新イタリアの誘惑

ヨーロッパ・イタリアを中心とした芸術、風景。時々日本。

東京探訪 東京三大たい焼き巡り 人形町、麻布十番、四谷

2017-05-12 | 東京探訪

 ある早春の土曜日、友人と夕食の約束をしていたが、夕方まではたっぷり時間がある。そこで、ふと思いついて「東京三大たい焼き巡り」を実行することにした。

 かねて評判の高い老舗の3つのたい焼き店、人形町の柳屋、麻布十番の浪花屋総本店、四谷のわかばを一日で巡り、味比べをしてみようという、何ともまあミーハーなプランだ。


 
 まず目指すは人形町。自宅からの電車の都合で半蔵門線水天宮駅で降り、街路にある火の見やぐらを模した「人形町からくり櫓」を眺めながら歩く。

 歌舞伎や火消衆をデザインした洒落たやぐらだ。

 甘酒横丁を右に曲がるとすぐに、目的の柳屋が見えてきた。というより、たい焼きを求めて並ぶ行列が見え、それで柳屋とわかった。土曜日の午後、意外に列が短い。有り難い。

 とはいってもたい焼きを焼く職人さんは1人だけ。大きな焼き器で一気に10数枚も焼く形式と違って、鯛の型に1つ1つ小麦粉と餡を詰めて焼き上げる作業なので、なかなか進まない。
 
 長い柄のついた鋳物の先に一匹分のたい焼き型があり、その型に生地を敷き、上に餡を入れてさらにその上から生地をかぶせる。それから焼いてゆく。これを通称「天然もの」と称して、大量生産の焼き器に生地を流し入れて製造する「養殖もの」とは区別されるのだそうだ。
 巡回しようとしている三店はいずれも「天然もの」の店だ。

 それでも待つこと約30分。どうにかゲットすることが出来た。すかざず尻尾からガブり。焼きたてとあって、皮がパリパリとして香ばしい。餡は甘さが抑えられている感じ。店の前で何人もがたい焼きにかぶりつく風景が、横丁の風情に似合っている。

 柳屋から人形町の交差点を渡り、親子丼で名高い「玉ひで」の先に、谷崎潤一郎出生の地がある。そこをちょいとのぞいて、次に麻布十番を目指した。

 また、水天宮の建物を眺めながら地下鉄へ。永田町乗換で麻布十番に到着。人形町がそこはかとなく江戸の香りを残した土地だったのに比べて、こちらはまさに都会の街並み。

 駅から3分も歩けば浪花屋総本店に到着する。この店の創業は1909年と、3店の中でも最も古い。創業者が大阪出身だったので、浪花屋という屋号にしたのだという。

 あれ、行列が出来ていない! 「よかった」と思ったのもつかの間、ここでは「今だと1時間半かかります。よろしければ予約を」と機先を制された。こうして行列で通行人の邪魔をしないように配慮しているらしい。それで、早速予約を完了、待ち時間の間に四谷へ向かうことに。

 四谷へは南北線で4駅先。四谷は学生時代,クラブ活動の合間に友人たちとたい焼きの食べ比べをした懐かしい場所。四谷見附橋を渡って数分歩き、左に曲がれば店が見える。

 ところが、こちらは大行列。写真だとよくわからないが、店の角を曲がった所からさらにずらりと人が並んでいた。
 昔の、行けばすぐに買えたイメージが残っていたのだけれども、もう時代は変わっていることが実感できた。

 ここも一枚一枚手焼きで製造する形。2人の職人さんが働いていたが、列の長さに加えて一人で何十個も大量に購入する人も目立ち、結局ここだけで1時間30分もかかってしまった。

 早速店頭でかぶりつく。餡の厚みがずっしりとしており、塩の隠し味が効いているのか甘味の奥深さが伝わってくる。うまい。学生時代がふんわりと蘇る瞬間を味わった気がした。

 さあ、急いで麻布十番へ。予約した時間はもう過ぎてしまっている。でも、店ではちゃんと対応してくれて、滞りなく3番目のたい焼きをゲットすることが出来た。

 ここは、昔大ヒットした子門真人の「およげたいやきくん」のイメージの源となった店。老舗らしい貫禄十分の店構えだ。

 こちらのたい焼きは他の2店よりわずかに小ぶり。味は、小豆を8時間かけて炊き上げた餡の甘さと皮の張り具合のバランスが、さすがと思わせるものだった。


 店からほんの数十mのところにある広場に、小さな女の子の像があった。この子は野口雨情の詩で有名な「赤い靴」の女の子「きみちゃん」の像だ。

 歌詞では、赤い靴を履いた女の子は海外に行ってしまったことになっているが、実はきみちゃんはアメリカ人宣教師夫妻の養女になったものの、夫妻が帰国する際、結核に侵されていて、長い船旅には耐えられないと、麻布にあった孤児院に引き取られ、そこでわずか9年の生涯を閉じてしまった。そんな縁からこの麻布に像が建てられたという。

