新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

階段紀行・イタリア シラクーサ 古代ギリシャ劇場の階段と、光と闇のドゥオモ広場の夜

2022-07-26 | 階段紀行・イタリア

 同じシチリアにあるシラクーサには、ヨーロッパ最大規模の古代ギリシャ劇場が残っている。創設は紀元前3世紀。直径130mもの広さを持ち、15000人もの観客を収容出来る大劇場だ。

 そこに至る道には、階段が今も残されて、現役で利用されている。

 段の角はさすがに削られて丸みを帯びているが、存在感は圧倒的な迫力を感じさせる。この階段を上ると、イオニア海の青を間近に眺めることのできる高台(劇場)に到着する。

シチリアには素晴らしい広場が存在する。

 旧市街地にあるドゥオモ広場。バロック様式のファザードを持つドゥオモから奥にあるサンタ・ルチア教会に至る空間は、まるで晴れの式典用に造られたかのような荘厳な美しさを誇る。

 夕方になると、この広場が紅と青のコントラストに満ちた劇的色調を帯びて輝く。

 そんな時間帯には、広場わきの道路と建築群も夕日に赤く染まる。

 そして夜。ライトアップされた広場は温かい色調に包まれ、漆黒の空がそれを覆い包み込む。いつまでも、いつまでもこの場所の空気に留まっていたいという気持ちがあふれた時間だった。

 

 

 

 

 

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階段紀行・イタリア シチリア 「ゴッドファーザー」で登場した劇場階段、雄大なパノラマ劇場の階段座席

2022-07-23 | 階段紀行・イタリア

 シチリアの州都パレルモにあるマッシモ劇場は1897年の建築。客席数3200と当時はパリ・オペラ座に次ぐヨーロッパ第2の規模を誇った。

 新古典様式の正面は堂々とした風格だが、その中央にどっしりとした階段が設置してある。

 この階段は、実はあの有名な映画「ゴッドファーザーパート3」の重要な場面で登場している階段だ。

 マフィアのコルレオーネ一族の子供でオペラ歌手となったアンソニーの公演が、この劇場で行われた。興奮冷めやらぬ気分で家路につこうとこの階段を下りる一行に向かって突然、銃声が鳴り響いた。

 発射された凶弾は娘メアリーに命中、命が奪われてしまう。泣き崩れる父マイケルのアル・パチーノの悲痛にゆがんだ姿がクローズアップされる。そんな印象的なシーンは、まさにこの階段で撮影された。

 劇公演の場面は、たまたまマッシモ劇場の修復期間中だったことから、別の劇場が使われたが、階段のシーンだけは、堂々たるこの劇場の階段でなければならなかったのだろう。

 パレルモ市内の夕景。宿泊したホテルの窓からこんな風景が見られた。

 今でも「ゴッドファーザー」人気は高く、様々なTシャツも売られていた。

 もう1つの劇場。と言っても今度はタオルミーナの野外劇場だ。紀元前3世紀にギリシャ劇場として建設されたが,後にローマ人によって「ローマ劇場」に改修された。

 「ギリシャ」と「ローマ」の違いは、「ギリシャ」が劇場外の雄大な自然をそのまま劇の背景として活用するため、開放的な造りになっているが、「ローマ」は周囲を高い障壁で囲って閉鎖式の空間としている点だ。いずれも観客席が階段状になっていて、座席兼用の階段だ。

 タオルミーナも2世紀に円形闘技場として改築されたものの、後に正面の壁を取り壊して今は自然の風景(エトナ山やイオニア海)が見渡せるようになった。

 そのエトナ山の雄大な風景は、ホテルの部屋からもバッチリ見ることが出来た。

 そしてイオニア海の夜明けも素晴らしいものだった。

 

 

 

 

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階段紀行・イタリア ペルージャでまたも出会った結婚式、ウルビーノでは坂道の先に素晴らしい光景が! 

2022-07-19 | 階段紀行・イタリア

 ペルージャはウンブリア州の州都。この州の都市は大部分が丘の上に建設されている。敵からの防御のためと、昔から悩まされてきた感染症マラリアを媒介する蚊から遠ざかることも1つの大きな要素になっていた。

 従って市内至る所に坂道がある。その1つがこの坂道階段。上の道とはトンネルで交差する道だ。

 しかも、道は直線ではなく左右に曲がりながら続いて行く。

 高いほうの道に上って、下の道を見下ろしてみた。階段は小刻みにリズムを打っているように見える。

 中心広場にやってきた。11月4日広場。中央に大きな噴水を持ち、丁寧な装飾も施されている。後方の大きな建物は市庁舎だ。

 近づいて行くと、多くの礼服を着た人たちが出てきた。そして庁舎の出口から一組のカップル。そこへライスシャワーが浴びせかけられた。

 そんな中で新婚カップルは熱いキッス。ああ、いいなあ~。どうぞお幸せに!

