日々の恐怖 10月5日 術後譫妄(1)
何年か前に目の手術で入院したときなんだけど、診察で緊急度が高いとされ、個室しか空きがないため、4人部屋が空き次第移動ということで入院することになった。
手術は二度目だったこともあり順調ではあったが、後に医者から、
「 局所麻酔の限界だった。
途中で全麻のほうがよかったかとチラッと思った。」
と言われるくらい、目の奥の部位を弄ったせいか、痛みが半端じゃなく痛み止めがなかなか効かず、いくつかの痛み止めのあと夜中1時過ぎに坐薬をいれてもらって、やっと少しウトウトと眠れた。
目の中にガスを入れるためうつぶせしかできず、看護師が何度も上や横を向いて寝ていないか確認に何度も訪れるんだが、うとうとしていると、いきなり
「 山本さん!」
と肩を叩かれて怒鳴りつけられた。
瞬時に目が覚めて、
「 はいっ!」
と条件反射で返事したあと、
「 あれ?
俺、山本じゃねーよ。」
と思いながらのろのろ起き上がると、誰もいない。
ドアが開いた音もしないので、てっきり看護師が来た夢でもみたのかと思い再度眠りについた。
その後、奇妙な夢を連日みた。
俺が寝ているのに口の中に何か突っ込んできて無理矢理食わせようとするヤツがいる。
しかも、そいつが腕にぶすぶす何かを刺す。
俺は怖くて怖くて誰もいなくなった隙に逃げようとして管抜いて入り口にいこうとするんだが、足元にふわふわしたものがあってドアに近づけない。
必死でそれを乗り越えて出ようとすると、鬼のような顔をした看護師がやってきて、
「 いい加減にしなさい!!」
と無理矢理俺の手を引っ張って病室に連れ帰られ、そしてまた腕にぶすぶす何かを刺したり、鼻に何かいれたり、目をむりやりこじ開けられたりする。
俺は怖くて怖くて少しでも反抗したら殺されるんじゃないかと思い、ただその場では大人しくして、誰もいなくなったら逃げようとする、そして捕まるを何度も繰返した。
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