 作詞者の野口雨情も・生後わずか7日で長女を亡くした経験があり、そんな思いをきみちゃんに重ねながら詩を作ったのかもしれない。

 「赤い靴 履いてた 女の子 」
 まだ たい焼きの甘味を残した口許できみちゃんの歌を口ずさみながら、友人の待つ店に向かった黄昏だった。









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東京探訪 文京シビックセンターから都心を見下ろす

2017-05-09 | 東京探訪

 樋口一葉、石川啄木と、明治の若き天才たちを追う探索を一応終えて、帰りがけに文京シビックセンターに寄った。
 
 ここは文京区役所であると同時に、高さ105mの展望ラウンジを持ち、都心で360度の展望が出来る公共スペース。早速25階の展望ラウンジに上った。

 まず、目に入ったのはやはり東京スカイツリー。さすがに634mの塔は高い。

 新宿副都心方面には高層ビルがニョキニョキと建っている。

 池袋側も高層ビルが多い。

 少し手前には中央大学ののっぽビルが目の前にあった。

 それに比べてあまり目立たないが、写真中央に濃い茶色の時計塔が見える。あれが東大の安田講堂。

 すぐの眼下にあるのが後楽園遊園地

 小石川後楽園の緑が目に染みる。

 こちらは大手町方面

 展望台の中はこんな風になっている。

 ようやく夕暮れが近づいてきた。さあ、家に帰ろう。


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歳末の東京夜景散歩・・・東京探訪

2016-12-31 | 東京探訪


 ここ2か月ほど、暮れてゆく東京の風景をちょこちょことスナップしていた。

 何かのついでに、といった形なので、じっくりと見たわけではないが、

 それぞれに味わいのある表情を見せていた。

 そんな、東京の街角散歩 あちこち。

 お台場の夕暮れ。ちょうど夕日が沈んでゆく時間だった。

 日没とともにレインボーブリッジがライトアップされ、東京タワーも光を増した。

 ガンダムの巨大フィギュアは迫力満点。

 浅草・鷲神社の酉の市。初めてだったが、江戸情緒たっぷりのとても楽しい行事だった。

 結局熊手は買いそびれた・・・。

 今年から一般公開が始まった迎賓館。夕方の正門。

 本当は建物のライトアップを前庭で見ようと思ったのだが、予約以外は門限で追い出され、はるかかなたから一部の姿だけが見えた。

 秋葉原駅近くの万世橋。神田川に映るライトの灯影が幻想的だった。

 新宿駅西口の高層ビル群。さすがに夜空に映える。

 南口は車の洪水。新宿は一種独特の魔力を持っている。

 対して、丸の内周辺はちょっと気取った雰囲気。

 東京駅は風格十分で、夜の都会にピッタリ。

 「KITTE」のビル内にはライトブルーのクリスマスツリーが飾られていた。

 クリスマスツリーといえば、カレッタ汐留はブルーの背景にピンクのツリー。これはさすがに美しかった。

 それも、、時間ごとに色が変わってファンタスティック。


 最もブルーだったのは、渋谷に出現した〝青い洞窟”。

 まさに世界が青一色に染まる芸術的な空間が出現していた。人が多かったのが難点で、無人の状態の時を見てみたい。

 今年の5月から始めた「新イタリアの誘惑」は、イタリア以外のものが多くなってしまいましたが、ご覧いただいて有難うございました。
 来年も、国内外の様々な風景をお伝えして行きたいと思っています。
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玉川高島屋が「ピンクのデパート」になった!・・・東京探訪

2016-07-30 | 東京探訪

 昨日二子玉川に出かけた時、駅周辺で変わったライトアップをやっていたので、ちょっと紹介しましょう。

 駅の改札口を出て左に曲がると突然ピンクの建物が飛び込んできました。よく見ると、それは高島屋デパート。いつもは白い外観なのに、今日はピンクに照らされています。

 改札口右側の二子玉川ライズ方面の通路は、全体が明るく、ちょうど背景となった空が真っ青な色彩に替わっています。

 その先には、人工の花火のような工作物。


 先端部分をアップしてみると、本物の花火のように見えます。

 さらに進むと、今度は光の階段。ここを上る人たちはみんなシャドー人間になってしまいます。


 ライズの壁面にはクジラが描かれています。今まで何度もここには来ていますが、このクジラには気づかなかった。ライティングのおかげかも。


 高島屋方面に戻ります。デパート手前の駅通路も全体がピンク状態。


 デパート側からライズの建物を正面に。明かりがモザイク様になって面白い。

 このイベントは「tokyo art flow」というタイトルで明後日31日まで行われるようです。


 駅に戻ろうとしてライズのビル内を歩いていたら、途中に「ムーミン通路」がありました。
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入谷鬼子母神の朝顔市に行ってみた

2016-07-08 | 東京探訪

 入谷鬼子母神(真源寺)の恒例行事「朝顔市」に出かけた。地下鉄入谷駅を出るとすぐに、言問通りの両側に出店がずらりと並び、いかにも下町の夏到来といった風情。

 交差点を渡って鬼子母神側の道に行くと、路上一杯に朝顔の鉢が列を作っていた。出店の数は100店以上とのこと。


 こうして改めて眺めると、朝顔にも赤、青、紫など、いろいろな色や品種があることがわかる。

 あちこちで、店の職人さんと話し合いながらの品定め風景が展開される。

 個人的には、やはり青を基調とした瑞々しい朝顔がいいなあ。

 狭い通路を押し合いへし合いしながら、ようやく鬼子母神の境内へ入った。数か月前に雑司ヶ谷の鬼子母神に出かけたが、あちらに比べるとここの境内は相当狭い。

 でも、大田南畝が「恐れ入谷の鬼子母神」と詠んだ狂歌の場所はまさにここ。

 お地蔵さまも、線香と人いきれでちょっとしかめっ面に見えた。

 今年の一番人気は、竹を円筒形に組んだ「行燈づくり」という鉢とのことで、境内にもずらりと並んでいた。


 朝顔市は毎年7月の6,7,8日の開催と決まっている。そういえば、朝顔の別名は「牽牛花」。牽牛星は七夕の日に織姫と会う彦星のことなので、開催日もちょうど七夕を間に挟んだ日程にしているのかも。

 また、ここは台東区の7寺社に祭られている七福神の巡礼札所。そのうち、ここには福禄寿様が祭られている。
 初めてこんな東京の風物詩を訪れてみたが、なかなかいい感じだった。これからも機会を見つけては訪問してみようかな。
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