ストラスブール大聖堂内部を歩く。見上げれば直径13mの大バラ窓。16の花弁を持つバラ窓はまるで大輪の花火のようだ。黄を中心にオレンジ、青などがちりばめられた美しい色彩で形成されている。ゴシックのステンドグラスの代表ともいえるものだ。
ステンドグラスも多い。ここには様々な人物像が描かれている。
こちらのステンドグラスは歴代の王たちの姿かも。
こんな像もあった。何と眼鏡をかけた皇帝が!中世に眼鏡なんかあったっけ?
調べてみると、目の白い部分をガラス板に固定するための鉛の留め具が、まるで黒縁の眼鏡に見えるだけ、とのこと。この時代にはまだ眼鏡は発明されていなかった。
立ち並ぶ列柱の各所に像が配置されていて、こうして眺めると壮観。
側廊を歩く。多くの参拝者が詰めかけている。
そんな人たちが多く手を合わせていた場所。
マリア像の周囲はろうそくで埋め尽くされていた。
ところで、バラ窓を始め大聖堂の彫刻群像など主要部分を完成させたのは、5代目の監督だった建築家エルヴィン・シュタインバッハだ。彼の像は南袖廊扉口にあるのだが、ちょうど修復中でお目にかかれなかった。
そのエルヴィンに関するエピソードがある。
サンタンドレ祭室内聖歌隊ギャラリーの手すりに両手をのせた小男像がある(これも修復中で見られず!)
エルヴィンが作業をしていると、それを見ていたこの小男は「こんなもの、すぐ倒れる。大聖堂にまた不幸が増えるだけだ」と皮肉った。
これを聞いたエルヴィンはその男の像を造ってギャラリーの隅に置き、「そこにじっとしていて動くな。柱が倒れるのをこの世の終わりまで待つんだな」と、語りかけた。
かくして、約800年間を経てもまだ、男は柱を見続けるという運命になってしまった。
前回の子犬の話も含めて、こんな風に大聖堂の中にはいろいろ遊び心満載のエピソードが眠っている。
時期もので、キリスト誕生を表すプレゼビオも飾られていた。
最後になってしまったが、主祭壇を遠くから眺める。割と簡素なイメージだった。