 もう1つの街へ。ウンブリア州の隣り、マルケ州に位置するウルビーノ。ここも急坂だらけだった。バスで到着するとすぐにエレベーターがあり、それを上って市街地のある地区に進んだ。街歩きはほぼすべて急坂と階段との対決。疲れ果てて階段の写真を撮ることさえ忘れてしまった。

 辛うじて押さえていたのがこの坂道写真。右のイタリア国旗が下がった家が、実は「聖母の画家」ラファエロの生家だ。ラファエロはこの地ウルビーノで生まれ育ち、のちにフィレンツェに出て画家として大成した。

 その道を上って高台に行くと、見晴らしの良い場所があった。そこには思いもかけず素晴らしい光景が待ち構えていた。ルネサンス時代の理想都市と称されたウルビーノ中心部の景観。噂にたがわぬ見事なものだった。

 

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階段紀行・イタリア アマルフィ 大聖堂の階段が、結婚を華やかに盛り上げる舞台装置になっていた

2022-07-16 | 階段紀行・イタリア

 アマルフィは中世時代、ヴェネツィア、ピサ、ジェノヴァとともにイタリア半島から地中海地域での4大海洋国家の1つとして繁栄を誇った歴史を持つ。

 今ではその華麗なる景観美によって世界中の人たちを引き付ける観光都市となっている。事前に考えていたのとは違ってアマルフィそのものの街は意外にまとまった印象だった。

 街の中心はなんといても大聖堂。海岸からすぐ入ったところの高台にそびえている。10世紀に創建された建物は18世紀にバロック様式に改修されている。壁面は金色のモザイク、白黒の縞模様が印象的だ。

 街の広場からは急な階段によって大聖堂に導かれる。その白く美しい空間は実にフォトジェニック。

 大聖堂のすぐ前のホテルに宿泊し、午前中に広場に出ると、階段の途中に正装の男女がポーズをとっているのに気付いた。

 よく見ると新郎新婦。大聖堂で式を挙げた後、一生の思い出写真を残すため晴れ姿での撮影の最中だった。

 その光景は何の関係もない私でさえも、幸せ感に包まれるシーンだった。大階段が最高のシチュエーションになるということを実践して見せたカップルだった。

 夜の階段も見逃せない。ライトアップされた広場から、鐘楼をそばに従えてすらりと上方に伸びる様は、そのまま月へとつながるのでは…と思わせるほどに優雅なアプローチを見せ、下の広場では多くの市民たちがイタリアの夏の夜をゆったりと味わう時間を過ごしていた。

 

 

 

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階段紀行・イタリア グッピオ 坂の町には至る所に階段が。でも市民は慣れっこみたい。

2022-04-09 | 階段紀行・イタリア

 グッピオは中部イタリア・ウンブリア州の斜面にある古い町。人口3万人の小さな町だが、美しい景観を持つ地域でもある。

 そのランドスケープ・コンソリ宮殿(執政官宮殿)は14世紀のゴシック様式。正面の階段は、上部が直線だが、下部は半円形の波のような広がりを持つ洒落た姿にまとめられている。

 横から眺めても、なかなかに美しい。

 この宮殿の前は広場になっており、そこから下の市街地を眺める見晴らし台にもなっている。薄茶色の建物が広がる光景もまた、いかにもイタリアらしい雰囲気だ。

 高低差の大きな町だけに、階段、坂道はあちこちに。こんな長い長い階段も当たり前のように見かけられた。

 従って、犬の散歩もまた、階段を避けることは出来ない。2匹も犬を連れたご婦人、坂道も何のその勢いで、階段を上り下りしていた。

 そんな町だけに、高台にある教会へはケーブルカーが設置されていた。といってもかごのようなものに一人一人立ったままで乗る仕掛けで、スリル満点。ちょっと足元がぶるぶる来る感覚を覚えてしまった。

 この街に来たのは「キリストの死の行進」を見るため。町外れの教会から「死せるキリスト」の像が町に出発するところを現場で目撃した。後ろのマリア像に見守られながら出発する光景は荘厳なものだった。

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