サンパウ病院は、銀行家パウ・ジルの遺言に従ってモンタネールが建設した病院だ。だが、とても病院とは思えない圧倒的な存在感に驚かされる。
モンタネールは、前に述べた通り19世紀末から20世紀初頭に一世を風靡したモデルニスモ建築ビッグ3の一人。当時はアントニ・ガウディをしのぐ人気を誇っていた。
病院はガウディ通りと名付けられた斜めの通りの突き当りにあるが、その反対側の突き当りには、建築中のサグラダファミリアがある。見事に2つの建築が対照的に向き合っている形だ。
入ってすぐの建物壁面には、働く人たちのモザイク画。
ちょうど光に照らされて、画面がキラキラと輝いていた。
正面入り口にある本館。手前には資金を提供したパウ・ジルの像が立っている。
その前には優しい女性像も。
病院とは思えない装飾的な建物があちこちに建ち並ぶ。ゴシックとイスラム美術を併せたようなムデハル様式の装飾という。
「芸術には人を癒す力がある」と語っていたモンタネールの信念が、こうしたところにも生かされている。
敷地内に、実に48棟もの建築があるという。実は事故で死亡したガウディが最後の日々を過ごしたのも、この病院だった。
病院というより遊園地にでも入り込んだかのようだ。
大きな窓枠には天使像と思われる絵が。
広々とした空間が、心を開放的にさせる。
モンタネールは完成を待たずして1923年に亡くなったが、息子が引き継いで1930年に完成した。