高台の中央広場にやってきた。まだ朝方のためかそれほど人は多くない。ここは「ギリシャ劇場」と名付けられた場所だ。
広場の辺を通り囲むように、波型のベンチがずらりと並ぶ。
座ってみると、なかなか座り心地は良好だ。
もともとここは19世紀末に集合住宅団地造成地として計画された。しかし、結局2戸の住宅が建てられただけで団地構想は未完に終わり、代わりに現在は市民の公園となって今日に至っている。
何といっても目立つのはモザイクスタイルで造られた鮮やかなベンチ。
陶器、ガラス、ビンなどの破片を組み合わせて造られたベンチは、四方八方に向いた反射面によって、様々な角度に光を発散する。
ベンチの制作に関してはジュジョールが基本的に担当した。ガウディが陶器場から不良品としてはじかれた破片を大量に収集。
ジュジョールは石工とともにそれらを、周囲の風景を配慮しながら色を組み合わせて全体に配置していった。
二人の色彩に関する生き生きとしたセンスと配合の技術が、見事な異空間を実現したというわけだ。
あふれるほどの遊びの精神で様々なものを組み合わせて、単なる廃物利用から、新しい芸術へと変貌させてしまった。