう。
その時はそれしか考えられなくなっていました。
 五月の連休の期間に、家族には告げずに郷里に帰りました。
郷里といってももう実家は存在していなかったのですが、自分が子供の頃に遊んだ山河は残っていました。
 この帰郷の目的は、裏山にある古い神社に、これから死にます、という報告をしようと思ったことです。
昔檀家だった寺もあったのですが、住職やその家族に会って現況をあれこれ聞かれるのが嫌で、そこに行くことは考えませんでした。
 神社に行くまで少し坂を上りますので、鳥居をくぐったときにはだいぶ汗ばんでいました。
この神社は村の氏神のようなものですが、過疎化の進んだ昨今は常駐する神主もおりません。
例祭のとき以外にはめったにお参りする人もいないような所です。
 大きな石に山水をひいた手水鉢で手を清めようとして、ふとその底をのぞき込んだときに、くらくらと目眩がして、水に頭から突っ込んでしまいました。
深さは五十センチ程度だったと思うのですが、私の体はストーンとそのまま手水鉢の中に落ち込んでしまいました。












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